読めば身に付くネットリテラシー
Amazonでおもちゃの剣を買ったら、届いたのは紙風船だった…筆者も引っ掛かった「別商品発送型詐欺」の手口
2026年4月24日 11:52
日常的に利用している大手ネット通販サイトにも、私たちが想像する以上に巧妙な罠が潜んでいます。じつは先日、そうした詐欺に筆者が引っ掛かってしまいました。ネットリテラシーを高める活動をしている身としては非常にお恥ずかしい話ですが、「相当意識していないと誰もが被害に遭い得る」という教訓を込め、あえて公表します。
小さい子供にプレゼントしようと、チャンバラごっこ用のおもちゃの剣をAmazonで購入しました。しかし数日後、自宅のポストに投函されたのは、薄っぺらい茶封筒でした。開けてみると、ただの紙風船だったのです。
詐欺に遭ったことに気が付き、Amazonにすぐ返品依頼をかけました。「注文した商品とは違う商品が届いた」という理由がメニューにあったので選択し、返品理由についても詳しく状況を記載しました。すると、すぐに運送業者が来て、無料で引き取っていきました。その2日後、無事、全額返金されました。
少々手間はかかりましたが、金銭的な被害はありません。しかし、このネット詐欺は、見た目ほど単純でも、全く被害がないわけでもありません。詐欺師は、いったい何が目的なのでしょうか?
詐欺師はまず、商品を極端に安く出品し、セールや閉店在庫処分といった魅力的な言葉を織り込みつつ、短期間に大量の注文を一気に集めます。実際、筆者が今回注文した商品は、あとから調べてみたところ、相場の4分の1ほどの価格で出品されていたことが分かりました。特に高価な品ではなかったために詳しく調べずに購入してしまったのですが、これは最初に商品を検索した段階でまず確認しておくべきことでした。他の出品者の販売価格もきちんと見て相場を把握しておけば、その安さから、詐欺の可能性も疑えたはずなのです。
次に詐欺師は、購入者が決済を済ませたあと、商品ページの写真を別の商品の写真に差し替えてしまいます。筆者が紙風船を受け取り、慌てて購入履歴を確認すると、おもちゃの剣だったはずの写真が、目の前にある紙風船の写真にしれっと変わっていました。これは、購入者からクレームが入った際に「お客様が注文したのは、最初からこの写真の商品(紙風船)ですよ」と言い逃れをするための工作と考えられます。
どうせ詐欺をするのなら、このような面倒なことをせずに、そもそも商品を何も送らなければいいのではないか、と思うかもしれません。しかし、Amazonのシステム上、実際に商品が発送されて配達が完了しなければ、出品者に売上金が計上されない仕組みになっているのです。また、注文があっても発送しないで放置すれば、アカウントが凍結されます。紙風船やシールのような超軽量・安価なものを発送すれば、最小限のコストで「取引完了」のステータスを作り出せるのです。
手元に届いたものが明らかに注文した商品と違っていた場合、購入者の多くはAmazonのカスタマーサポートに連絡をしてクレームを入れます。Amazonの保証制度がある以上、多くの人は返金を受けられるはずです。
一方、詐欺師にとっては、個々の取引を見れば、返金手数料などで赤字になるはずですが、開封しなかったり、泣き寝入りしたりする人が一定数いることで黒字化する可能性もあります。
しかしそれでも、利益は薄そうです。じつは、この手口の詐欺には、別の「収益化ポイント」があるのです。それは、購入者の氏名、住所、電話番号という鮮度の高い個人情報です。
「激安商品にすぐ飛びつき、実際にネット通販を利用して支払いを行う」ユーザーの情報は、ダークウェブなどの闇市場において価値の高いデータとして扱われます。いわゆる「だまされやすいカモ」のリストとして高値で取引されてしまうのです
今回、筆者もこのリストに登録されてしまった可能性があり、これまで以上に、詐欺に対する警戒心を持つ必要があります。特に、代金引換を悪用した送り付け詐欺を仕掛けられやすいので注意が必要です。家族とも情報を共有しておきましょう。
筆者が今回引っ掛かったような「別商品発送型詐欺」を回避するには、日常の買い物においても慎重な行動をとるしかありません。Amazonであれば、例えば、商品を購入する際は、Amazonが出荷元になっている商品を選ぶことも1つの予防策です。商品ページの「カートに入れる」ボタンの下に出荷元と販売元の記載があるので、出荷元がAmazonであれば、Amazonの倉庫で商品の管理・発送が行われるはずで、別商品発送型詐欺で個人情報が悪質業者に渡るリスクは激減します。
また、これまでも繰り返しお伝えしていることですが、相場から外れた異常な安さには必ず裏があると考え、時には買わない勇気を持つことが大切です。日々の生活の中でネットリテラシーを身に付け、常にアップデートされていく巧妙な罠から賢く自衛していきましょう。
高齢者のデジタルリテラシー向上を支援するNPO法人です。媒体への寄稿をはじめ高齢者向けの施設や団体への情報提供、講演などを行っています。もし活動に興味を持っていただけたり、協力していただけそうな方は、「dlisjapan@gmail.com」までご連絡いただければ、最新情報をお送りするようにします。


