中島由弘の「いま知っておくべき5つのニュース」

ニュースキュレーション[2020/8/27~9/3]

iOS 13.7で新型コロナ接触通知を標準サポート――日本ではCOCOAのインストールが必要 ほか

eHrach/Shutterstock.com

1. iOS 13.7で新型コロナ接触通知を標準サポート――日本ではCOCOAのインストールが必要

 アップル社がiOS 13.7をリリースした。変更点は、アップルとグーグルが共同で取り組む新型コロナウイルス感染症対策のための接触確認の機能だ(ケータイWatch)。このバージョンでは新たに「設定
」の「緊急SOS」の下に「接触通知」という項目が追加されることになるが、「これは保健当局による接触確認アプリが提供されていない国と地域に向けた仕組みであるため、日本のユーザーが接触通知を受け取るには、これまでと同様にCOCOAのインストールが必要となる」としている。

 また、9月1日時点のCOCOAのダウンロード数は約1577万件となった。陽性報告は533件となり、前日の517件から16件増えている(ケータイWatch)。

 そして、Impress Watchでは接触確認アプリから通知が来た人のレポートが掲載されている(Impress Watch)。そもそもアプリの不具合の可能性もあるようだが、実際に、どのように通知を受け取ることになるのか、そのときすべき対応などについて書かれていて興味深い。

ニュースソース

  • 接触確認アプリ「COCOA」、ソースコードをGitHub上に公開[ケータイWatch
  • 「iOS 13.7」でも「COCOA」のインストールは必要、厚生労働省が呼びかけ[ケータイWatch
  • 濃厚接触の覚えはないけど接触確認アプリから「通知」が来た[Impress Watch
  • AppleとGoogleの曝露通知、「Express」で当局の負担軽減[ITmedia

2.「アプリ内課金義務付け」問題について公取委もコメント

 公正取引委員会の杉本和行委員長は日本経済新聞社の取材に対し「米アップルがアプリ開発事業者に対し、自社のアプリ販売サイトや電子決済サービスの利用を義務付けていることについて『具体的な行動に関して検討していかないといけない』」と述べたことが報じられている(日本経済新聞)。「公取委で調査し、競争政策上の対応をとる必要があるかどうかを判断する」ということを意味しているとみられる。

 アップル社のプラットフォーム向けに配信するアプリにおいて、何らかの課金をする場合にはアップル社の決済システムを利用しなければならず、その手数料が30%と「高額である」ということから業界内での騒動へと発展をしている。アップル社としては端末の開発と販売、配信プラットフォームの開発と運用、アプリの健全性などの審査などを行うことで、1つのエコシステムを作ってきたことから、自らの「庭」であり、それこそがプラットフォーム全体の価値を形成しているという考えなのだろう。一方で、その経済規模が大きくなり、しかもモバイルではAndroidとiOSという2つの基盤に集約されてきたことから、特定企業のものではなく、社会的な基盤としての意味も出てきている。市場が成熟したいま、アプリやコンテンツの配信基盤に関するベンダーと消費者の合意を再定義する必要が出てきているということか。

ニュースソース

  • Apple課金「対応必要」 公取委委員長、米裁判を注視[日本経済新聞

3. いよいよ現実に近づくドローン配送

 日米双方でドローンの配送について、新たな展開が報じられている。

 米国では、アマゾンが玄関前までドローンで荷物を配達するサービス「Prime Air」について認可を取得したという。「米連邦航空局(FAA)がPrime Airに対して『Part 135の航空運送業者認証』を発行し、米国で商用ドローン配送を開始することを許可した」とのことだ(CNET Japan)。ただし、すぐに商用サービスが実現するわけではなく、「今回の認可によって顧客配送試験の開始が可能になる」という意味があるとしている。

 日本でもKDDI、日本航空、JR東日本、ウェザーニューズ、Terra Droneの5社が「東京都におけるドローン物流プラットフォーム社会実装プロジェクト」に参画することで、「ドローンによる医薬品配送や駅周辺のフードデリバリーサービスなどの実証実験」を開始する(Impress Watch)。

