本連載では、中国のネット関連ニュース(+α)からいくつかピックアップして、中国在住の筆者が“中国に行ったことのない方にもわかりやすく”をモットーに、中国のインターネットにまつわるニュースやトレンドを、政府が絡む堅い話から三面記事まで幅広くレポートしていきます。
■女性が選ぶ男性の魅力的な職業は「公務員」「商人」「金融マン」
結婚情報サイト「珍愛網」が、同サイトに登録している1500万の女性会員に対し「どのような職業の男性が魅力的か?」というアンケートを実施。
結果は、1位「公務員」2位は「商人」3位は「金融マン」となった。以下「教師」「IT系エンジニア」「自由業」「軍人」「建築家」「税理士」「医者」の順となった。公務員人気は日本もしかりかもだが、それ以外でどことなく中国社会が反映されたランキングになっている。
■春節やバレンタインでさらに活気づくオンラインショッピング
1月25日から31日は中国の一大イベントである春節にあたる。2月に入ってオンラインショッピング市場の成績が各所から発表されたが、事前に予想されていた通り、過去最高の取引額になった。中国でも、金融危機によって都市部の消費者が財布の紐を締めつつある中、「買いたい物を思うままに買うのではなく、賢い買い物をしよう」という意識に変わってきている。
オンラインショッピングサイトで最大シェアを持つC2Cサイトの淘宝網(TAOBAO)での、春節期間の取引額は前年比195%増となる過去最高を記録。主に携帯電話をはじめとしたデジタル製品などが売れたという。またオークションサイトの「拍拍網」の発表によれば、同サイトも前年比170%増と過去最高を記録した。
バレンタインデーも昨年以上の盛況で、花束や外国のチョコレートが売れていると報じられた。
■2008年の検索利用数で百度が他サービスをさらに圧倒
中国のリサーチ会社であるiReserchによれば、2008年、「百度」におけるユーザー検索数は1096億と1000億を突破、検索サイト全体の73.2%を占めた。中国の検索サイト市場にはYahoo!もGoogleもすでに参入している中で、以前として百度が圧倒的なシェアを占めている。2007年の72.6%から0.6ポイント上げ、微増ではあるがさらにシェアを伸ばした形だ。
■春節期間中に27万台のPCがウイルスに感染
セキュリティソフトベンダー「江民」は、春節の1週間で新種のウイルスを1800種発見したと発表。同期間内で確認した2万2千種のウイルスの1割弱が新種だった。この期間に27万6000台のPCがウイルスに感染したという。
江民では、春節はオンラインゲームのアカウント情報を奪おうとするウイルスが大量発生する時期であると指摘。ウイルスの種類別に見ると、wfxの亜種が大量に発生。wfxの亜種の場合は、春節前と比べて3倍を超える数のPCが感染したという。
■春節期間中もネットカフェは営業
中国の春節期間の街中は、日本で言えば昭和30年代くらいまでの正月のような、ほとんどの店が閉まっている状態だ。しかし、そんな中でもネットカフェはどこでも営業。親族一同の集まりに嫌々行く若者達が抜け出して、ネットカフェに避難しゲームで遊ぶ。
今年もいくつかのニュースサイトでネットカフェの営業実態について紹介していた。こうした傾向は都市部に限らず、中国全土の様々な地域で見られるようだ。客の多くは学生で、映画を見たり、ゲームをしたりして盛り上がっていたという。
■今月も多数のサイトが「低俗」として閉鎖に追い込まれる
1月に続き、2月も「低俗」とされた多くのサイトが閉鎖され、「低俗なコンテンツが消去された」ことが公に報告された。2009年に入って当局により新たに始まったインターネット浄化活動だが、2009年中ずっと続くのだろうか。
春節の期間中も、55のサイト、114のブログが各種法律に違反しているとして閉鎖された。
コンテンツを扱う国家機関「国家広播電影電視総局(広電総局)」は、動画共有サイトの土豆網で3214の動画を、PPLiveで440の動画を削除したと発表。また、インターネットプロバイダーの中国電信は、800強のサーバーが「低俗」であると当局から通知され、即座に切断したことを発表した。
■韓国ドラマの海賊版配信で、北京の権利所有者が提訴
韓国ドラマや中国映画などの中国におけるコンテンツホルダーである北京網尚文化伝播有限公司(網尚)が、北京の普信通科技有限公司に対して、網尚が権利を所有する韓国ドラマ4本を無許可でネット上で配信したとして、北京市東城区人民法院に提訴し、1本につき5万元(約70万円)、計20万元(約280万円)の損害賠償を請求した。
中国国内のコンテンツで、コンテンツ所有者が海賊版を放映する業者に対して訴えることは珍しいことではなくなったが、外国のコンテンツに対して同様のことが起きるのは珍しい。
