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【 2009/06/09 】
「驚かせ、楽しませ、世に問い続けたい」
~芸者東京エンターテインメント社長 田中泰生氏(後編)
[11:15]
【 2009/06/08 】
「驚かせ、楽しませ、世に問い続けたい」
~芸者東京エンターテインメント社長 田中泰生氏(前編)
[11:20]
【 2009/04/28 】
ブログに恩返しがしたい
~アジャイルメディア・ネットワーク社長 徳力基彦氏(後編)
[11:16]
【 2009/04/27 】
ブログに恩返しがしたい
~アジャイルメディア・ネットワーク社長 徳力基彦氏(前編)
[11:19]
【 2009/03/31 】
ファッションは言語の壁を超える
~プーペガール代表取締役社長 森永佳未氏(後編)
[11:38]
【 2009/03/30 】
ファッションは言語の壁を超える
~プーペガール代表取締役社長 森永佳未氏(前編)
[11:30]
【 2009/03/10 】
物流をもっと身近な生活インフラにしたい
~ピー・アール社長 渡辺陸王氏(後編)
[11:17]
【 2009/03/09 】
物流をもっと身近な生活インフラにしたい
~ピー・アール社長 渡辺陸王氏(前編)
[11:08]
【 2009/02/24 】
一杯のコーヒーで精神的な満足を
~さかもとこーひー 坂本孝文氏(後編)
[11:07]
【 2009/02/23 】
一杯のコーヒーで精神的な満足を
~さかもとこーひー 坂本孝文氏(前編)
[11:17]
【 2009/02/10 】
独身男性でもママと育児を応援したい
~リトル・ママ社長 森光太郎氏(後編)
[10:46]
【 2009/02/09 】
独身男性でもママと育児を応援したい
~リトル・ママ社長 森光太郎氏(前編)
[11:46]

記念日をロマンチックに祝ってほしい
~アニバーサリープランニング社長 田中彩子氏(後編)


喜ばせたい、驚かせたい

「資金は、何となく語呂良く“レッツゴー!”の500万円ほしくて。子どもの頃からお年玉とかをずっと貯めていた貯金もはたいてしまいました」
 会社を設立したのは、大学4年の春です。資本金として500万円用意しました。同じ大学だった友達と2人で会社を作ったのですが、彼女が150万円を出してくれて自分は350万円出しました。優勝賞金も資本金に回しました。

 本当は500万円も要らないと思ったのですが、何となく語呂良く「レッツゴー!」の500万円ほしくて(笑)。高校時代にバイトしたお金やお年玉とかをずっと貯めていたんです。その貯金をはたいてしまいました。それでも足りなくて、100万円は親に借りたんですけど。

 誘ったのは、中高大学とずっと一緒だった女の子です。それまではグループでたまに遊ぶくらいの友達だったのですが、ある日夢の話になって、「ブライダルを海でしたいと思ったらできるようにしたい」という話をしていた時、彼女の目がきらきらしていたんですよ。「人を喜ばせてあげたいという気持ちがある子だな」と思いました。だからこの子とやりたいと思って、「一緒にやろうよ」と誘ったんです。

 初めて私が自分でサプライズをしたのは高校1年生の時でした。11月11日はポッキーの日と言われているんですが、初めてのバイトで稼いだお給料でサプライズを考えたんです。

 1限目が体育だったので、遅れて行って、1人1人の机の上にポッキーを置いたんです。その日はたまたま、彼女の誕生日だったので、お祝いの気持ちを込めて2つ置いたんです。彼女が誰かにサプライズをしてもらったのはあの時が初めてだったそうです。あとでその時のことを思い出して、「お互いアニプラをやる運命だったのかもね」と盛り上がったことがあります。


キーワード広告は効果あり

 会社を設立するのに、人に頼むと手続きに30万円もかかると聞いて、司法書士さんの無料相談や税務署に行っていろいろ教えていただいて、設立手続きは自分たちでやりました。だって30万円も、もったいないですよね(笑)。学生なので時間がありましたから。

 1年目はまだサイトがなかったので、ゼミ室や家で仕事をしていました。合間に電話でリムジン会社の受付をやらせてもらったりもしました。学生起業家の子が設立パーティをした時に、ある社長と知り合って、「私も起業をするんです」と言ったのがきっかけで、間借りをさせてもらうことになったのが今の事務所です。サイトは「ご飯をご馳走するから」と大学生に頼んで作ってもらったり、あちこちの知り合いの力を借りて出来上がっていきました。

