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山谷剛史のマンスリー・チャイナネット事件簿
2008年7月

 本連載では、中国のネット関連ニュース(+α)を毎月ピックアップ。中国在住の筆者が“中国に行ったことのない方にもわかりやすく”をモットーに、政府が絡む堅いニュースから三面ニュースまで、幅広い話題をレポートしていきます。


“祭られた”被害者が提訴した名誉毀損裁判のゆくえ

 日本でも、mixiやブログで犯罪にあたるような不用意なことを書いた個人が、巨大掲示板2ちゃんねるなどで個人情報を晒される“祭り”が後を絶たない。本連載でも過去にお伝えしてきたように、こうした個人情報晒しは中国でも起こっており、晒された被害者が、掲示板を運営するポータルサイトを相手に名誉毀損を訴えた裁判は、「初の人力検索裁判」として注目を集めている。

 この“祭り”の被害者は、愛人と結婚した既婚者だ。元妻はブログで事の詳細を語り自殺予告し、実際に自殺してしまった。この件を紹介したポータルサイトやまとめサイトが登場したことで広く知られることになり、既婚者氏は多くのネチズンの反感を買った。

 正義の旗のもと、ネチズンは、ブログ主とその知人の住所や勤務先などの個人情報を調査し晒しあげた。その結果、いたずら電話が鳴り止まず、会社の業務にも悪影響を与えることとなり、会社を辞めるなど追い込まれた。この祭りの被害者である既婚者氏は、「プライバシーを晒され、生活もめちゃめちゃにされた」として、ポータルサイトやまとめサイトの運営者を相手取り、2万~4万元(約32~64万円)の損害賠償を請求した。

 「祭り」に参加し、被害者の個人情報を提供をしたり、被害者の家の前で見張っていたネチズンは審議を見守り、法を犯していないことに自信を見せた。被告側の弁護士は「本来100人が知っていた個人情報が転載して200人に知られたようなもので、プライバシーの侵害には当たらない」とコメントしている。

 裁判官はメディアのインタビューに対し、「検索行為自身は問題ないが、人力検索が暴力行為に繋がっていることや、法律に触れそうな範囲であると言えるだろう。その一方、この裁判の結果によりインターネットに悪影響を及ぼす可能性があるため、慎重に検討する必要がある」とコメント。初の案件だけに、判決までにはまだ時間がかかりそうだ。


インターネット利用者が2億5000万人を突破

 24日、中国ネットワークインフォメーションセンター(CNNIC)は、中国のインターネット利用に関する最新統計を発表。それによれば6月末の時点でインターネット利用者が2億5300万人、ブロードバンド利用者が2億1400万人となったという。これに関しては「中国のネット人口が2億5300万人に、ブロードバンドは2億人突破」という記事で紹介済みなので、詳しくはそちらを参照していただきたい。

 また、同日中国政府工業和信息化部も月例の統計を発表。6月末におけるADSLを含むブロードバンドを利用する戸数は7600万戸、ダイアルアップを利用する戸数は1596万戸、専用線を利用する戸数は7万1000戸であった。ちなみに携帯電話利用者は7月に6億人を突破。携帯電話の普及率は45.6%となったことが明らかとなった。

中国のインターネット利用者数推移(単位:億人、CNNICの報告書より)

北京五輪開幕前に各企業がサービス駆け込みスタート

 北京五輪開幕直前となった7月。インフラ面では、空港アクセス路線や、地下鉄路線の新規開業などが駆け込み的にスタートしたが、それはインターネット関連でも変わらない。

 中国の旅行予約サイトで「e龍」と双璧をなす人気サイト「携程旅行網」が、五輪で訪れる外国人をターゲットに日本をはじめ世界的に展開するPaypalと提携。Paypal経由で携程旅行網の扱う航空券を購入することが可能となった。また英語サイトのシステムも一新、同サイトに会員登録しなくても航空券の購入や、ホテルの予約ができるようになった。

 携程旅行網もそうだが、北京地下鉄のサイトなど、7月下旬のいよいよ五輪直前というときに、一気にサイトコンテンツを更新するサイトが目立った。

 一方でこの時期サイト間の提携も。YOUKU(優酷網)と並び、中国で人気の動画共有サイト「酷6網」が、中国国営テレビ「中国中央電視台(CCTV)」と提携。五輪の動画を同サイトより配信する。酷6網は900万ユニークユーザー、毎日8万の動画ファイルがアップロードされ、ページビューは2億5000万となっている。

 またオリンピック公式サイトは、五輪直前となりヒートアップしている五輪チケットの転売サイトを一斉に削除したと報告した。五輪チケットを転売するページは2万ページあり、10万枚が転売されているという。


