5分でわかるブロックチェーン講座

S&Pダウ・ジョーンズが暗号資産インデックスの提供を開始、PayPalユーザーの2割がビットコインに投資

暗号資産の価格高騰を後押しするインデックスについて考察

 暗号資産・ブロックチェーンに関連するたくさんのニュースの中から見逃せない話題をピックアップ。1週間分の最新情報に解説と合わせて、なぜ重要なのか筆者の考察をお届けします。

S&P DJIが暗号資産インデックスの提供を開始

 最大手インデックスプロバイダーである「S&P Dow Jones Indices(S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス)」が、暗号資産インデックスを提供することを発表した。暗号資産に関するデータ分析企業のLukka(ルッカ)との提携により実現する。

 今回発表されたインデックスは2021年より提供される予定だ。550種を超える暗号資産のデータにより編成されるという。後述するPayPalによる暗号資産市場への参入などのように、昨今は金融大手による市場拡大が著しくなっている。

 S&P DJIのようなウォール街の巨人が暗号資産のインデックスを提供することは、また一つ市場拡大を後押しする要素になるだろう。

 今回の発表では、これまで暗号資産を対象にしてこなかった投資家が、インデックスの存在により関心を持つようになると説明している。特定の管理者が存在しないのが暗号資産の特徴だが、一方でそれにより価格情報も各リソースによって大幅に異なることが多い。

 S&P DJIは、信頼できる新たなインデックスを提供することにより、投資家リスクを軽減しながら市場の発展に貢献することができるだろうと言及している。

参照ソース


    S&Pダウ・ジョーンズ「暗号資産指数」2021年から提供へ|金融サービス大手Lukkaと協力
    [BITTIMES]
    S&P Dow Jones Indices Builds Crypto Indexing Capabilities with Lukka
    [S&P DJI Press]

PayPalユーザーの2割がビットコインに投資

 10月末に暗号資産市場への参入を発表したPayPalユーザーに対して、米みずほ証券がアンケート調査を行なった。内容は、ビットコインへの投資有無である。

 みずほ証券によると、PayPalユーザーのうちアンケート回答者の2割が、この1ヶ月でビットコインを売買したという。回答者は380人にとどまるものの、この割合がそのまま全体に適用される場合、その数は6,000万人に及ぶ。

 PayPalを通してビットコインを売買しているユーザーは、主にトレーダーになるという。既存取引所ではなく使い勝手の良いPayPalアプリに取引の場を移したと考えられる。

 ここ数ヶ月の価格高騰はPayPalによる影響が大きいといえるだろう。しかしながら、今回のアンケート結果で新規ユーザーではなく既存ユーザーの取引が増えていたことが明らかになっている。

 今後の課題としては、これまでに暗号資産の売買を行なったことがないユーザーを、いかにして市場に参加させるかだといえそうだ。

参照ソース


    PayPal利用者の2割がビットコイン売買済みと回答=みずほ証券調査
    [CoinPost]
    Almost 20% of PayPal Users Have Used App to Trade Bitcoin, Mizuho Says
    [CoinDesk]

今週の「なぜ」暗号資産のインデックスはなぜ重要か

 今週はS&P DJIによる暗号資産インデックスとPayPalユーザーへのアンケートに関するトピックを取り上げた。ここからは、暗号資産インデックスがなぜ重要なのか、解説と筆者の考察を述べていく。

【まとめ】

インデックスの登場は市場が熟し始めている兆し
DeFi市場にもインデックスが登場
暗号資産におけるインデックスにはオラクル問題も

それでは、さらなる解説と共に筆者の考察を説明していこう。

リスク選定・投資判断にインデックスを使用

 インデックスは、主に金融市場における値動きを示すための指標を意味し、金融企業が顧客に販売する投資商品を企画・作成する際にも使用されるものだ。投資家も、インデックスを参照してリスク検討し投資判断を行っている。

 S&P DJIは、既存金融におけるインデックスの最大手であり、金融市場への計り知れない影響力を持つ。この巨人が暗号資産インデックスを提供することは、これ以上ない市場への後押しが期待できるだろう。

 主な暗号資産インデックスとしては、同じくウォール街の巨人であるBloombergとGalaxy Digitalが共同で制作したブルームバーグ・ギャラクシー・クリプト・インデックス(Bloomberg Galaxy Crypto Index)が2018年より提供されている。

インデックスの登場は市場が熟し始めている兆し

 インデックスが登場することより、市場は間違いなく成熟の一途を辿ることになる。先述のように、投資家が投資判断の参考にするだけでなく、金融企業が機関投資家向けの投資商品をインデックスを参考に作成するからだ。

 日本にもTOPIX(東証株価指数)や日経平均株価といった代表的なインデックスが存在する。株式市場のみならず、日本経済を考察する上でもこれらの言葉を聞いたことがない人はいないだろう。

 新興市場が成熟へ向かい始める時、そこには必ずインデックスの存在がある。コロナ禍で加速した暗号資産投資も追い風となり、市場は少しずつ熟し始めているといえそうだ。

DeFi市場にもインデックスが登場

 インデックスは、昨今話題のDeFi市場でも増加傾向にある。具体的には、DeFiデータ分析企業のDeFi Pulseが提供するDeFi Pulse Indexや、自動でポートフォリオをリバランスしてくれるPieDAOの提供するDeFi+Lなどがあげられる。

 まだまだ高度な知識とスキルが要される現状のDeFiでは、こういったインデックスを利用することで比較的簡単に投資を実行することができるだろう。DeFi投資に興味があるものの、難しくて躊躇しているという方にはぜひDeFiインデックスの利用を推奨したい。

 DeFiインデックスには、特有のリスクが存在することも予め知っておく必要がある。DeFiの各サービスはもちろんのこと、DeFiインデックスも全てスマートコントラクトで制御されるという点が、この業界ならではの特徴だからだ。

 そのため、DeFiインデックスで参照される価格情報は、外部から引用しなければならない。これをオラクル情報というが、当然ながらオラクル問題が浮上する。

 スマートコントラクトによって全て制御されているため、参照する外部の価格情報に何かしらの不具合が発生した場合に、その影響をダイレクトに受けてしまう。つまり、価格情報を不正に操作することで、インデックス価格も間接的に操作することができてしまうのだ。

 こういったケースは極めて稀ではあるものの、DeFiに限らず暗号資産業界ならではの問題でもあるため、DeFiをはじめ暗号資産への投資を検討する際には考慮してもらいたい。

田上 智裕(株式会社techtec代表取締役)

リクルートで全社ブロックチェーンR&Dを担当後、株式会社techtecを創業。“学習するほどトークンがもらえる”オンライン学習サービス「PoL(ポル)」や企業のブロックチェーン導入をサポートする「PoL Enterprise」を提供している。海外カンファレンスでの登壇や行政でのオブザーバー活動も行う。Twitter:@tomohiro_tagami