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Wi-Fi 7が本格普及!ASUSの第二世代ルーター「RT-BE92U」登場、その実力は?
最新iPhoneなら実測 1.6Gbpsの高速通信、新機能「スマートホームマスター」でIoT通信も安全に!
- 提供:
- ASUS JAPAN株式会社
2024年11月29日 10:30
Wi-Fiルーターだけでなくスマホ、PCなどのデバイス側でWi-Fi 7への対応が進みつつあるなか、ASUSからミドルクラスのスペックをもつ「RT-BE92U」が発表、12月6日から発売される。
同社のミドルレンジモデルでは2モデル目となる製品で、置きやすいサイズをキープしつつも、最大理論通信速度は約5.8Gbpsの本格派。しかもスマートホーム機器をよりスマートに扱える新機能「スマートホームマスター」を搭載、増え続けるIoTデバイスをより安全、かつ互換性に配慮して利用できるという。
早速、どれほどの実力を秘めているのか確かめてみた。実売価格は42,190円ほどとなる見込みだ。
トータル10Gbpsに迫るワイヤレス通信、LANも全て2.5Gbps
- メッシュにも対応、同社既存モデルを子機にすることも
- シンガポール発のセキュリティ規格「CLS」の認定取得
Wi-Fi 7の実測値は?
- iPhone 16 Proで1600Mbps超、PCなら3400Mbps超
- 2台同時にWi-Fi 7で通信させてみた!
「スマートホームマスター」で、デバイスが増えても安全・便利に
- 子供を持つ家庭向けの「キッズネットワーク」
- ペアレンタルコントロールも搭載
マルチギガな環境にベストな1台
トータル10Gbpsに迫るワイヤレス通信、LANポートも5つ全て2.5Gbps対応
ASUSのRT-BE92Uは、Wi-Fi 7(6GHz帯)時の最大理論通信速度が5764Mbpsに達するWi-Fiルーター。
トライバンド対応の製品で、6GHz帯(最大5764Mbps)、5GHz帯(最大2882Mbps)、2.4GHz帯(最大1032Mbps)に対応している。トータルで実に9678Mbpsという10Gbpsに迫るポテンシャルをもっている。
背面には10GbpsのWAN/LANポートを1つ、2.5GbpsのWAN/LANポートを1つ、そして2.5GbpsのLANポートを3つ備える。
全てのポートが2.5Gbps以上ということで、PCやNASなどの周辺デバイスも含めたマルチギガ環境がこれ1台で構築できることになる。USB 3.2 Gen.1ポートも用意されており、外部ストレージなどを組み合わせた場合にもLANの速度がボトルネックになりにくい。
主に家庭向けの製品ということもあるためか、筐体サイズはずいぶんとコンパクト。
スペックシート上では縦と奥行きが247.18×101.59mm、高さが287.47mmとなっているが、これは4本のアンテナを真上に伸ばしたときのものだ。アンテナを除く高さは実測で160mmに満たず、アンテナを斜めにすれば狭い棚にも置きやすい。
メッシュにも対応、同社既存モデルを子機にすることも
また、複数台のASUSルーターなどを組み合わせ、Wi-Fi電波の届く範囲をシームレスに広げるメッシュネットワーク「AiMesh」にももちろん対応。
同社の「Extendable Router」コンセプトに沿った製品になっており、今まで使っていた製品をメッシュの子機に流用し、本製品を親機とすることもできる。
もちろん、最初から本製品を複数台使ってメッシュにするのも、この筐体サイズを考えればアリ。バックホールを有線LANにすることも可能なので、Wi-Fi 7のスピードを存分に活かすことができるだろう。
シンガポール発のセキュリティ規格「CLS」の認定を取得
また、RT-BE92Uはセキュリティの面でも特徴がある。ASUSは自社のルーター製品において、国際的なセキュリティ規格である「Cybersecurity Labelling Scheme(CLS)」認証の取得を推進しており、RT-BE92Uはその要件のうちレベル2に該当しているのだ。
同認証制度は、シンガポールのサイバーセキュリティ庁が提唱、フィンランドとドイツが相互承認をしているもの。類推困難な初期パスワードやソフトウェアアップデートの提供、内部ソフトウェアなどの第三者機関によるリスク評価など、レベル1から4まで段階的に定められている。これらに準拠することで一定の安全性が保証されることになるわけだ。
同社のルーターのうち、シンガポールで販売している製品は全てCLS認証を取得済みで、セキュリティの高さをアピールしている。
Wi-Fi 7の実測値は?