キラーソフトであるチャットソフト「QQ」にLinux版登場

 中国のインターネット黎明期にPC普及を牽引したキラーソフトである、インスタントメッセンジャーの「QQ」。これをリリースする騰訊(Tencent)による初のLinux版QQが7月に登場した。近年海賊版問題から、Windowsをプリインストールしたメーカー製PCがリリースされているが、まだまだLinuxやDOSを工場出荷時にプリインストールしたメーカー製PCは多く、毎年200万台ものLinuxプリインストールPCが出荷されているという。

 今までは有志によるLinux版QQこそあれ、メーカー公式のLinux版QQはなく、工場出荷時にLinuxがプリインストールされたメーカーPCを購入したところで、海賊版Windowsを問答無用で入れる風潮があった。しかし、Linux版QQの存在が知られることで、若干ながらLinuxユーザーが増えることが予想される。

 また、中国が開発したRISC CPU「龍芯」を搭載したPCはLinuxがプリインストールされているが、Linux版QQが登場したことで、風向きが変わり売れなかった現状が改善できるのでは、と期待する報道もあった。


北京五輪開幕式のリハーサル動画を韓国のTV局がネット配信

 韓国のテレビ局SBSが北京五輪開幕式のリハーサル画像と動画を流し、中国のインターネット利用者をはじめとした一般人から大きな顰蹙を買った。中国のニュースサイトのほとんどではこの事件が紹介され、感想コメント欄には、多くのインターネット利用者による韓国に対する不満が書き連なっている。


百度CEO「百度日本の製品にはまだ競争力がない」

 24日、百度は同社の2008年第2四半期の決算を報告。同社は引き続き好調で、売上高は前年同期比2倍となる8億260万元(約128億4000万円)、純利益は2億6500万元(約42億4000万円)となった。中国国内向けには、年末に個人対個人取引(C2C)のオンラインショッピングサービスを提供することを発表した。

 同決算報告を受けて、同社は様々な中国メディアにコメントしたが、その中で同社は海外市場開拓として、日本に引き続き注力することを特にアピール。

 CEOのロビン・リー(李彦宏)氏は「百度日本の目標はまずは製品のクオリティを高めること。百度日本が画像検索と動画検索で注目を受けているが、Web検索・ブログ検索も改良していかなくてはならない。ただ、競争力のある製品をリリースするにはまだ時間がかかるだろう」と述べた。また日本以外では、台湾市場にも興味を持っているとコメントしている。


期限なしの無料のアンチウイルスソフトが登場

 7月17日、「奇虎3601」というサイトから、期限なしで無料で利用できるアンチウイルスソフトが登場した。使用期限有りで無料で利用できるアンチウイルスソフトは過去にも中国市場でリリースされていたが、期限なしで永久無料を謳うアンチウイルスソフトは中国市場では初めて。

 同社の董事長である周鴻〓氏(〓はしめすへんに韋)は、「ユーザーの囲い込みを行うためではなく、他のセキュリティソフトメーカーを叩く目的でもなく、ユーザーがアンチウイルスソフトを利用するためのハードルを下げるために無料でリリースした」とコメントしている。

 中国では、多くのウイルスが毎年猛威をふるい話題となるが、インターネットによる調査では、半数以上のパソコン利用者がアンチウイルスソフトを導入していないという結果が出ている。


オンラインショッピングで届出が必要に

 ここ2~3年の間に、中国ではすっかりインターネットの人気サービスとなったのがC2Cのオンラインショッピングサービスだ。今までは、誰でも手続きなく出店でき、多くの大都市のインターネットを利用する社会人が副業としていたが、これが届出を出す必要が出てきた。

 中国国家工商総局は、中国の各省市の工商局や電子商務協会に対し、登録制にし税金を徴収しようとする「網絡市場監督管理暫行方法(オンライン市場を管理する暫定的な方法)」を通達。インターネット普及率が最も高い北京市がまず8月1日より届出制となった。

 届け出制への移行に対する利用者の反応はというと、大きな店舗ではこの政策を支持しているが、サイドビジネスとして出店する個人事業主はこれに対して大きな抵抗を示すなど、利用者の間で意見が二分している状況だ。

 北京市に続いて広東省広州市でも実施すると発表されたが、一方で浙江省杭州市、同温州市、湖北省、広西チワン族自治区では「すぐには北京のようにはしない」としている。杭州では「杭州工商の創業を尊重するサービスの理念がある」と前述の方針を強調している。



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(2008/08/20)


  山谷剛史(やまや・たけし)
海外専門のITライター。カバー範囲は中国・北欧・インド・東南アジア。さらなるエリア拡大を目指して日々精進中。現在中国滞在中。

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