5分でわかるブロックチェーン講座

GMOがブロックチェーン決済に本腰、6月を目標にサービス開始

ビットコインは半減期を無事通過、送金手数料は10倍で推移

(Image: Shutterstock.com)

暗号資産・ブロックチェーンに関連するたくさんのニュースの中から見逃せない話題をピックアップ。1週間分の最新情報にわかりやすく解説を加えてお届けします。

1.ビットコインの半減期を通過、送金手数料は10倍で推移

 2020年5月12日、ビットコインが3度目の半減期を迎えた。これにより、マイニング報酬は12.5BTCから6.25BTCへと半減している。ビットコインの半減期は210000ブロックごとに訪れるため、10分に1度のブロック形成が問題なく今後も続く場合、4度目は2024年5月になる予定だ。

 半減期後の注目点としてはハッシュレート(採掘速度)があげられる。半減期によりマイニング報酬が半減するため、マイナーの損益分岐点は著しく上昇する。マイニングに必要なコストが変わらないのに対して報酬が半減するからだ。

 損益分岐点が上昇することによりマイニング事業から撤退するマイナーが相次ぐと、ハッシュレートは低下する。ハッシュレートの低下は、ビットコインネットワークの集権性が高まっていることを意味するため、セキュリティの懸念が発生したり送金が遅延したりといった問題が浮上するのだ。

 実際、今回の半減期以降ビットコインの送金手数料が通常の10倍で推移している。これは、マイナーの一部撤退と半減期需要による取引の増加が原因であるといえるだろう。

 ビットコインは、1つのブロックに格納できる取引の量に上限があり、溢れた取引はメモリプールという場所に一時格納される。このとき、マイナーは設定された手数料が高い取引から順番にブロックに格納していくことができる。そのため、取引を優先処理してもらうために、自然と手数料が高騰するのだ。

 歴史を重ねるごとにビットコインのハッシュレートは上昇し続けてきたが、半減期直後は下落傾向となることが多い。再び上昇傾向に入るまでは注意して経過観察する必要があるだろう。

参照ソース


    半減期!ビットコイン新規発行数が半減 BTCマイナーへの影響は?
    [CoinChoice]
    ビットコイン、手数料高騰 半減期受け
    [CoinPost]
    The Bitcoin halving 2020 just happened: Here’s what you missed
    [Decrypt]

2. GMOがブロックチェーン決済領域へ本腰、 6月を目標にサービス開始

 GMOインターネットグループは、2019年より開発を進めてきたステーブルコイン「GYEN」について、 当局認可取得後、6月を目標にローンチする予定であることを明らかにした。

 価格変動の少ないステーブルコインであるGYEN(GMO Japanese YEN)は、日本円に価格を連動させる設計となっている。今後、同社の海外ブランド「Z.com」を通して海外で先行提供される予定だ。

 GMOはグループ全体を通して、ブロックチェーンの主要領域である「交換」「マイニング」「決済」への参入を表明し続けてきた。「交換」と「マイニング」については既に事業化しているため、残る「決済」への参入を今回のGYENで目指すと説明している。

 なお、今後の事業の見通しについては、既存のマイニング拠点を6月中に完全撤退し、別拠点で再稼働させるという。これにより、大幅な電力コスト削減が期待でき、決済をはじめとする他領域への投資に回すことができるとしている。

(5/20 23:11更新)GMOより発表内容が修正されましたので、ローンチ時期の表記を5月から6月に修正させていただきました。

参照ソース

3. 人気掲示板サイトRedditが独自トークンを発行

 海外の人気掲示板サイトReddit(レディット)が、サイト上で投稿されたコンテンツに対する独自トークンの付与を開始した。独自トークンは、イーサリアムの共通規格ERC-20を使って発行される。

 Redditは、日本の2ちゃんねるのように無数のスレッドから構成されるサービスだ。英語圏を中心に約4億3000万ものユーザー数を誇る。今回の独自トークンは、「/r/Cryptocurrency」と「/r/FortniteBR」という2つのスレッドで試験的に発行されるという。

 前者は文字通り暗号資産に関するスレッドであり、投稿者に付与されるトークンは「MOONSトークン」。後者は、世界的に人気のバトルロワイヤルゲーム「Fortnite(フォートナイト)」に関するスレッドで、「BRICKSトークン」という名称で付与される。

 Redditは、トークンの発行にイーサリアムを選んだ理由を次のように説明している。「イーサリアムは、プラグラム可能なトークンを容易に発行できるスマートコントラクト機能を搭載している」。

