中島由弘の「いま知っておくべき5つのニュース」

ニュースキュレーション[2020/7/2~7/9]

接触確認アプリのダウンロード数が約632万件 ほか

eHrach/Shutterstock.com

1.[新型コロナウイルス]接触確認アプリのダウンロード数が約632万件(7月9日現在)

 厚生労働省は「新型コロナウイルス接触確認アプリCOCOA」が7月9日17時時点でのダウンロード数が約632万件である発表した(ケータイWatch)。日本の人口がおよそ1億2000万人に対して、5%ほどの普及率だ。なお、60%の普及で効果が期待できるとされている。

 そして、7月3日から、新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理システムからの処理番号の発行を開始した(PC Watch)。処理番号は陽性が確認された人に発行され、接触確認アプリCOCOAに入力する。それにより、濃厚接触者に対し、接触があったということを通知する。処理番号を入力するということがきちんと運用されるかは利用者の理解によって行われるのか、それとも診断とともに医師や保健所職員の面前での入力が促されるのか。これによっても実効性には影響がありそうだ。

 また、政府は大規模イベント開催制限の緩和にあたり、接触確認アプリを導入するよう要請した(朝日新聞デジタル)。

 それに加え、内閣府は新型コロナウイルス感染症が地域経済に与える影響を地域別に把握できるデータまとめサイト「V-RESAS」を公開した(ITmedia)。「エリアごとの移動人口や、スーパーのPOSレジで集計した売上高の変化などをグラフや数字で確認でき、“コロナ前後”の傾向を把握できる」としている。

ニュースソース

  • “コロナ前後”の移動や消費データ、地域別に可視化「V-RESAS」内閣府が公開[ITmedia
  • イベント参加者に「接触確認アプリ導入を」 政府が要請[朝日新聞デジタル
  • 接触確認アプリ、新型コロナ陽性者登録のための処理番号を発行開始[PC Watch
  • 新型コロナ接触確認アプリ「COCOA」、ダウンロード数632万件に――前日から22万件増と再び増加傾向に[ケータイWatch

2.[テレワーク]Microsoft Teamsに「Togetherモード」

 矢野経済研究所が国内テレワーク関連ソリューション市場におけるITツール利用状況、ビデオ会議システム市場の調査結果を発表した(ZDnet Japan)。テレワーク勤務中に利用したITツールの割合は、ウェブ会議システムが79.2%、ビジネスチャットツールが46.2%、オンラインストレージが37.4%、タスク/プロジェクト管理ツールが8.4%だとしている。緊急事態宣言後、ビデオ会議はビジネスに定着をしたといってよいだろう。

 また、米マイクロソフト社はTeamsに「Togetherモード」を追加した(ITmedia)。従来のビデオ会議にありがちな、会議の参加者の映像がタイル上に並ぶのではなく、会議テーブルやシアターの客席のような1枚の背景に参加者が並んでいるかのように表示される。多くのフィードバックをもとに開発されたようだが、「新しい日常」において、こうした演出はやはり重要だと感じる。また、こうした表示を生かしたイベント企画が生まれるかもしれない。

ニュースソース

  • テレワークでのウェブ会議システム利用は約8割--矢野経済研調査[ZDnet Japan
  • Web会議「Microsoft Teams」にバーチャルルームに集まれる「Togetherモード」[ITmedia

3.[衛星/気球]通信衛星「OneWeb」の再建案が固まる

 ソフトバンクが出資をしていたことでも知られる低軌道衛星を使った通信インフラ事業者であるOneWebは2020年3月に連邦破産法11条による保護を申請していた。このほど売却手続きが完了したと報じられている(TechCrunch日本版)。OneWebを取得したのは英国政府が主導するコンソーシアムで、インドのBharti Globalからの資金提供を受けているということだ。OneWeb社は650基の衛星による通信網の構築を計画していたが、74基を打ち上げたところで追加資金の調達に失敗し、経営破綻した。同様なインフラはフェイスブック社やスペースX社も計画をしている。

 また、米グーグルと同様、アルファベット社の傘下にあるルーン(Loon)社は高高度気球によるインターネットサービスの提供をケニアで開始したと発表した(CNET Japan)。こうしたインフラは災害により地上基地局が機能しなくなったときの代替のみならず、平時においても地上に基地局網を構築するよりも安価に、かつ迅速にサービスを展開できるとされている。この運用は「商業展開は今回が初となる。インターネットアクセスが世界で最も不足しているとされるアフリカでの展開も今回が初めて」としている。

ニュースソース

  • グーグル兄弟会社Loon、気球によるネット接続提供をケニアで開始--商用で初[CNET Japan
  • ソフトバンクが投資を止め破産申請中の通信衛星OneWebを英政府とインドのBharti Globalが買収し再建へ[TechCrunch日本版

4.[メディア]講談社がデジタルメディアの研究・開発に特化した新会社設立

 講談社がデジタルメディアの研究・開発に特化した新会社「KODANSHAtech合同会社」を立ち上げたと発表した(Media Innovation)。2018年には「コンテンツをより豊かな形で自在に届けるための技術」を磨き、継続的な開発・改善を行うための研究開発チーム、通称「techチーム」を発足させていたが、さらに展開を強化することを狙い、法人化したという。「現代ビジネス」「FRIDAYデジタル」のほか、「FRaU」「ViVi」「VOCE」などメディアでも成果をあげた。さらに、科学者支援クラウドファンディングサイト「ブルーバックスアウトリーチ」もこのプロジェクトから生まれた。

 ここ数年、大手出版各社は自らによるデジタルメディア技術への取り組みを強化していることが伝えられていて、アドテクノロジーの高度化のみならず、読者に向けた新しいメディア体験が提供されることになるのではないかと期待される。

ニュースソース

  • 講談社、デジタルメディアの研究・開発に特化した新会社「KODANSHAtech合同会社」を設立[Media Innovation

5.[イベントカレンダー]PLAZMA 12―DATA SAVES THE WORLD?

 7月14日(火)から16日(木)まで、オンラインカンファレンス「PLAZMA 12」が開催される。参加は事前登録制だが、参加費は無料。

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への対応策で注目を集めた台湾政府でプロジェクトを主導したことで知られるオードリー・タン氏を始め、東京都の「新型コロナウイルス感染症対策サイト」を主催したCode for Japanの関治之氏らがスピーカーとして登壇する。

ニュースソース

  • イベント「PLAZMA 12」開催 ~ Data saves the world"?"[PLAZMA12

中島 由弘

フリーランスエディター/元インターネットマガジン編集長。情報通信分野、およびデジタルメディア分野における技術とビジネスに関する調査研究や企画プロデュースなどに従事。