清水理史の「イニシャルB」

国産10GbEスイッチの新製品が続々投入される中、改めて割安な中華スイッチの価値を見直す
Binardat「10G08-0404GSM」レビュー
2026年8月10日 06:00
2026年7月末、エレコム、プラネックス、アイオーデータから相次いで10Gbps対応のスイッチの新製品が投入された。いずれも、ファンレス、5ポートで実売3万円前後の製品と、家庭用としても視野に入る製品となっている。
しかし、それでもまだAmazon.co.jpで目立つ中国ブランドの割安製品とはコスパ面での開きがある。今回、Binardatというメーカーの「10G08-0404GSM」という、10Gpbs RJ45と10Gbps SFP+を4ポートつずつ備えたL3スイッチを購入し、改めて中華スイッチの価値を再検討してみた。
もう一声、安くならないものか……
もしも、今、「10Gbpsのスイッチってどれ買えばいいの?」と聞かれたら、筆者としては国内でも知名度の高いメーカーの製品をおすすめする。
実際に過去に評価したバッファロー「LXW-10G5」は優秀な製品だし、TP-Linkの「DS105X」も定番となっている。最近発売されたエレコム「EHC-X05MA-HB」、プラネックス「FXXG-0005EM」、アイオーデータ「BSH-XG05」などは、まだ評価していないが期待の持てる製品という話も耳にしている(今後レビュー予定)。
ただ、これらの製品はいずれもまだ価格が安いとは言えない。現状の実売価格の相場は5ポート対応で3万円前後。ネットワークにとってスイッチは重要な機器ではあるものの、物欲を満たすような面白さがあるというよりは、地味な存在となる。3万円を確実に切って2万円台中盤ぐらいで買えると、実用品として今なら10Gでしょうと、広くおすすめしやすい印象になるのだが。
そんな中、Amazon.co.jpを中心に勢力を拡大しているのが、新興の中国ブランド製品だ。「XikeStor(八丁)」「FOXNEO」「keepLiNK」「Binardat」「SODOLA」など、あまり聞きなれないメーカーの製品がおすすめに上がってくる。
これらのメーカーの製品の相場は一段安く、4~5ポートなら2~2.5万円前後、8ポートで3~3.5万円前後となる。
サポートなどを考えると、もちろん前述した有名メーカーの製品を買うことをおすすめするが、じゃあ中華スイッチは買わない方がいいのか? というとそんなこともない。コスパを優先するなら、こちらの製品を選ぶのもひとつの手で、実際、筆者も数台使っているが、今のところ「騒音」以外の不具合に出会ったことはない。
ということで、前述したエレコム・プラネックス・アイオーデータなどの新製品をレビューする前に、改めて中華スイッチの検証をしてみることにした。
Binardat「10G08-0404GSM」を購入
今回、購入したのはBinardatというメーカーの「10G08-0404GSM」という製品だ。Amazon.co.jpで筆者が購入したときの実売価格は税込2万9249円だった。
今回は、3万円前後を目安に、なるべくコスパが高く、かつ今まで買ったことがないメーカーの製品という条件で製品を選んだ結果、本製品を選択した(同一スペックでもっと安い製品もあるが、今回は初体験のメーカーを選択した)。
スペックは、10GbE対応のRJ45ポート×4に、10GbE対応のSFP+ポート×4を加えた全8ポート構成で、L3対応のマネージドスイッチとなっている。一般的なスイッチはアンマネージドでシンプルにケーブルをつないでデータを転送するだけの製品となるが、本製品はVLANなどの構成に加えて、ルーティングも可能なL3対応の製品となっている。
つまり、前述した3万円前後の有名メーカー製品と比べて、価格も少し低いが、ポート数も(ポートの種類も)多いうえ、L3機能も搭載しており、スペック的には上の製品となっている。
