中島由弘の「いま知っておくべき5つのニュース」
ニュースキュレーション[2024/1/18~1/24]
テレビ視聴はオンデマンドが当たり前になりつつある ほか
2024年1月26日 18:35
1. 通信インフラの被害状況と復旧への道筋
令和6年能登半島地震の復旧には、その被害の甚大さから、なおも時間がかかりそうな状況だ。
そのようななか、通信サービスの復旧対応に関して、携帯電話事業者各社の技術陣が合同で記者会見を開き、被災地の現状と今後の復旧対応について説明を行った(ケータイWatch)。それによれば、「通信サービスの中断エリアの拡大」は、地震発生後、時間が経過した1月3日から4日にかけてのことだったという(ケータイWatch)。意外に感じるかもしれないが、基地局への電力供給が途絶えたことにより、停電に備えていたバッテリーでの運用をしていたものの、それが途絶えたという流れのようだ。一方、発電機の用意や発電機のための燃料の確保など、キャリア間での連携も行われたという。これまでの度重なる災害での経験がこうして生かされているというのは心強い。
また、海上に船を停泊させて、携帯電話の通信エリアの確保を行ったり、衛星を使う通信インフラのStarlinkを活用したりする新たな方法もその役割を発揮したようだ。衛星を使う通信網は急速にインフラ整備が進んでいることもあり、今後は災害時での用途ととして中心的な役割を担うことが期待できる。一方で、ドローンは飛べる場所の制限などから、十分には活用できなかったという課題も報告されている。
各社とも応急復旧は完了しているというが、まだ基地局へ近づくことのできない地域もあるということだ。こうしたことも被害の甚大さを物語っている。
加えて、避難所などでは、キャリアによってはつながりやすさに差異があったことなども報告されていて、今後は、災害時における「事業者間ローミング」の可能性についても検討がされるものと思われる(ケータイWatch)。
ニュースソース
- 能登半島地震の復旧状況について、4キャリア技術陣が会見[ケータイWatch]
- 能登半島地震、携帯4社の会見で示された注目すべき取り組みと「衛星・空飛ぶ基地局」への期待[ケータイWatch]
- 能登半島地震で「Starlink」はどう役立ったのか――共同会見におけるKDDIの回答は[ケータイWatch]
- 能登半島地震でドコモとKDDIが運用した「船上基地局」、両社が語るメリットと日本海の厳しさ[ケータイWatch]
- 停電と伝送路の寸断が与えた大きな影響――能登半島地震、携帯電話の通信障害[ケータイWatch]
- 携帯4社が通信エリアの応急復旧、今後の見通しと能登半島地震の難しさ[ケータイWatch]
- 能登半島地震の「船上基地局」、初めて運用したドコモの担当者に聞く[ケータイWatch]
2. ダボス会議ではAIが重要な話題として取り上げられる
世界経済フォーラムの年次総会である通称「ダボス会議」が1月15日からスイスで開催された(NHK)。
今年のダボス会議の大きな話題は、ロシアによるウクライナ侵攻や人道危機が深刻化する中東情勢による「世界の安全保障」や「新しい時代の経済成長」と並び、人工知能(AI)による社会への影響が大きな話題として取り上げられている。この会議にはChatGPTを開発したOpenAIのCEOであるサム・アルトマン氏も登壇し、「世界が汎用人工知能(AGI)に近づくにつれ、事の重大性やストレス、緊張の度合いのいずれもが高まっていくだろう」と述べたことが伝えられている。
また、AIが活用されるにつれ、それを駆動させるための電力需要についても言及している。これを解決するために、石油に代わってより環境負荷の低いエネルギー源として、核融合発電などの技術開発などにも触れている(Gizmode)。
一方、企業経営者はAIの利用について冷静のようだ。「すごい試用版を作れるけれど、真の価値はどこにあるのか分からないと、誰もが言っているようなものだ」(ロイター)という見方も報じられている。
さらに、世界経済フォーラムがまとめた「グローバルリスクレポート2024」では、「虚偽情報」が「今後2年の10大リスク」の第1位だとしている(ITmedia)。いま起きているSNSでの拡散にとどまらず、さらに地球規模の問題として「選挙介入からサイバー犯罪、軍事目的に至るまで、あらゆる場面でAIが利用される危険性」を指摘している。
3. AWS、日本市場に2兆2600億円を投資~2027年までにクラウド関連で
アマゾンウェブサービス(AWS)は、2027年までに日本市場において、クラウド関連でおよそ2兆2600億円という巨額の投資するという計画を発表した(ケータイWatch)。
記事では、「AWSは2011年~2022年ですでに日本市場に1兆5100億円を投資。今回発表された投資額も含めれば、16年間で累計3兆7700億円を投じることになる」としており、今後、ますますその存在感を高めていくことになりそうだ。具体的には、すでにある東京と大阪のデータセンターの保守運用、増強などに充てるとしている。
これからのデータ量の爆発的な増大、さらにはAIの活用などを前提に考えると、決して大げさな投資というわけでもないだろう。
この発表の場には、自由民主党デジタル社会推進本部長の平井卓也議員の姿もあり、「ネットワークとデータセンターはかつての道路や水源地、鉄道に匹敵する最重要インフラだ」と述べている。
ニュースソース
- AWS、27年までに2兆円超を日本市場へ投資――クラウドサービス強化[ケータイWatch]
4. 新たな検索方法の実装が進む
ここにきて、新たな検索方法がサービスインしている。
スマートフォン用の「Yahoo! JAPAN」アプリでは、カメラで撮影した画像や保存してある画像から似ている商品や人物などを検索できる「カメラ検索機能」に対応した(Impress Watch)。検索は、「商品検索」「有名人検索」「類似画像検索」「QR・バーコード読み取り」などとなっている。すでに、Googleのアプリでは画像の検索は実現されていたが、分かりやすくするような差別化の工夫も見られる。
一方のGoogleは「かこって検索」を実装した(ケータイWatch)。この機能は、どのようなアプリからでも、簡単な操作で「Google検索」を使えるようにするというもので、アプリを切り替えなくても、画像に写っている対象物を丸で囲むことで検索ができる。当面は新製品であるGalaxy S24シリーズや、Pixel 8/8 Proで1月31日以降に利用できるようになる。次のステップはジェミニなどを使うマルチモーダルなAIへの進歩か。
ニュースソース
- Yahoo! JAPANアプリが「カメラ検索」に対応 文字入力不要に[Impress Watch]
- グーグルの新機能「かこって検索」が登場、どんなアプリからでもすぐ検索[ケータイWatch]
5. テレビ視聴はオンデマンドが当たり前になりつつある
民放のテレビ見逃し配信サービス「TVer」の2023年12月の月間ユニークブラウザー数(MUB)が3129万になり、前年同月比で約124%に成長した。また、月間再生数は3.98億回と前年比約150%となった(Impress Watch)。とりわけ伸びているのが、テレビでの視聴で、「再生回数は前年同月比162%の1.15億回」とデバイス別再生率は3割超に拡大したという。もはや、民放のテレビ番組は見逃し配信で見るということは特別のことではなくなっている。
その結果として、ハードディスクレコーダーの市場には何らかの影響が生じているのではないかと推測する。また、「NHKを見ない」のに受信設備があることで受信料がかかるということに異議を唱える人もいるようだが、ハードウェアやネットワークの環境としてはいよいよチューナーレスという選択肢が現実的になってきたとも言えそうな勢いだ。
ニュースソース
- TVer、再生数の3割がテレビに 12月は再生4億回に迫る[Impress Watch]