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山谷剛史のマンスリー・チャイナネット事件簿
2008年5月

 本連載では、中国のネット関連ニュース(+α)を毎月ピックアップ。中国在住の筆者が“中国に行ったことのない方にもわかりやすく”をモットーに、政府が絡む堅いニュースから三面ニュースまで、幅広い話題をレポートしていきます。


四川大地震~中国ネットニュースも震災一色に

中国最大のポータル「新浪網」の特設サイト。犠牲者を悼むメッセージが掲げられている

 5月12日に四川省で発生した大地震により、中国のインターネットやハイテク関連のニュースですら、震災関連のニュース一色となった。

 地震発生から5分後、ポータルサイト「QQ」がもっとも速く地震を速報。発生から15分経たずに、地震の特集ページが作られた(中国サイトの地震の特集ページについては、INTERNET Watchの記事を参照)。

 地震発生から3時間後、同サイトは義捐金の100万元(約1,500万円)をサイト利用者から集め、3日後の15日には最速で1,000万元(約1億5,000万円)を集めた。

 中国の内陸に滞在する筆者自身、地震の揺れを感じ、急いでテレビをつけたものの、まったく地震についての報道はなかった。数日後よりテレビはどのチャンネルも地震の話題一色となったが、インターネットではテレビに比べて速報性で優れる結果となった。

 インターネットやハイテク関連の中国のニュースのページで、最もよく登場した類のニュースは、IT企業からの義捐金や、インターネットを利用した個人からの義捐金の話題であった。つまり、どこの企業がいくら義捐金を払ったとか、どこのサイトがいくら義捐金を集めて義捐金を支払ったとか、そういった話題ばかりであった。

 地震発生から1週間経った19日から21日までの間は、全国哀悼日として、多くのポータルサイトのトップページがモノクロとなり、広告が消えた。オンラインゲームもサーバーが停止され、この期間、遊べなくなった。「私服」と呼ばれるベンダー非公認のチートサーバーすらも停止し喪に服した。

 一方で、救出や復旧への団結に反するネット上の行動もニュースとなった。赤十字会の複数のサイトにハッカーが侵入し、義捐金の募金先の口座番号の部分について改ざんされる事件が何件も発生したことが伝えられた。

 また、沈陽市の女性が被災者を罵る動画を自らYouTubeで公開したが、中国のネチズンがこれに気づき、日本で言う祭りに発展。身分証明書番号や住所、電話をはじめとした個人情報を晒され、沈陽市の警察に身柄を確保される事態となった。この事件は、赤十字会のWebサイト改ざん事件以上に中国のネチズンを怒らせた。

 地震から10日後の22日、最も速く地震を報じたQQを運営する騰訊(tencent)は、四川省成都のハイテクパークに、同社の研究所を設けることを発表。大地震後、成都のハイテクパークの第一の投資者となったことで、同社は話題をさらった。



Google、中国からもキャッシュが利用可能に

 従来、中国国内でGoogle中国版にアクセスした場合、「キャッシュ」「イメージ」「関連リンク」は正しく機能しなかった。たとえば、キャッシュにアクセスしたら「Not Found」となっていたが、先日、「キャッシュ」「イメージ」「関連リンク」がいずれも利用可能となったことが確認できた。Google中国だけでなく、Google日本へのアクセスも同様に、全ての機能が制限なく使用することができる。

 このサービス変更について、Google中国はプレスリリースや、オフィシャルブログでコメントはしていない。また、中国メディアもニュースとして報じていない。


中国政府、動画共有の8サイトを閉鎖

 中国国家広電総局は20日、8つの動画配信サイトを閉鎖させ、20サイトに警告処罰を与えたことを発表した。広電総局は「前回と比べて状況は好転したが、一部分のサイトは、ポルノ的、暴力的、ないし国家の安全を脅かすコンテンツを配信するなどないように問題があった」とコメントした。

 今年の1月より動画共有サイトを含む、動画コンテンツ配信サイトに関する条例が施行された。今回の閉鎖は今年に入って2回目の中国当局による調査となる。1回目の調査結果は3月20日に発表され、32のサイトが警告処罰を受け、25のサイトがサービスを停止すべきというブラックリストに登録されている。


Youkuなど動画共有サイト、海賊版配信で中国企業に次々提訴される

 Youku(優酷網)などの中国の動画共有サイトが、中国のコンテンツホルダーから未許可でコンテンツを配信しているとして、訴えられた。

 北京五輪をテーマにしたテレビドラマ「別話得太累」が、放送前から動画共有サイト「優酷網」「酷6」「我楽」「六間房」「飛視」に登場。このテレビドラマのコンテンツホルダーである北京広電偉業影視文化中心が、この6サイトを相手取って、総額340万元(約5,100万円)を支払うよう、北京の海淀法院に提訴した。原告いわく、630万元かけて撮影したもの、しかもまだ未公開の映像が第1話から既に流出しているという。

 30日には、5サイトのうちの1サイト「六間房」に対する審議が始まった。六間房に対しては、公開謝罪と68万元(約1,000万円)の損害賠償を原告は訴えている。六間房は、問題の映像は既に削除済みであり、アップしたのは利用者であり、かつそれほどクリックされていないことから、原告の言うほどの経済損失はなく、六間房とは関係ない、とコメントとしている。

 また上海の裁判所を舞台に、別の動画共有サイトの著作権侵害について、裁判所が判決を下した。人気動画共有サイトの土豆網が映画を無許可で配信していたためにコンテンツホルダーから訴えられていたが、11日に上海第一中級人民法院は、被告の土豆網は権利を侵害しているとして土豆網に対し、原告に5万元(約75万円)の損害賠償を支払うよう命じた。