そんなRT-BE92Uの実力はいかほどのものだろうか。今回はインターネット回線、LAN回線ともに10Gbpsの環境にRT-BE92Uを設置し、Wi-Fi 7に対応するノートPCとiPhone 16 Proの2台を使用して、インターネットとLAN内の速度をチェックしてみた。
ネットの速度はiPhone 16 Proで1600Mbps超、PCなら3400Mbps超
まずはインターネットの通信速度から。
ネットの混雑具合によって速度は大きく変わってしまうが、10Gbpsで有線接続したデスクトップPCでは日常的に5~6Gbpsの速度が出ている環境だ。そこでRT-BE92Uを介しWi-Fi 7(6GHz)で通信したときの速度が以下となる。
下り3.5Gbpsに迫る数値を叩き出したのは、320MHzのチャネル幅に対応しているSnapdragon X搭載のノートPC。iPhone 16 Proはチャネル幅160MHzまでの対応のため、上り下りともに約1.6Gbpsという結果になったが、これでも十分以上に高速と言えるだろう。
続いてはLAN内の転送速度を見てみる。
10GbpsのスイッチングハブでRT-BE92UとデスクトップPCを接続し、iperf3を利用して「ノートPC~デスクトップPC間」および「iPhone Pro 16~デスクトップPC間」のデータ転送速度をそれぞれ計測した。
ここではWi-Fi 7だけでなく、Wi-Fi規格やバンドの違いによって速度差がどれだけ発生するのかも確認してみた。Wi-Fi 7自体は6GHz帯に加えて5GHz帯(と2.4GHz帯)でも利用できるため、それらと従来のWi-Fi 6EおよびWi-Fi 6と比較している(2.4GHzは基本的に低速デバイス向けの帯域のためテストは省いた)。
※使用コマンドは「iperf3.exe -c サーバーアドレス -w 800K -P 10」。iPhone 16 Proでは-wの指定が不可のため省略
結果は、ノートPCのWi-Fi 7(6GHz)が約3.7Gbpsと群を抜いて高速。Wi-Fi 7(5GHz)が約2.3Gbpsで続き、Wi-Fi 6E(6GHz)とWi-Fi 6(5GHz)は2Gbps前後で誤差程度の違いとなった。RT-BE92Uの各帯域の理論速度を考慮すれば妥当なところだろうか。iPhone 16 Proについては、やはり160MHzのチャネル幅という制約から、どのパターンでも1.6Gbps前後に張り付いている。
2台同時なら速度はどうなる? 2台同時にWi-Fi 7で通信させてみた!
ここまでの検証で、特にノートPC使用時は10Gbpsのバックボーンをしっかり活かせる通信速度になっていると感じるが、以上はいずれもデバイス単体で計測したときのもの。実環境では複数台のデバイスがRT-BE92Uにぶら下がり、並列通信するのが常だ。
そこで、ノートPCとiPhone 16 Proの2台を同時通信させ、デバイス個別と平均の速度を計測してみた。
※使用コマンドは「iperf3.exe -c サーバーアドレス -w 800K -P 10」。iPhone 16 Proでは-wの指定が不可のため省略
平均速度のグラフの上4つは同一帯域で同時通信させたもの。最後の1つはノートPCを6GHz帯で、iPhone 16 Proを5GHz帯で同時通信させたときのもの。
同一帯域であっても、Wi-Fi 7(6GHz)では1台あたり1Gbpsを超え、かなりのパフォーマンスを確保できていることがわかる。それよりは一段落ちる600~700Mbpsでも、これくらい出ていれば一般的な用途で不足を感じることはないだろう。
そして、別帯域で通信した場合にはさらに高速になることもわかる。今回のように個々のデバイスの最大通信速度から使用帯域(SSID)を分けるように設定することで、宅内ネットワークの最適化、最速化を図れるだろう。
ちなみに、同時通信の速度は個別通信の速度から考えると少し物足りないようにも思うが、同一の帯域でiperf3のような瞬間的に大量のデータ通信をするようなケースは実環境だと発生しにくい。もっと少量の通信が、6GHz帯、5GHz帯、2.4GHz帯に分散する形になるのが一般的で、多数のデバイスを接続していたとしても、こうした極端な速度差を体感することはまずないはずだ。
「スマートホームマスター」で、デバイスが増えても安全・便利に
通信速度にどうしても目が行ってしまいがちなWi-Fi 7ルーターだが、RT-BE92Uの場合、ソフトウェア的なところでも注目したい面白い仕組み「スマートホームマスター」が用意されている。
