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表現者のためのプラットフォームを作りたい ~まぐまぐ社長 横尾 茜氏(前編)
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まぐまぐ代表取締役社長の横尾 茜氏。まだ29歳。創業者であれば20代の社長も珍しくないが、2代目社長で20代女性というのはめったにいない。若くしてトップに抜擢されるまでと今後の展開などをお聞きした
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メルマガ配信サービスで知られる「まぐまぐ」のオフィスに行って驚いた。「純喫茶 窓」という看板があったのだ。部屋の作りも喫茶店風。テーブルの下に置かれている漫画に至っては、昭和49年発売の130円の「週刊少年ジャンプ」という凝りようだ。先代社長の大川弘一氏が趣味で作り上げたものらしい。
横尾 茜氏は、2007年11月に、大川社長の後を次いで新社長に就任した。若干29歳だが、会社で一番の古株だという。
ITベンチャーに20代の社長は珍しくないが、そういう人たちは大抵創業社長だ。二代目なのに若い社長というのは、かなり珍しいケースと言えるだろう。
まぐまぐはサービスとしては一昨年、会社としては来年で10周年を迎える。新しいまぐまぐの目指すものは何か。なぜ社長に就任したのか。代表取締役社長横尾氏に話を聞いた。
● まぐまぐとの出会い
大学生になって一人暮らしを始め、それに合わせてパソコンを買いました。VAIOのノートです。周りに持っている人が増えていたので、買わなければと思って。サークルには入らなかったですね。サークルでお金がかかるより、パソコンにお金を使う方がいいと思ったんですよ。
当時は接続料金が高かったので、ネットはテレホタイムにしていました。やっていたのはメールが中心です。携帯電話がない時代だったので、田舎の友だちとメール交換をするのに使っていました。ちょうどデジタルカメラがパソコンユーザーに普及し始めた頃で、これはおもしろいと思って、デジカメを買って撮影した写真を取り込んだりもしていました。
まぐまぐを見つけたのは、「ダカーポ」のネット特集ででした。見つけてすぐ、1ユーザーとしてメルマガを読み始めました。毎日の出来事が送られてくる日刊の「CHOTTO NEWS(ちょっとニュース)」とか、心理学が面白く読める「セクシー心理学! ★ 相手の心を7秒でつかむ心理術」とか。タダだし、当時はいまのように常時接続環境ではなかったので、メールで完結してくれるサービスはありがたかったんですよ。
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セクシー心理学! ★ 相手の心を7秒でつかむ心理術 2000年5月に発行開始、現在の発行部数はなんと12万0916部、大人気のメルマガだ。購読申し込みはこちら
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CHOTTO NEWS (ちょっとニュース) 1998年11月に第1回を発行、もうじき10年を迎える。購読申し込みはこちら
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● 一人で動くのが得意
姉とは年も離れていたので、小さな頃から一人でいることが多かったですね。そのせいか、一人で動くのが得意で、青春18切符で一人旅をしたりしていました。
大学生の頃に1カ月ぐらい、香港に広東語留学をしたことがあります。映画が好きで、映画の台詞がわかったらいいなと思ったんですよね。観光とは違って、みんなと一緒に泊まったり汚い屋台に行ったりして、面白かったですね。いいお店にも行きましたが、市場でご飯を食べたりするのが楽しかった。
レスリー・チャンファンのおばさんが多かったので、映画の話で盛り上がり、500円で見られる英語字幕の映画を見に行ったりしました。レスリーがやっている店にみんなで行ったこともあります。
● 編集がやりたい!
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編集者志望で、まぐまぐが東京支社を作るので社員を募集するのを知って応募。立ち上げたばかりの東京支社は4~5名だった
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やがて、就職活動の時期になりました。編集者になりたかったので、出版社をメインに受けていました。ある時メルマガを読んでいたら、京都に本社があるまぐまぐが、東京に支社を作るので社員を募集するというのを知って、メルマガを出しているくらいだし編集の仕事ができるかもと思い、応募することにしました。
まぐまぐは、今でこそ新卒採用を定期的にやっていますが、当時は中途しか募集していませんでした。自分は新卒だけどいいかなと思って説明会に行ったところ、無事採用決定。6月に入社が決まったのです。
すでに授業もなかったので、そのままバイトで入りました。社長とも直接話ができたし、かなりフランクで、何でもみんなと話し合える雰囲気がありました。当時東京支社にいたのは4~5名です。オフィスは当時、まぐクリック(現GMOアドパートナーズ)の片隅に置かれていました。
● まぐまぐ東京支社スタート
こじんまりした規模だったので、最初はなんでもやりました。入社当初、先輩社員と一緒にオフィス探しもしましたし、場所が決まってからはオフィス作りもしました。その頃のオフィスはマンションの一室で、清掃のサービスも入っていないので、掃除も自分たちでしていました。
業務的にはユーザーサポートを1年担当した後、まぐまぐのオフィシャルメルマガの編集に携わりました。編集業務は、自分で原稿を書く他に、投稿をまとめたり、メルマガ発行者に依頼した原稿をまとめたりなどがあります。発行者に記事を頼んだり、愛読していた「セクシー心理学」のゆうきゆう先生と仕事できたりが嬉しかったですね。
営業と広告に関するやりとりをしたりもしました。やがて部署を任せてもらえるようになってからは、有料メルマガの仕組みや売上等にも携わるようになりました。やがて、サイトのラフスケッチを書いてデザイナーに作ってもらいシステム発注したりも始めました。また、広告代理店の営業とやりとりしてタイアップ記事を作ったりもしていました。
● 「電波少年」出演!