 最初は口コミで仕事をしていました。サイトからくる人が半分、知り合いで使ってくれる人が半分という具合で、営業は特にしていなかったですね。利用してくださるのは、起業家つながりで、ベンチャー系社長さんや、広告代理店系の方が多かったです。

 カップル以外の方でも「女7人でパーティを」というような依頼もあります。特に統計を取ったわけではないのですが、感覚的には、26~7歳くらいの方が一番多いようです。40代50代の方からの依頼も時々あります。

 一番印象深いのは、やはりプロポーズですね。もちろん、誕生日のお祝いも多いです。その他、ゴルフのラウンドを回る時に使う方もいらっしゃるし、成人式や卒業式、謝恩会、結婚式などで使う方もいらっしゃいますね。披露宴会場から二次会会場までの移動手段にリムジンを使うケースもあります。リムジンの中には記念のバルーンを飾ったりしています。

 ネット広告を出したら効果があったので、知ってもらうことは大事だなと思いましたね。たとえば「リムジン」と入れると広告が出る、Googleアドワーズ、オーバーチュアなどのキーワード広告を打っています。

 中小企業は大きな広告は出せないので、こういう広告は大きな味方になってくれます。テレビや雑誌などに取材していただくこともあるのですが、放送後は視聴者の方たちから問い合わせが増えますね。今は募集していないのですが、スタッフ募集の問い合わせも増えるので、アニプラのような仕事を職業にしたい人はいるんだなと思っています。


お客様からの喜びの声に感動

Anipla
http://anipla.jp/

リムジンサービス、生演奏、花火、バルーン装飾、花束プレゼントなど、特別な日のためのプランが多数用意されている
 アニプラには、具体的にはサプライズサービス、貸切サービス、プレゼントサービスなどがあります。

 サプライズサービスには、個人のために花火を打ち上げる花火演出、飛行機を使って飛行機雲でハートやメッセージなどを青空に描くスカイメッセージなどの大がかりな演出から、黒人歌手や弦楽四重奏による生演奏、名前が入ったり可愛い形などのオリジナルバルーンによる演出までそろっています。

 貸切サービスでは、リムジン、クルージング、映画館、人力車などを貸切で楽しんでいただくことができます。リムジンには普通に過ごしているとなかなか乗る機会がないものなので、かなり人気が高いです。

 プレゼントは、定番の花束から、写真が入ったオリジナルボール、オリジナルバルーン、オリジナルケーキなどがそろっています。薔薇やカラー、チューリップの花びらにメッセージを印字して花束にするサービスもロマンチックですよね。その他、パーティの企画、会場の手配、サプライズ演出、運営までトータルで請け負ったりもしています。

 人気のプランは、バルーンや外国人アーティストなどですね。たとえば、ジャグジーに「HAPPY BIRTHDAY」という文字が浮いていて、テレビ画面にも「HAPPY BIRTHDAY ○○ちゃん」という文字が映し出されて、部屋中にその人の似顔絵のついたオリジナル風船が飾られているとかの演出ができるんです。

 街頭の大型ビジョンにメッセージを流すサービスがあるのですが、大画面に「大好きだよ」というメッセージが流れるのを見ている2人をビデオで撮って、DVDにしたりもしています。彼女が涙を流して彼にきゅっとしがみついて頭をなでなでしてもらったりしていて、2人の幸せが伝わってきて、本当に感動的でしたね。


さんまさんにも「要らんわ」でがっかり

 青空にメッセージを描くスカイメッセージは、飛行機を飛ばすので140万円かかります。明石家さんまさんの番組で映像を流してご紹介いただいたことがあったのですが、「ぜひいかがですか」と勧めたら、さんまさんに「そんな高いもん要らんわ」と言われてしまって。あのさんまさんでもやらないなんて……とがっかりしたり。

 プロポーズは成功すると「結婚しました」などのご連絡をいただけることがけっこうあります。お客様の声は、いろいろとお寄せいただいているので、ためているところです。「結婚式で流す生い立ちDVDにアニプラ体験談を入れますね」とか、「食事も雰囲気も今まで行ったことがないレストランで最高でした」とか言っていただけるのと、本当に嬉しくなります。

