読めば身に付くネットリテラシー
全員必読! 内閣サイバーセキュリティセンター「インターネットの安全・安心ハンドブック」最新版が登場
初心者も詳しい人も個人も企業も読んでおこう!
2025年4月11日 06:00
内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)は3月11日、「インターネットの安全・安心ハンドブック」の2025年改訂の最新版「Ver 5.10」を公開しました。サイバーセキュリティに関する基本的な知識を紹介するもので、ネットリテラシーを身に付けておきたい、という人にピッタリの内容になっています。
NISCのウェブサイトにアクセスし、最初に「リーフレット」を読んでみるのがお勧めです。
リーフレットは、ハンドブック本体から重要なパートを抜き出して16ページにまとめられており、今の知識を確認できるチェックリストが付いています。まずは「一般利用者向け」のリーフレットをダウンロードして、チェックリストを確認してみてください。
ただし、一般利用者向けリーフレットの内容は、パスワードの管理やスマホ・PCなどの機器の知識といった、ごく基本的な内容がメインです。本連載でよく取り上げているネット詐欺などについては、あまり詳しく触れられていません。そこで、ハンドブック本体の第1章「まずはサイバーセキュリティの基礎を固めよう」や、第2章「よくあるサイバー攻撃の手口やリスクを知ろう」を一通り読んでおくことをお勧めします。
リーフレットの各ページには、ハンドブック本体の該当箇所も示されているので、より詳しい情報を知りたい場合に参照できます。参考資料として、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が公開しているTouTube動画や、総務省などのウェブページへのリンクが入っているものもあります。
ハンドブック本体は全193ページあり、PDFファイルの容量は105MBと大きめです。NISCのウェブサイトからは、章ごとにダウンロードすることもできます。また、「抜粋版」も一般利用者向けと中小企業等向けでそれぞれ用意されており、こちらは60MB前後です。
[ハンドブック本体 目次]
- イントロダクション インターネットにある基本的なリスクやトラブルを知ろう
- 第1章 まずはサイバーセキュリティの基礎を固めよう
- 第2章 よくあるサイバー攻撃の手口やリスクを知ろう
- 第3章 SNS・ネットとの付き合い方や情報モラルの重要性を知ろう
- 第4章 スマホやパソコン、IoT機器を安全に利用するための設定を知ろう
- 第5章 パスワードの大切さを知り、通信の安全性を支える暗号化について学ぼう
- 第6章 【中小企業等向け】セキュリティ向上が利潤追求につながることを理解しよう
- 付録 知っておくと役立つサイバーセキュリティに関する手引き・ガイダンス
- おわりに インターネットとよい付き合いを続けるために
- 用語集
プライベートでしかスマホやPCを使わない、というのであれば「【一般利用者向け抜粋版】インターネットの安全・安心ハンドブックVer 5.10(令和7年3月11日)」をダウンロードしましょう。一方、仕事でもデジタル機器を使うなら、ぜひ、全体を読んでみることをお勧めします。
ファイルは、PDF形式だけでなく、ウェブブラウザー上で閲覧しやすいデジタルブック形式も用意されているほか、電子書籍ビューアーで閲覧できるePUB形式でもダウンロードできます。
ハンドブック本体のコンテンツの量はとても多いですが、どれもよくまとまっており、役立つ内容になっています。パスワードの付け方や、外でスマホを使うときに覗かれないように、といった基本から、“ランサムウェア”や“サイバープロパガンダ”といった内容も網羅しています。ネットのマナーや守るべき法律、SNSやネットとの付き合い方までアドバイスしており、まさにネットリテラシー全般を学ぶのにピッタリです。
第6章では、中小企業向けの内容がまとめられています。サイバーセキュリティ対策は企業にとってコストと認識されており、経営者もどのくらい手を掛ければいいのか分からない、という課題がありました。
そこで近年、政府は「セキュリティ対策は投資である」というメッセージを打ち出しています。第6章のタイトルも「セキュリティ向上が利益追求につながることを理解しよう」となっています。BCP(事業継続計画)の作成や個人情報の取り扱いなどにも言及しており、政府も企業のサイバーセキュリティ強化に本腰を入れようとしていることが分かります。
200ページ近くもあるので、一気に読むことは難しいかもしれませんが、みんなが一通り目を通しておくべきハンドブックになっています。さらっとでも目を通しておけば、万一のときにも早く気が付いたり、適切な対応を取ったりすることができます。スマホやPCにファイルをダウンロードまたはブックマークしておいて、時間のあるときに読み進めることをお勧めします。
子供やシニアの方も知っておくべき情報が満載です。ぜひ、お子さんやご両親と一緒にハンドブックを読みながら学ぶ時間を作ってください。そこそこITに詳しい人でも勉強になる内容がたくさんあるので、自分のためにもなります。サイバー犯罪の被害に遭ったときの心理的・金銭的な被害はとても深刻です。ハンドブックを読むだけで、被害に遭う可能性が抑えられるならタイパのよい対策といえます。
なお、ハンドブックの著作権はNISCにありますが、内容を改変しなければ再配布することが可能です。必要な部分だけ抜粋し、製本して配布することができるのです。学校や企業などの組織で、この部分だけでもいいので啓発したい、といったときにも活用しましょう。
高齢者のデジタルリテラシー向上を支援するNPO法人です。媒体への寄稿をはじめ高齢者向けの施設や団体への情報提供、講演などを行っています。もし活動に興味を持っていただけたり、協力していただけそうな方は、「dlisjapan@gmail.com」までご連絡いただければ、最新情報をお送りするようにします。
※ネット詐欺に関する問い合わせが増えています。万が一ネット詐欺に遭ってしまった場合、まずは以下の記事を参考に対処してください
参考:ネット詐欺の被害に遭ってしまったときにやること、やってはいけないこと