スマートホームマスターとは、子供向けデバイス用のネットワークやVPN接続用のネットワーク、IoTデバイス用のネットワークなどカスタム可能な3つのネットワークを簡単に作成できる機能だ。これらのネットワークを分離することで、接続機器のセキュリティレベルや互換性に応じた設定を行うことができ、ネットワーク全体のセキュリティを向上できる。
まず、そのうちの1つが、「IoTネットワーク」と呼ぶスマートホーム機器向けの設定を容易に使い始められる機能だ。
これは、簡単に言うと、さほど高速な通信が求められないスマートホーム機器のために専用のSSIDを用意して、管理しやすくするためのもの。
スマートホーム機器の多くは2.4GHz帯を使用し(まれに5GHz帯に対応している場合もある)、デバイス数も多くなりがち。1台1台は低速通信であっても、そこに仕事に使っているスマホやPCなど、高速通信を必要とする他のデバイスも接続してしまうと、帯域を圧迫しあって全体的なパフォーマンスが低下してしまう恐れがある。
そこでこのIoTネットワークでは、専用のSSIDを1つ用意して、スマホやノートPCの接続先と分けられるようにしている。
具体的には、設定時にデフォルトで2.4GHz帯と5GHz帯だけが有効になり、Wi-Fi 7は無効に、認証方式も互換性重視のスタンダードなものが選ばれる。ユーザーはそうしたスマートホーム機器に適した設定を手間をかけることなく行なえるのだ。
スマホとPCは別のWi-Fi 7が有効な6GHz帯などを使うようにすれば、負荷の高い大容量データのやり取りやオンラインゲームも支障なくこなせる。
SSIDは別になったとしても、ネットワークセグメントは同一なので、たとえば別SSIDにつないだスマホからスマートホーム機器をネットワーク経由で操作するのも基本的には問題ない。
子供を持つ家庭向けの「キッズネットワーク」
また、同様の機能として「キッズネットワーク」というものもある。
こちらも別個の子供向けSSIDを簡単に作成できるもので、自分たち(両親)のデバイスの通信を妨げないように、デフォルトで2.4GHz帯と5GHz帯のみ有効となっている。
加えて、SSID(Wi-Fi)が有効になる曜日と時間帯もデフォルトで指定するようになっていて、平日の夕方と、土日の日中のみWi-Fi接続できるようにする、というようなスケジューリングが可能だ。
ネットを使い過ぎないように、と親が子供に直接言っても従わなかったり、かえって反発されてしまったりするが、機械的に自動でWi-Fiが使えなくなる場合だと意外と素直に受け入れたりするもの。子供のネットの見過ぎ問題に悩んでいる家庭は、ぜひこの機能でサクッと試してみてほしい。
ペアレンタルコントロールも搭載
また、「ペアレンタルコントロール」もそれに組み合わせて使いたい。接続デバイスごとにアクセス制限できるようにする機能だが、さきほどのキッズネットワークと併用することで管理がしやすくなる。
キッズネットワークのステータス画面では、そのSSIDに接続しているクライアントのデバイス名がわかるようになっている。
デバイス名を覚えてペアレンタルコントロールの設定画面へ移動した後、プルダウンからそれを選択するだけでMACアドレス指定に自動で置き換わり、アクセス制限の対象にできるのだ。わかりにくいMACアドレスを覚えて手入力するような手間はなく、実に楽ちんだ。
フィルタリング(アクセス制限)するコンテンツの指定方法についても、成人向けのほか、メッセージングサービスやブログなど、あらかじめ列挙されたカテゴリー分類から選択するだけでなので、詳しい知識は不要。
ペアレンタルコントロール機能の存在は知っていても難解そうで手を出しにくかった、という人も少なくないと思うが、これなら気軽にフル活用できるだろう。
マルチギガな環境にベストな1台、そしてさらなるハイエンドモデルも
実測で3.7Gbpsものインターネット通信やLAN内通信を実現するASUSのRT-BE92U。宅内をマルチギガ環境にしていたり、最大5Gbpsや10Gbpsのインターネット回線を導入していたり、スマートホーム機器を多数使用していたりする(もしくは今後そうしていきたい)家庭にフィットすること間違いなし。コンパクトサイズで、あまり目立たずに設置できるのもうれしいところだ。
なお、ASUSはRT-BE92Uと同じタイミングで「RT-BE14000」というハイエンドのWi-Fi 7ルーターも発表。同じく12月6日から発売される。これも「CLS認証(レベル2)取得」(ASUS)をアピールしている製品で、最大理論速度は14Gbpsに到達する。RT-BE92U、RT-BE14000については「RT-BE92U/RT-BE14000購入レビューキャンペーン」も来年1月12日まで実施中だ。
iPhoneはじめ、対応製品も増えてきたWi-Fi 7だが、Wi-Fiルーターの側もいよいよ選択肢が増えてきた。環境整備にはいいタイミングになってきた、と言えそうだ。