 今回トークン付与の対象となった2つのスレッドには、それぞれ100万人以上の利用者が存在する。そのため、Redditの独自トークンは今後、急速に普及することが期待できそうだ。

参照ソース


    Reddit:コミュニティポイントとして「仮想通貨」発行へ|掲示板利用者に報酬を付与
    [BITTIMES]
    Reddit to launch Ethereum-based tokens for cryptocurrency and Fortnite subreddits
    [TheBlock]

4. JPモルガンが暗号資産事業者にサービス提供開始

 米国金融大手のJPモルガンチェースが、暗号資産取引所CoinbaseとGeminiに対してサービス提供を始めたことが明らかとなった。これは、同行における初の暗号資産事業を運営する顧客だ。

 JPモルガンのCEOを務めるJames Dimon氏は、これまでビットコインを含む暗号資産に対して懐疑的な発言を繰り返してきた。しかしながら、実需が伴うにつれて自身の見解にも変化が生じたという。

 同行は2社に対して、電信送金と自動清算機関(ACH)による入出金の機能を提供すると公表した。加えて、取引所の現金管理サービス体制もサポートしていくという。

 今回のJPモルガンによる発表は世界各国で広く報じられた。暗号資産事業者が、大手金融機関に顧客として受け入れられた“だけ”の出来事ではあるが、暗号資産業界はその性質上、大手金融機関から避けられ続けてきた過去があるのだ。

 ビットコインが誕生してから10年、暗号資産がようやくウォールストリートに認められつつある証拠だといえるだろう。

参照ソース


    JPモルガン、暗号資産取引所を初めて顧客に:WSJ
    [CoinDesk]
    JPモルガンチェース ビットコイン取引所をクライアントとして初めて承認
    [CoinChoice]
    JPMorgan Extends Banking Services to Bitcoin Exchanges
    [Wall Street Journal]

5. Telegramがプロジェクトを完全に放棄

 匿名メッセージングサービスのTelegram(テレグラム)が、開発中の独自ブロックチェーンTON(Telegram Open Network)と暗号資産「グラム(Gram)」のローンチを、完全に放棄する方針を発表した。

 Telegramは、2018年にICOで17億ドルもの巨額な資金を調達している。しかしながら、度重なるローンチ延期が続き、資金の72%を投資家に返還する意向を4月末に発表していたばかりだった。

 CEOを務めるPavel Durov氏によると、米国証券取引委員会(SEC)による提訴が原因だという。Telegramが実施したICOは、未登録業者による証券の販売行為だとみなされていた。この裁判に出口がみえず、今回のプロジェクトローンチを諦める結果となっている。

 Durov氏はまた、米国以外でもTONおよびGramをローンチできない理由について次のように述べた。「現在の金融産業は、国を問わず米国の法的基準に依存している状態が続いている」。つまり、米国での法規制をクリアできない限り、世界中でサービスを提供することは困難であるという。

参照ソース


    テレグラムがブロックチェーンプラットフォームTONの開発中止を発表
    [あたらしい経済]
    Telegram CEO、独自ブロックチェーンTONとトークンGRAMを放棄する方針発表
    [CryptoTimes]
    What Was TON And Why It Is Over
    [Telegramブログ]
    Telegram abandons $1.7 billion crypto project
    [Decrypt]

6. 世界最大の暗号資産・ブロックチェーンカンファレンス「Consensus2020」が閉幕

 暗号資産・ブロックチェーン業界における世界最大規模のカンファレンス「Consensus(コンセンサス)」が15日、閉幕した。

 今年のConsensusは、新型コロナウイルスの影響を受けオンラインでの開催となった。世界各国より約22000人が集い、昨今話題のCBDCやDeFi、各国規制について議論されている。また、新型コロナウイルスに関連するセッションも多く、バーチャルな世界が中心の暗号資産・ブロックチェーンに対する「With/Afterコロナ」への期待が伺えた。

 今年のConsensusについては、別途レポート記事を掲載する予定だ。カンファレンス全体をまとめたGeneral記事に加え、極めて重要なテーマに絞った記事も掲載する。ぜひご期待いただきたい。

参照ソース

編集部より: 当連載は、第9回(3月末掲載)まで仮想通貨 Watchにて掲載していたものです。第9回以前はこちらからご覧ください

田上 智裕(株式会社techtec代表取締役)

リクルートで全社ブロックチェーンR&Dを担当後、株式会社techtecを創業。暗号資産・ブロックチェーン業界で活躍するライターの育成サービス「PoLライターコース」を運営中。世界中の著名プロジェクトとパートナーシップを締結し、海外動向のリサーチ事業も展開している。Twitter:@tomohiro_tagami / @PoL_techtec