 社会的にはコロナ禍が続くなか、こうした技術への要求は高まっているといえることから、より現実的な、そして社会に有用なユースケースを共有した上での実証実験が進むものと期待される。

ニュースソース

  • アマゾンのドローン配送「Prime Air」、FAAの認可を取得[CNET Japan
  • ドローンで医薬品・フードデリバリー。KDDI、JAL、JR東らが都内で実施[Impress Watch

4. モビリティ分野の実証実験3題

 今週、モビリティ分野において3つの実証実験が報じられている。

 1つはソフトバンクと佐川急便が共同で行う自動走行ロボットを活用した配送サービスの実証実験だ(ITmedia)。「物流業界の人手不足解消と、新型コロナウイルス感染防止の観点」での実証実験となる。具体的には東京都港区竹芝エリアにおいて「屋外と屋内の2つのルートを使って、技術面や実用性を検証する。屋外では、自動走行ロボットが信号機の表示に従って交差点を横断したり、公道を安全に走行したりできるか実験する。また、配送中の荷物の温度変化や、走行中に加わる衝撃についても検証を行う」としている。

 WHILL社は横浜市で近距離モビリティ「WHILL(ウィル)」の長期実証実験を実施する(ASCII.jp)。WHILLとは「高出力モーターを動力とした近距離用のモビリティ」で、「公共交通機関を避けたい高齢者のためのオープンエアーの乗り物」として注目されているという。

 両者ともに、利便性だけでなく、労働人口の減少やコロナ禍(ウィズコロナ)という課題を設定している。リモートでもできることが増加するなか、それでは解決できない移動のニーズにということで、より課題が明確になっている。

 さらに、「空飛ぶクルマ」の開発に取り組むモビリティベンチャーであるスカイドライブ社は、日本政策投資銀行、伊藤忠商事、大林組、NECなど10社を引受先とする第三者割当増資により総額39億円を調達し、2023年には大阪湾岸でタクシーサービスを始める計画を明らかにした(ITmedia)。

ニュースソース

  • ソフトバンクと佐川急便が「自動走行ロボット」での配送実験、9月以降に実施[ITmedia
  • みなとみらいで近距離モビリティー「WHILL」を使った実証実験、無料で試乗可[ASCII.jp
  • 「空飛ぶクルマ」スカイドライブ 令和5年頃に大阪湾岸でタクシーサービス[ITmedia

5. マイクロソフトが取り組む新技術――ディープフェイク検知とトレーサビリティ

 米国マイクロソフト社の動きが2つ報じられている。1つはディープフェイクを検知する新技術「Video Authenticator」を発表したことである(CNET Japan)。これは「写真や動画の改ざんを検知し、本物である可能性をパーセンテージで表示する」という技術だ。昨今の技術向上によって、写真や動画が巧妙に加工され、事実でない情報が作り出されていることが問題視されている。こうした技術が広く導入されることで、フェイクを無力化することは喫緊の課題である。

 さらに、米国マイクロソフト社は米国スターバックス社とともに、「マイクロソフトのブロックチェーン技術を利用し、コーヒー豆の原産地を一般の購入者も追跡できるサービス(トレーサビリティ)の提供を開始した」ことが報じられている(ZUU online)。消費者はコーヒー豆のパッケージに記載されているQRコードを読み取ることで、豆がどこで生産され、どう流通され、どこで焙煎されたかなどの履歴を見ることができる。このように商品の来歴情報を改ざんされることなく(信頼できる方法により)記録をしておくことで、生産者から小売までのすべての経路上で、それぞれの仕事や商品の価値が向上を目指す。生産についても、消費についても市場が国際化するなかで、価値を維持するための仕組みとしての本格的な成功事例となることを期待したい。

ニュースソース

  • マイクロソフト、ディープフェイクを検知する新技術「Video Authenticator」を発表[CNET Japan
  • スターバックス、マイクロソフトのブロックチェーンでコーヒー豆追跡サービス開始[ZUU online

中島 由弘

フリーランスエディター/元インターネットマガジン編集長。情報通信分野、およびデジタルメディア分野における技術とビジネスに関する調査研究や企画プロデュースなどに従事。