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電波少年では番組内容に合わせて浴衣を着たり水着で出演したりすることも。当時は言われたことをこなすのに必死だったという
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当時一世を風靡したバラエティ番組「電波少年」に出たのは、23歳の頃です。「まぐまぐの広報にもなるし出ないか」と誘いがあったのです。新入社員1年目だったので、素直に出ることにしました。
この番組は特殊で、カメラが3台回っている環境で、プレハブ小屋に何時間も拘束されます。そんな中、自分でコンテンツを考えて放送し続けなければいけないのです。これが有料放送の番組として放送されるという仕組みになっており、「電波少年」にはダイジェスト版が流されていました。
コンテンツに困って、新聞を読んだり、タレント名鑑を見て電話をかけてタレントさんに来てもらったりもしました。サイトで矢追純一さんの連絡先を探して、スタジオまで来てもらったこともあります。鴻上尚史さんや高橋がなりさんなど、すごい方にも来ていただけたのですが、スタジオの中でしか会えないのでまったくそれっきりです。
「10週勝ち抜けば本物の女子アナになれる」という企画だったので、毎週浴衣や水着でのコンテストがあったんですよ。だから、水着になったこともあります。本当にひどいですよね(笑)。
当時から、2ちゃんねるの実況板はありました。けっこうひどいことも書かれたりするんですが、ついつい見てしまうんですよね(笑)。
自分でもメルマガを出していたのですが、「こんなことがありました」と書くと読者からメールをいただいたりしました。ゲストがいなくて困っていた時、メルマガに「有名人の知り合いがいる人はいませんか」と書いたところ、「夫は映画監督です」というお返事をいただいたこともあります。
有料番組だったので、ユーザーの反応は実にシビアでした。番組の掲示板は応援のメッセージが多かったのですが、2ちゃんねる等の他の掲示板では「もう帰れ」とか(笑)。そういう書き込みを見るとへこむのはわかっているんですが、ついつい見ちゃうんですよね(笑)。もっとも、2ちゃんねるでも「うまくいきましたね」「がんばったね」というコメントもあるんですけど。
● メルマガの極意
編集を担当していた頃は「あかねのしゃぶしゃぶは牛肉より豚肉」というタイトルでメルマガを出していて、読者は5000人くらいいました。読者や発行者にお集まりいただくイベントに呼ばれた時に読者と会う機会があって「読んでます」と言われたり、「メールのやりとりをしました」と声をかけられたりしました。そういうのはやっぱり嬉しいですよね。
ただ、読者がたくさんいると、自分は悪気がなくても書いたことで傷つく方もいるので、気を遣いました。たとえば、悪いニュースを軽い書き方で取り上げてはいけないとか。もっとも、個人的なことを書くのがメルマガのおもしろさ。当たり障りない内容ばかりではつまらないので、そのあたりのバランスが難しかったですね。
読者の方からいただいたメールには、お返事していました。メディアを発行する側からは一対多に見えても、メールをくださる読者の方にとっては一対一のコミュニケーションなんですよね。そういうコミュニケーションは大切にしたいと思いました。
思いがけずテレビ番組に出ることになったのですが、人を楽しませようという目的は、メルマガでもテレビでも同じだと感じたんです。そして、自分の役割ややるべきことは自分で作らなければいけないと思いました。
(後編につづく)
関連情報
■URL
まぐまぐ!
http://www.mag2.com/
■関連記事
・ 表現者のためのプラットフォームを作りたい ~まぐまぐ社長 横尾茜氏(後編)(2008/10/21)
2008/10/20 12:44
取材・執筆:高橋暁子 小学校教員、Web編集者を経てフリーライターに。mixi、SNSに詳しく、「660万人のためのミクシィ活用本」(三笠書房)などの著作が多数ある。 PCとケータイを含めたWebサービス、ネットコミュニケーション、ネットと教育、ネットと経営・ビジネスなどの、“人”が関わるネット全般に興味を持っている。 |
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