被害事例に学ぶ、高齢者のためのデジタルリテラシー

送りつけ商法に注意!

注文した覚えはないのに? Amazonから代引き商品が送りつけられる詐欺に注意

 ある日、Amazonから代引きの商品が自宅に届きました。自分は注文していませんが、家族が頻繁に代引きでネットショップを利用しているので、代わりに支払うことにしました。しかし、帰宅した家族に確認すると頼んでいないと言います。箱を開けてみると、自分たちが絶対買わないような服が数着入っていました。

 これはAmazonにおける送りつけ商法の手口です。2019年ごろから広がっているネット詐欺で、最近も被害に遭ったというSNS投稿を見かけることが多く、まだまだ下火になっていないようです。

 宛先に記載されている住所と名前が一致しているので、どこからか漏えいした個人情報のリストを利用し、無差別に送りつけていると思われます。代引き金額は数千円~3万円程度が多いようです。商品は書籍や衣服、靴、入れ歯ケース、家電などさまざまです。

 また、送付先は個人宅だけでなく、企業も被害に遭っています。宛先が会社になっていると、とりあえず受け取ってしまう可能性が高くなります。後で全員にヒアリングし、送りつけ商法であることが発覚するのです。

 送りつけ商法の対策としては、まずは受け取らないことが重要です。最近は被害が多発しているので、配送業者に「注文した覚えがなく詐欺だと思うので受け取れません」と言うと、問題なく持ち帰ってもらうことができます。着払いが返品されると、依頼主に送料の請求が行くことになります。

 家族と一緒に暮らしている場合は、対策が必要です。商品を注文したかどうか家族に確認するのも有効なのですが、目の前に配送業者が来ているときに連絡を取るのは難しいかもしれません。例えば、代引きは原則自分で受け取るとか、送付予定日時と金額を共有し、お金を事前に渡しておくといった対策をしておくと安心です。

 宅配業者の中には、送付する日時やサービス名、代引き金額をあらかじめ通知してくれるところもあります。その場合は、覚えのないメッセージを受け取った時点で、受け取り拒否にしておくと手間が省けます。

メールが来たら確認し、問題ないなら家族にも伝えておきましょう

 万一、送りつけ詐欺の被害に遭ってしまっても、Amazonに連絡すれば返金してもらうことができます。Amazonの「注文した覚えがない荷物についての報告」からカスタマーサービスへ相談してみましょう。

Amazonから発送された送りつけ詐欺の被害に遭った場合、カスタマーサービスに相談してみましょう

 着払いではなく、元払いで送りつけてくる詐欺の手口もあります。例えば、カニなどの海鮮物を送りつけ、後で料金を請求してくるのです。以前は、商品が到着してから2週間が経過するまでは処分できなかったのですが、2021年の特定商取引法改正によって、注文していないのに金銭を得ようとして一方的に送りつけられた商品は直ちに処分できるようになっています。問い合わせたり、返送する必要もありません。もちろん、開封・処分したからと言って、消費者側に支払い義務が生じることはありません。もし、誤って金銭を支払ってしまった場合は、返還請求ができます。消費者ホットライン188に相談してみましょう。

 支払ってしまった金銭の返還請求は手間がかかります。やはり、事例を知ることで、送りつけ被害の商品は受け取らない、という自衛策が重要になります。

 ただし、ネット詐欺の判定は慎重に行ってください。誰かからのギフトということもありますし、自分や家族が買ったことを忘れているということもよくあります。Amazonの場合は、「注文履歴」ボタンから購入履歴を表示できるので、記憶だけに頼らず、必ず確認するようにしてください。

あなたの両親も“ネット詐欺”の餌食になっているかもしれません――その最新の手口を広く知ってもらうことで高齢者のデジタルリテラシー向上を図り、ネット詐欺被害の撲滅を目指しましょう。この連載では、「DLIS(デジタルリテラシー向上機構)」に寄せられた情報をもとに、ネット詐欺の被害事例を紹介。対処方法なども解説していきます。

高齢者のデジタルリテラシー向上を支援するNPO法人です。媒体への寄稿をはじめ高齢者向けの施設や団体への情報提供、講演などを行っています。もし活動に興味を持っていただけたり、協力していただけそうな方は、「dlisjapan@gmail.com」までご連絡いただければ、最新情報をお送りするようにします。

※ネット詐欺に関する問い合わせが増えています。万が一ネット詐欺に遭ってしまった場合、まずは以下の記事を参考に対処してください
参考:ネット詐欺の被害に遭ってしまったときにやること、やってはいけないこと