 上海第一中級人民法院は判決について、映画は人とお金がかかっているもので、被告はそうした映画の海賊版コンテンツに対し、削除する努力を怠っている点を判決理由として挙げている。


中国政府、地図サイトに警告

 中国政府がネット地図を取り締まっていることが、中国メディアによって報じられた。

 中国メディアの報道によれば、地図を公開している1万近くのサイトで、「中国の領土表記が誤っている」「尖閣諸島(中国名:魚釣島)や南海諸島を明記していない」「台湾を独立国家として表示しているか、台湾島を省いた全国地図を載せている」「省界、市界の線が間違っている」「敏感で、公開できない、国家機密に関する情報を地図に載せること」などの問題があるという。


中国4大都市で、オンラインショッピング利用者が1,000万人を突破

 調査会社の北京正望咨詢は28日、2007年のオンラインショッピングの利用状況についての調査報告を発表した。それによれば、中国の都市の中で最も所得の高い、北京・上海・広州・深センの4都市でのオンラインショッピング利用者が1,000万人を超える1,050万人となった。

 4都市でのインターネット利用者2,520万人のうち4割強、42.5%がオンラインショッピングを利用していることになる。4都市でのオンラインショッピング取引総額は254億元(約3,800億円)。

 オンラインショッピング利用者1,050万人の内訳は、日本で言えばヤフーオークションのような個人対個人取引(C2C)のインターネットショッピングの利用者が790万人、アマゾンや楽天のような企業対個人取引(B2C)の利用者が479万人であった。

 この4都市でのサイト別シェアでは、C2Cサイトがメインで、最近B2Cにも進出した淘宝網がシェア50.1%で、アマゾン中国(卓越網)やイーベイ中国(易趣)など他のサイトを引き離している。最も所得が高い4都市に続く、武漢・成都・沈陽・西安の4都市においては、淘宝網の占めるシェアはさらに高く、74.7%となった。

 中国においてシェアが年々低下するイーベイ中国こと易趣は5日、ユーザー離れを止めるべく、利用者の出店に関する費用を永久に無料にすることを発表した。

 北京・上海・広州・深センの都市で普及し、さらに地方都市に波及するインターネットショッピング。今後中国全土の都市住民御用達のサービスとなり、より巨大で影響力のある市場となるだろう。


オンラインゲームの利用者、徐々に高年齢・高学歴・高収入化

 調査会社の易観国際は26日、中国のオンラインゲーム利用者についての最新統計を発表。それによれば、2007年は、22~30歳の利用者が全体の半数を超え、また利用者の4割強が大学生ないしは大学院生であった。また月収3,000~5,000元(約45,000~75,000円)の高収入の利用者も増加し、全体の13.2%となった。

 遊ぶゲームのジャンルは、半数強がテーブルゲームで、残り2割強がMMO RPG。また5割強の利用者が、利用料金の支払いに、オンラインバンキングやその他のオンラインによる方法を積極的に利用すると回答した。

 同月、IDCと中国出版工作者協会遊戯出版物工作委員会は発表した2007年のオンラインゲーム利用者調査結果によれば、オンラインゲーム市場規模は前年比61.5%増の105億7,000万元(1,600億円弱)、利用者は同23%増の4,017万人となった。IDCは2012年のオンラインゲーム市場規模は262億3,000万元(4,000億円弱)に達すると予測している。


アリババドットコム、インドに進出

 日本にも進出している中国発世界最大のB2Bプラットフォームを提供するアリババドットコムが、インドでも正式にサービスを開始しことが、四半期決算の発表と同時に発表された。

 インドは800万の中小企業があり、そのうち300万の中小企業がB2Bでの取引をしており、100万の中小企業が輸出を行なっており、この市場をアリババドットコムは狙う。インドでは既に40万の中小企業がアリババドットコムの会員になっている。


インスタントメッセンジャーのアクティブアカウント数、4億に迫る

 中国の調査会社の易観国際は16日、2008年第1四半期の中国インスタントメッセンジャー市場についての調査結果を発表した。それによると、アクティブアカウント数は前年同期比5.4%増の3億9,600万に達した。

 ベンダー別では、騰訊(Tencent)のQQがシェア79.6%で不動の首位に。Windows Live Messenger(WLM)はシェア4.2%(1,650万)で2位となった。WLMは主にビジネス用途で使われていると易観国際は分析している。


Google中国、リンク集ポータルサイト買収・現地化で百度に追撃

 Google中国は、著名サイトのリンクを集めたポータルサイト「265.com」を買収した。買収額は発表されていないが、少なくとも2,000万ドルと言われている。

 ライバルの百度は、既に265.comと同様のサイト「hao123」を4年前、2004年8月に買収済み。百度の利用者の多くは、アクセスしたことのない著名なサイトに訪れるときに、百度の1コンテンツであるhao123にアクセスしている。今回のGoogle中国の263.comの買収も同様に、「中国のインターネット利用者のニーズを踏まえた、現地化の一環」と中国メディアは分析している。



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  http://internet.watch.impress.co.jp/cda/special/2006/07/19/12688.html

(2008/06/06)


  山谷剛史(やまや・たけし)
海外専門のITライター。カバー範囲は中国・北欧・インド・東南アジア。さらなるエリア拡大を目指して日々精進中。現在中国滞在中。

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