読めば身に付くネットリテラシー
この画面を見たら即、操作中断を! 親切を装って「遠隔操作アプリ」をインストールさせようとする手口に要注意
2025年3月28日 06:00
近年、ネット詐欺の中でも「遠隔操作」による被害が急増しています。特に「サポート詐欺」「副業詐欺」「ネットバンキング詐欺」などの手口と組み合わせることで、大きな被害を出しています。
遠隔操作というと、特殊な技術を使ってPCやスマートフォンに侵入し、操るようなイメージがあるかもしれません。ところが、大多数の事例では、一般的なPCサポートなどでも使われる「遠隔操作アプリ(リモートデスクトップアプリ)」を悪用しています。
遠隔操作アプリは、離れた場所からネット経由でPCやスマートフォンなどを簡単に操作できるようにするアプリです。画面をリアルタイムで共有し、まるで目の前に端末があるかのようにクリックしたり、文字を入力したりできます。テレワークや出張時に外出先から自宅にあるファイルを編集したり、家族や友人の端末トラブルを遠隔サポートしたりと、仕事から日常生活まで幅広く活用されています。
ネット詐欺では、この機能を悪用します。操作がよく分からないユーザーをだまし、親切を装って端末に遠隔操作アプリをインストールさせ、接続コードなどを聞き出して、被害者の端末にアクセスしてくるのです。
つまり、「よく分からないけど親切に説明してくれているから」と言いなりになってアプリをインストールしてしまうのではくなく、「インストールするように言われたこのアプリは危ない! 前に見たやつだ!」と気付くことができれば、詐欺の被害を回避できる可能性が大きく高まります。今回は、代表的な遠隔操作アプリを、実際の画面写真とともに紹介します。
なお、個別の詐欺の手口については下記の関連記事を参照してください。
このような画面・操作に遭遇したら要注意
今回は、実際に使われることの多い、2つの遠隔操作アプリについて説明します。前述のとおり、自分が所有している端末の遠隔操作や遠くにいる家族をサポートする際に使うときなどは問題ありません。
しかし、面識のない人から遠隔操作アプリのインストールを勧められたら警戒してください。例えるなら家の鍵を渡すようなもので、一度操作を許可してしまえば、ショッピングや送金など、相手側から何でもできてしまう可能性があるということです。
そのため、以下で紹介する画面・操作に似た状況に遭遇したら、慎重に判断しましょう。もし、「ウイルスに感染したPCを修理するため」「副業に必要な資料を共有するため」「副業に必要なソフトをインストールして」「銀行口座開設のお手伝いをする」などと言ってきているなら、ネット詐欺の可能性大です。すぐに操作を中断して、決して遠隔操作を許可しないようにしてください。
TeamViewer
企業の遠隔サポートなどにも利用されることのある老舗アプリで、Windows/macOS/Linux/Android/iOSなど、幅広いプラットフォームに対応しています。
スマートフォンには「TeamViewer QuickSupport」をインストールするように指示されます。「使用中のID」を教え、相手が「TeamViewer」アプリから接続すると、「このユーザーを検証」という画面が開きます。ここで、表示名やメールアドレスを確認し、アクセスを許可するか拒否するか選択します。
許可すると、画面の共有が始まります。相手に操作権限を渡すには、アドインをインストールし、ユーザー補助機能を有効にする必要があります。もちろん、詐欺の場合は詐欺師が丁寧に操作方法を指示してきます。
権限を付与すると、詐欺師は手元のPCの画面からマウスでスマートフォンを操作できるようになります。
ここまではスマートフォンを前提に説明しましたが、PCの場合はログインするためのIDとパスワードを相手に教えてしまうと、その後はユーザー側の許可がなくても相手が自由にログインできるようになってしまいます。誰に遠隔操作を許可するかは慎重に判断してください。
Anydesk
2014年にリリースされた比較的新しいリモートデスクトップアプリです。高速接続が可能で、快適に遠隔操作できるのが特徴です。こちらも、幅広いプラットフォームに対応しています。
スマートフォンに「AnyDesk」アプリをインストールし、PCからアクセスすると、「詐欺の可能性が検出された」と表示され、アクセス権限が制限されていました。「権限プロファイル」の設定画面で「フルアクセス」にすると、いろいろな操作ができるようになります。とはいえ、PCから遠隔操作するためには、やはりアクセシビリティメニューからアドインの設定を追加で行う必要があります。
もちろん、PCを遠隔操作することも可能です。ワークスペースのコードを教えるとアクセスしてくるので、接続を承諾するか拒否するか選びます。「フルアクセス」すると操作もできるようになります。
なお、iPhoneは遠隔操作アプリでフルコントロールすることができません。しかし、画面を共有するだけでも、詐欺師が「そこをクリック」や「OKをクリック」など最低限の指示を出し、ネットバンキングから振り込ませるケースもありますので注意してください。
高齢者のデジタルリテラシー向上を支援するNPO法人です。媒体への寄稿をはじめ高齢者向けの施設や団体への情報提供、講演などを行っています。もし活動に興味を持っていただけたり、協力していただけそうな方は、「dlisjapan@gmail.com」までご連絡いただければ、最新情報をお送りするようにします。
※ネット詐欺に関する問い合わせが増えています。万が一ネット詐欺に遭ってしまった場合、まずは以下の記事を参考に対処してください
参考:ネット詐欺の被害に遭ってしまったときにやること、やってはいけないこと