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改正薬事法が施行、医薬品ネット販売規制への対応は


ケンコーコムの通知文

「継続購入」「離島居住」の確認を求める業者もあるが、対応はまだ一部
 改正薬事法が6月1日から全面施行され、コンビニエンスストアなどでも「登録販売者」を配置すれば風邪薬などの医薬品の販売ができるようになった一方、ネット販売を含む通信販売ではビタミン剤などリスクの低い医薬品しか販売ができなくなった。

 改正薬事法では、一般用医薬品をリスクの高い順に「第1類」「第2類」「第3類」に分類した上で、それぞれのリスクに応じた販売方法を定めている。最もリスクの高い「第1類」については、薬剤師が書面を用いて情報を提供した上で販売することとされた。一方、「第2類」「第3類」の医薬品については、新制度として設けられた「登録販売者」を配置すれば、コンビニエンスストアなど薬局以外での販売も認められるようになった。

 こうした緩和の一方で、ネット販売を含む通信販売は規制されることとなった。厚生労働省では改正薬事法に伴う省令で「医薬品は対面販売が原則」だとして、対面での情報提供が行えない通信販売については、最もリスクの低い「第3類」医薬品のみ販売を認めるとした。これにより、風邪薬などの「第2類」医薬品は通信販売では購入できなくなった。

 こうした通信販売規制に反対の声もあったことから、厚生労働省では「薬局・店舗のない離島居住者」と「改正法施行前に通信販売で購入した医薬品の継続購入者」については、2年間(2011年5月31日まで)の経過措置として第2類医薬品の通信販売を認めるとする改正省令を5月29日に公布した。

 医薬品ネット販売大手のケンコーコムでは、この省令改正については「全く納得できる内容でない」としながらも、省令に従う形で販売を行うと説明。第2類医薬品は離島在住者または継続購入者に限り販売し、継続購入者については購入履歴が確認できなければ注文を取り消すとしている。また、改正省令は5月29日に公布されたことから、履歴確認を行うシステム上の仕組みが整っていないため、仕組みが完成するまで第2類医薬品のネット販売は全て一旦停止し、6月5日をめどに再開したいとしている。

 また、ケンコーコムでは5月25日に、省令自体の無効確認などを求める行政訴訟を起こしており、今回の省令に対しては「現在のような不条理な状況が一刻も早く解消されるよう、ケンコーコムは決して泣き寝入りすることなく、この訴訟に全力で取り組んでいく」としている。

 楽天やYahoo!ショッピングなどに出店している業者では、既に「継続購入者」「離島居住者」に該当するかといった項目を設けているところもあるが、そうした対応が行われていない業者も多く見受けられる。楽天とヤフーでは両社とも、各店舗に対して公布された省令の内容などの情報提供を行っているが、対応については各店舗の判断となると説明。また、「継続購入者」「離島居住者」などを確認するための仕組みの提供については、店舗や利用者からの要求に応じて検討していきたいとしている。


関連情報

URL
  厚生労働省 一般用医薬品販売制度ホームページ
  http://www.mhlw.go.jp/bunya/iyakuhin/ippanyou/index.html
  ケンコーコムの通知文
  http://www.kenko.com/otc/notice.html
  Yahoo!ショッピングの通知文
  http://shopping.yahoo.co.jp/info/notice/information/02.html

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( 三柳英樹 )
2009/06/01 15:36

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