■「オンラインゲームのやりすぎで性格が悪くなった」
中国青少年社会服務中心らが「未成年者互聯網(インターネット)運用状況調査技術報告」を発表した。
報告によれば、未成年者の73.1%が「オンラインゲームを遊んだことがある」とし、うち「1日に1回以上遊ぶ」人が10%強を占める。「週に1度」は36%、「2週間~1カ月に1回」と回答した人は40%強。
調査対象全体の51.4%が「オンラインゲームのやりすぎで性格が悪くなった、ないしは成績が下がったクラスメートがいる」と回答。しかし自分については、83.6%が「オンラインゲームのやりすぎで、依存症になってはいない」と回答している。
■中国のオンライン地図サービス市場は「Mapbar」が人気を独占
中国のリサーチ会社であるiReserchは、2008年度の「中国オンライン地図サービス業発展報告」を発表。報告によれば、中国では様々な地図サイトがあるが、そのひとつ「Mapbar」が74%ものシェアを占めていることがわかった。
「Mapbar」は、2008年の春節の頃に歴史的な大雪となり、その大雪の状況に対応した春節時の帰郷用の地図サービスを提供。四川大地震の時や北京オリンピック聖火リレーの際にも、その時々に応じた地図をタイムリーに提供してきた。こうしたきめ細かいサービスによって、インターネット利用者の間で認知度が高まったことが大きく影響しているとiReserchは分析している。
「Mapbar」の人気ぶりに見られるように、地図にイベントや事件に絡む場所をガイドする特設地図サイトの開設は、今後の地図サービスでは大きなトレンドになっていくかもしれない。バレンタインデーには、グーグルマップ中国版が、「花屋」「チョコレート屋」「プレゼント販売店」などの位置がわかる「北京バレンタインデー地図」サイトを開設している。
なお、中国の地図サイトについてはこちらの記事もご参照いただきたい。
■ゲーム提供で好調なFacebookのそっくりサイト、早くも海賊版が登場
中国版Facebook、いや、むしろFacebookにそっくりなサイトというべきデザインのSNSサイト「校内網」が人気だ。「校内網」は会員向けゲーム「開心農場」をリリースしたことで、毎週10万元(140万円)の収益が出るほど盛り上がっていると報じられたことで、広告以外で儲かるSNSサービスの新しいビジネスモデルとして、にわかに注目が集まっている。
一方で、「開心農民」「陽光牧場」など、「校内網」が提供するゲーム「開心農場」とデザインやコンセプトが酷似したゲームが早くも登場している。魅力的な付加サービスを追加して人気を集めると、必ずといっていいほど海賊版が登場するため、新しいビジネスモデルもそう容易ではないようだ。
■「YOUKU」「土豆網」ら動画共有サイトが3Gケータイ向けサービス
動画共有サイトを運営する「優酷網(YOUKU)」や「土豆網」が、今後中国で普及していく3G(TD-SCDMA、W-CDMA、CDMA 2000)携帯電話向けの動画共有サイトを運営するための許可申請を行っていることが、国家広播電影電視総局(広電総局)により明らかにされた。
この他にも、中国中央テレビ(CCTV)などのニュース系動画配信サイトもまた、許可申請中であるという。
■関連記事
山谷剛史の海外レポート
http://internet.watch.impress.co.jp/static/others/travel/060126/index.htm
中国の「愛国行動」をネットから分析する
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/special/2008/04/25/19367.html
四川大地震に関する情報を得るための中国サイトリンク集
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/special/2008/05/14/19539.html
ワールドカップで盛り上がった中国インターネット
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/special/2006/07/19/12688.html
(2009/03/06)
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山谷剛史(やまや・たけし)
海外専門のITライター。カバー範囲は中国・北欧・インド・東南アジア。さらなるエリア拡大を目指して日々精進中。現在中国滞在中。
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