清水理史の「イニシャルB」

5GBASE-T対応USB LANアダプターで自宅の小型ESXiサーバーを5Gbps化してみた

 USB接続の5Gbps対応LANアダプターを2種類入手できたので、OSのテストや各種サーバーのテスト用に自宅へ設置してある小型ESXiサーバーのネットワークを5Gbps化してみた。これでイメージの転送などがだいぶ楽になるはずだ。

DeskMini 310の小型ESXiサーバーをUSB接続で5Gbps化

 自宅で利用しているESXiサーバーは、ASRockの「DeskMini 310」というミニPCだ。

自宅でテスト用に使っている「DeskMini 310」。x86サーバー仮想化ソフトである「VMWare ESXi」をインストールし、OSのテストなどに使っている

 こちらの記事でも紹介しているが、80×155×155mm(幅×奥行×高さ)のサイズで、容積1.92Lと小型ながら、TDP 65Wまでの第9/8世代Intelプロセッサに対応する製品だ。わが家では6コアのCore i5 9400(2.9GHz)と32GBのメモリを搭載し、複数の仮想マシンを同時に起動しても、割と快適に使える環境となっている。

 テスト時のみ稼働させるスポット利用なので、現状でもかなり満足できる仕様ではあるのだが、唯一の欠点がネットワークだ。

 PCI Expressスロットを搭載しないDeskMiniには、10Gbpsカードを取り付けることができず、かといって標準の1Gbps LAN(I219V)では、複数マシンを稼働させたりインストール用のイメージを転送するのに時間がかかるなど、LANの速度がボトルネックになっていた。

 そんな中、USB接続で5Gbpsに対応する有線LANアダプターが国内メーカーからもリリースされたので、USBでのLAN高速化に挑戦した。

 試したのは、国内外の2製品。実売価格1万4800円のプラネックスコミュニケーションズ「USBC-LAN5000R」と、同1万5800円のSonnet「Solo5G USB 3 to 5GbE Adapter(SOLO5G-USB3)」だ(いずれも税込)。

今回、2製品試してみたが、結果的に使えたのはsonnet「Solo5G」のみだった

 いずれもUSB Type-C接続に対応し、最大速度は5Gbpsとなる製品。USBC-LAN5000Rは採用コントローラーを公表していないが、おそらくどちらもMarvell「AQC111U」を採用した、基本的には同等の製品だろう。

正面

 しかしながら結論から言えば、今回のケースでは、USBC-LAN5000Rは利用できず、Solo5Gのみが利用可能だった。

 もともとSolo5Gは、ESXi対応(というかESXi Native Fling Driverでの稼働)を公表しており、USBC-LAN5000Rは対応を明らかにしていない。実際にESXiをインストールした上記マシンに接続しても、ESXiからネットワークアダプターとして認識されたのは、Solo5Gのみだった。

 個人的には両方接続して(Solo5GはType-A接続も可能)、5Gbps×2で運用しようかと思っていたのだが、残念ながら今回は1系統のみとなってしまった。

側面
ケーブルは脱着式。Type-CとType-Aのどちらにも対応できる

ESXi用のドライバーをインストール

 使い方は簡単だ。

 まずは、ドライバーだが、以下のウェブサイトから入手可能だ。ESXiのバージョンごとに個別のファイルが用意されているが、今回はDeskMini 310にインストールしている7.0用を利用した。

 ドライバーをダウンロードしたら、ウェブクライアントからESXiへアクセスし、「データストアブラウザー」などを利用して、適当なディレクトリにダウンロードしたファイルをZIPのまま保存する。

 ここまで準備ができたら、ホストにSSH接続し(あらかじめSSHを有効化しておく)、上記ウェブサイトの「Instructions」に記載されているようにコマンドを実行すればいい。

 筆者の場合は7.0環境なので、保存したドライバーを次のように指定してドライバーをインストールした。

esxcli software component apply -d /path/to/the_component_zip

 これで作業は完了だ。あとはDeskMiniのフロントパネルにあるUSB Type-CにSolo5Gを装着すれば、無事にESXiからネットワークアダプターとして認識される。

 あとは仮想スイッチに割り当て、ポートグループを構成して、仮想マシンから指定すれば利用可能だ。

Instructionsを参考にドライバーをインストール

 ちなみに上記のドライバーは、AQC111Uだけでなく、「ASIX88178a」「ASIX88179」「RTL8152」「RTL8153」を採用したUSB LANアダプターにも対応している。

 試しに、手元にあって、すでに販売が終了されている以下2つのギガビット対応のUSB接続LANアダプターも接続してみたが、いずれも問題なく認識された。

  • バッファロー「LUA4-U3-AGT」
  • プラネックス「UE-1000T-U3」
5000Mbpsで接続されている「vusb2」がSolo5G。vusb0とvusb1は上記のギガビット対応USB LANアダプター
スイッチとポートグループを作成し、仮想マシンに割り当てる

おおむね3.4Gbpsの速度で通信可能、ギガビットのおよそ4倍

 気になる速度だが、Ubuntuの仮想マシンを作成し、Solo5Gのネットワークを割り当てた状態でiPerf3で計測したところ、3.4Gbps前後となった(ジャンボフレームは9000に設定)。

おおむね3.4Gbpsほどで通信できた

 1Gbps環境に比べて実効で4倍ほどといったところで、十分に高速な環境が手に入った。仮想マシンに使うメリットも大きいが、冒頭でも触れたようにイメージのコピーとか、仮想マシンのNASへのバックアップなどで威力を発揮できそうだ。

 もちろん、正式にサポートされるものではないので、本番環境で使うことは避けた方がいい。また、Solo5Gは発熱が大きく、常用するとかなり本体が熱くなる。環境によっては、熱が問題になる可能性もあるだろう。

 それにしても、もともとCPUやメモリもそこそこ潤沢で快適だったDeskMini 310だが、これでネットワークも高速になったので、個人的にはかなり満足だ。課金や速度を気にせず使い放題な使い捨て仮想マシン環境を手元に置いておけるのだから、いい時代になったものだ。

清水 理史

製品レビューなど幅広く執筆しているが、実際に大手企業でネットワーク管理者をしていたこともあり、Windowsのネットワーク全般が得意ジャンル。最新刊「できる Windows 10 活用編」ほか多数の著書がある。