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エバ・チェン代表取締役社長兼CEO
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シスコシステムズとの連携に関するロードマップ
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トレンドマイクロは10日、2006年度の戦略および2005年度の決算を発表した。
グローバル戦略については、同社代表取締役社長兼CEOを務めるエバ・チェン氏が説明。まず2005年を振り返り、マイクロソフトがセキュリティ業界に参入したことや、スパイウェアやフィッシング詐欺などの新たな脅威が現われたことを指摘した。
2月7日には米Microsoftが、PC向けセキュリティサービス「Windows OneCare Live」を6月に開始することを発表した。これについてチェン氏は、「(サービス提供は)随分前から知っていた。年間49.95ドルで3台のPCまで利用できるという料金体系だが、我々も同様の製品を25ドル(米国版ウイルスバスターの更新費用)で提供しており、他のセキュリティベンダーが1社増えただけ」と語り、Microsoftの新サービスが同社の売上に大きな影響を及ぼすことはないとの考えを示した。
また、「悪質なコードはどのようなルートを経てくるのか?」「なぜもっと早く教えてくれなかったのか?」「私は本当に守られているのか?」という3つが、セキュリティ市場において未解決の問題であるとした。チェン氏は「これらの問いに答えるには、セキュリティをネットワークインフラに統合し、常にアップデートしたサービスとして提供すること」と語り、具体的にはシスコシステムズなどが提供する製品と統合することで可能になるとした。
エンタープライズ戦略では、ゼロデイアタックの事前予防や企業ネットワークへの脅威侵入の阻止などを掲げた。法人向けウイルス対策で提携しているシスコシステムズとの連携を進め、シスコのネットワークインフラに対してトレンドマイクロのコンテンツセキュリティ技術を統合させる考えを示した。
一方コンシューマ戦略としては、さまざまなサイトを閲覧したりトランザクションを大量に使用するなど、リスクに直面しやすいユーザーが増えていると語り、2月10日に発売したスパイウェア対策ソフト「スパイバスター」はこれらのユーザー層に向けて開発されたものだと述べた。
● 製品単体だけでなく「ナレッジを付加したサービス」を提供
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大三川彰彦日本代表
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トレンドマイクロのビジョン
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国内向け戦略については、同社日本代表の大三川彰彦氏が説明した。まず2005年は、ウイルス対策をはじめとしたセキュリティコンテンツマネジメント製品を中心に提供してきたと振り返った。今後は「ネットワークのアクセスコントロールが重要になる」と語り、2006年はアプライアンス製品やコンサルティングなどの需要が増えると予想する。
現在、日本の企業で使われているPCは約3,000万台あるといわれている。そのうち、トレンドマイクロのクライアント/サーバー系製品がインストールされているのは約3割に上るという。これらの既存顧客に対して同社では、単に製品を提供するだけでなく、システムの運用やセキュリティのアドバイスなど、同社の知識を付加したソリューションサービスを強化する考えだ。
またコンシューマ戦略では、月額版の「ウイルスバスター」をISP経由で提供したり、PCメーカーとの協業で同ソフトをプリインストールするなど、新規顧客獲得のチャネルを多様化する。セキュリティの知識に乏しい層に対しては、ユーザーがいる場所に出向くオンサイトサポートなどを充実させているとした。
なお2005年度の連結決算(1月~12月)は、売上高が前年度比18%増となる730億3,000万円、営業利益が同6%増の275億7,200万円、純利益は同18%増の186億7,000万円と軒並み順調だった。地域別売上高では、日本が前年度比16%増の294億1,600万円で最も多く、全体の40%を占めた。以下は、欧州の183億7,900万円、北米の154億1,700万円と続く。
製品別売上高では、クライアント/サーバー系製品が236億1,200万円(全体の32%)、インターネットサーバー系製品が184億9,200万円(同25%)、コンシューマPC系製品が157億3,600万円(同22%)だった。
関連情報
■URL
トレンドマイクロ
http://www.trendmicro.co.jp/
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( 増田 覚 )
2006/02/10 15:15
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