中島由弘の「いま知っておくべき5つのニュース」

ニュースキュレーション[2024/1/11~1/17]

マイナンバーカードの民間利用の実証実験が始まる ほか

eHrach/Shutterstock.com

1. 生成AIが「大学入試共通テスト」に挑む

 AI導入コンサルティング会社のLifePromptが、今年度の大学入試共通テストを3つの生成AIに解かせ、その結果を公表している(LifePrompt)。記事では、それぞれの特性が表形式でまとまっているので、なかなか面白く読める。

 使用したのは、OpneAIの「GPT-4」、グーグルの「Bard」、アンソロピックの「Claude2」の3つのAIだ。その結果はGPT-4が圧倒的な成績を達成している。なお、次のような特徴も明らかになったという。

①GPT-4が全ての科目で他2つのツールを圧倒
②数学科目に関してはどのAIも全然点取れていない
③高得点を狙えている科目でも、満点は取れていない

 なお、「正答率が低かった数学を筆頭に、プロンプトを改善するとどのくらい正答率を高められるかこれからチャレンジしてみます!」と、今後は人間側の質問の仕方での変化を検証することも示唆している。

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  • 【2024年最新】共通テストを色んな生成AIに解かせてみた(ChatGPT vs Bard vs Claude2)[LifePrompt

2. 生成AIの活用を進める業界団体「Generative AI Japan」発足

 1月17日、生成AIの活用を進める業界団体「Generative AI Japan」(略称:ジェナイ)がに発足した(Impress Watch)。発起人はベネッセコーポレーションとウルシステムズで、代表理事は慶應義塾大学医学部の宮田裕章教授が務める。活動内容としては、「有識者や各業界を牽引する企業と連携し、生成AI活用の未来を議論する場作りを目的としている。エンジニアリングだけでなくビジネスや政策の観点からも幅広く議論する」ことを掲げている。

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  • 生成AI活用の未来を議論 「Generative AI Japan」設立[Impress Watch

3. マイナンバーカードの民間利用の実証実験が始まる

 デジタル庁は、3月2日に開催される「第38回 マイナビ 東京ガールズコレクション 2024 SPRING/SUMMER」(W TOKYO)で、チケットの不正転売防止などを目的とした実証実験を実施する(ケータイWatch)。「チケットの購入時と会場への入場時に、マイナンバーカードを活用した本人確認を実施し、複数アカウントでの大量購入や高額な不正転売の防止につながる可能性を検証」するという。

 マイナンバー制度は「行政の効率化、国民の利便性の向上、公平・公正な社会の実現のための社会基盤です。 マイナンバーは、社会保障、税、災害対策の分野で効率的に情報を管理し、複数の機関が保有する個人の情報が同一人の情報であることを確認するために活用されます」(総務省)というコンセプトで、マイナンバーカードは「様々な行政サービスを受けることができるようになるICカード」(総務省)という位置付けでスタートしたが、いよいよ民間サービスでの利用展開に向けた実証実験となる。

 一方、誤った情報の登録が問題なったことは記憶に新しく、また、番号によってプライバシーが管理されることについての懸念がある人も少なくない。マイナンバーとマイナンバーカード、公的個人認証の違いなどの理解を促進することなども並行して進めないと、民間サービスでの利用の抵抗感が抜けない人は多いままかもしれない。

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  • デジタル庁、TGCでマイナカード活用の実証実験[ケータイWatch

4. 「Sakana AI」が約45億円の資金調達

 日本で起業したAI開発スタートアップ「Sakana AI」が合計で約45億円の資金調達を行なった(Impress Watch)。出資したのはシリコンバレーのベンチャーキャピタルや、NTTグループ、KDDI、ソニーなどである。Sakana AIは「オープンソース等で利用可能な大小さまざまなAIモデルをつなぎ合わせ、結果として巨大なLLMとして動作可能にするエージェントを開発することを目的」としている。今後の有力なAI企業として、その成果が期待される。とりわけ、NTTが筆頭株主になったというところには注目だ。

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  • 東京発のSakana AI、45億円資金調達 NTTが日本での筆頭株主に[Impress Watch

5. 世界のPC市場、8四半期連続で縮小――今後はプラスに転じる見通しも

 IDCが「世界PC市場に関する調査結果」の速報値を発表した(CNET Japan)。それによると、「2023年第4四半期の出荷台数は6710万台で、前年同期の6890万台に比べ2.7%減」だった。PC市場が縮小するのは、これで8四半期連続となる。減少に転じたのは、COVID-19のパンデミックの影響により短期間に一時的なPC需要が急増したことの反動と分析をしている。今後、順調にいけば、企業のPC更新時期などが訪れ、2024年のPC市場はプラスに転じると見ているようだ。

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  • 世界PC市場、2023年第4四半期は2.7%減、通期は13.9%減と低迷--底を打ち2024年は増加へ[CNET Japan
中島 由弘

フリーランスエディター/元インターネットマガジン編集長。情報通信分野、およびデジタルメディア分野における技術とビジネスに関する調査研究や企画プロデュースなどに従事。