 プランの企画出しはお友達と2人でやりました。これからもどんどん追加していく予定です。今までにも、シャボン玉による演出、冬限定の雪による演出、シャンパンタワーなど、いろいろな企画を考えました。企画は事前に一応どういうものか試します。だから個人的には、この仕事をして逆に、クリスマスとかにすごい演出を期待するような気持ちはなくなりましたね。先が読めてしまうし値段もわかってしまうので……(笑)。


一番人気のリムジンサービス。生演奏や映画館貸し切り、メッセージ付き花束など、他のプランとの組み合わせも可能です 意外と安い? 貸切映画館プラン。映画の最後に彼女へのメッセージをスクリーンに映して伝えられます。プロポーズの台詞を口に出して言うのはムリという人もこれなら大丈夫

アニバーサリーが好き

 この間家の掃除をしていたら、小学校の時の図工の作品が出てきたんです。箱の中を空間に見立てて自由に作った作品でした。

 それが面白くて、ツリーが飛び出ていて、端午の節句のカブトがかかっていて、飾りの代わりに七夕の短冊がついているんです。月のうさぎがツリーを見ていて、花火が上がっていて、ひな祭りのおひな様とお内裏様がいて、一年中の記念日が集まったような作品でした。きっと、昔から記念日が好きだったんでしょうね。

 家族も記念日好きなので、その影響もあると思います。特に母親がそういうことが好きですね。マメに写真を切り抜いてアルバムを作ったり、先日も祖父の誕生日だったのでみんなで箱根に家族旅行をしたりと、記念日を大切にしているのです。

 小さな頃から、誕生日にはハッピーバースデーの飾りがついたケーキやら何やらがあり、部屋にもお祝いの飾り付けがされていました。私が子年生まれで今年が子年なので、母からネズミのケーキをもらったりしたんですよ。


一から勉強の日々

「記念日って、その人たちだけの特別な日ですよね。そういう日を一緒にお祝いさせていただけるのは、本当にすばらしい仕事なので、気を引き締めてひとつひとつ大切に対応させていただきたいと思っています。」
 売上は1期目は1500万円だったんですが、利益率が何とたったの5%で。1年目は学生だったので、お金もかからず給料も取っていなかったのですが、それにしても信じられないですよね~(笑)。本当にどうしようって……。2年目からは本格的に勉強して、やっと利益率が上がるようになりました。2期目は30%になっています。

 それから、一度お客様の依頼されたプレゼントのお花が折れた状態で届いてしまったことがあって。お客様の悲しみや失望を感じて、もっときちんと対策を立てなければと考えさせられました。

 お客様にとってはたった一度の記念日です。せっかく頼んでいただくなら、忘れられない素敵な記念日にしたい。記念日って、その人たちだけの特別な日ですよね。そういう日を一緒にお祝いさせていただけるのは、本当にすばらしい仕事なので、気を引き締めてひとつひとつ大切に対応させていただきたいと思っています。


少しずつ成長してみんなを幸せにしたい

 今後、サービスをもっと増やしていきたいですね。楽しみながらもっと人を幸せにしていけたらいいなと思っています。今は電話やメールでお客様と対応をしているのですが、いつか実店舗も構えたいんです。旅行会社の窓口のように、記念日の度に多くのお客様に通っていただけるサロンのような店舗にしたいです。

 今はみんなで修行僧の気分なので、がんばっていきたいです。そして、基盤がしっかりしてきたら、人を増やしたい。会社を一緒にやれる人を探したいです。

 まだシニアの方々の気持ちはわからないので、自分の身の丈にあったレベルで若者向けをメインにやっていきたいと考えています。それから、現在は代行ビジネスなので、自社商品も作っていきたいですね。「アニバーサリーと言ったらアニプラ」と言っていただけるような会社にしていきたいです。(おわり)


(→ 前編をみる


関連情報

URL
  アニバーサリープランニング
  http://anipla.jp/

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記念日をロマンチックに祝ってほしい
~アニバーサリープランニング社長 田中彩子氏(前編)(2008/07/14)



2008/07/15 11:37
取材・執筆:高橋暁子
小学校教員、Web編集者を経てフリーライターに。mixi、SNSに詳しく、「660万人のためのミクシィ活用本」(三笠書房)などの著作が多数ある。 PCとケータイを含めたWebサービス、ネットコミュニケーション、ネットと教育、ネットと経営・ビジネスなどの、“人”が関わるネット全般に興味を持っている。

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