もちろん、一般的な家庭でL2はもちろんL3スイッチのマネジメント機能を使う機会はほとんどないが、特別な機能を何も有効化しなければシンプルなスイッチとして動作させることができるので、この製品を家庭の10Gbpsインターネット回線用として使うことが可能だ。
L3の機能や性能についてはあらためて紹介するとして、今回はシンプルな10Gbps対応のL2スイッチングハブとして評価することにする。
サイズと温度と騒音
まずは全体を見ていこう。本製品のサイズは220×130×38mm(実測)で、8ポートクラスのスイッチとしてはコンパクトな製品になっている。サイズ的には、5ポートクラスに近いと言っていいだろう。
ポートは、前面に搭載されており、前述した通り、一般的なLANケーブルで採用されているRJ45形状のポートが4つ、サーバーや法人向けスイッチなどで採用されているSFP+のポートが4つの合計8ポートで、全て10Gbps対応となる。
一般的にはRJ45対応のみで十分だが、筆者はMinisforumのMS-01などの小型サーバーを自宅で動かしているので、SFP+が利用できるのは便利だ。
使い方は簡単で、付属の電源アダプターを背面に接続し、ケーブルをつなぐだけだ。前述したように本製品は管理機能を搭載しているが、普通に家庭内の複数機器を10Gbpsでつなぐだけなら設定は不要だ。一応、標準のユーザー名とパスワードが単純な値となっているので、それだけ変更しておけばいいだろう(欲を言えばログのためにタイムゾーンや日付、SNTPなども設定しておいた方がいいが、しなくても動作は可能)。
この手の製品で気になる動作音だが、これは気にしなくてよさそうだ。本製品は、本体の冷却用に内部に大型のヒートシンクとファンが搭載されているが、このファンは静音設計になっており、動作音が気にならない。
以下は、筆者宅で動作音を検証した写真だが、電源オフ時で41.4dBA(他の機器のファンや空調の音)で、電源オン直後の20~30秒前後はファンが高速回転するため56.9dBAとなるものの、それ以降は49dBA前後となった。
イメージとしては、本体に耳を近づけると「シャー」とかすかな回転音が聞こえるが、数m離れてしまえば、ほとんど気にならない音量となる。
また、気になる人も少なくないので発熱も検証してみた。スイッチは本体で放熱する設計の製品も多いため、本体が熱くなるのは放熱できている証拠とも言えるが、本製品はファンのおかげで筐体の温度は低いまま保たれる。
スイッチにRJ45、SFP+含めて複数台の機器を接続し、実際に10Gbpsの通信を継続的に発生させた場合でも34~36°C前後で安定している。しかも、ファンは前述したように49dBA前後で静かに回転しているので気にならない。これなら、一般的な家庭に設置しても、騒音も温度も気にならないだろう。
性能も問題ない
昨今のスイッチは家庭用でもパフォーマンスに問題が発生することはないのだが、一応、10Gbps環境での性能もチェックしてみた。
RJ45同士、SFP+同士、RJ45とSFP+と、2台のPCのポートを変えながら、iPerf3の検証をしたが、いずれも9.4Gbps前後と10Gbpsネットワークのほぼ上限の速度を確認できた。今回、検証に利用したPCのうち1台が、どうしても上限が8.8Gbps前後になるケースはあったが、おそらくPC側の処理性能の問題だと思われる。スイッチ側は10Gbpsでの通信に問題ないと言ってよさそうだ。
本来は、全てのポートにPCを接続して、いずれのPCでもフルに10Gbpsで通信できるかを検証すべきだが、さすがにそんなにPCを用意できないので、合計4台のPCで同時通信(要するに2系統同時10Gbps)も検証してみたが、合計で18Gbps超える速度となり、こちらも問題なかった。
さらに、1台のPCで上下方向同時通信も実行してみたが、これは合計で16Gbps前後と若干速度が下がった。PC側の処理能力(CPUやドライバー)が、上限に達してしまった可能性がある。
割り切れるならこれでも問題ない
以上、Binardatの10GbE対応スイッチ「10G08-0404GSM」を購入してみたが、個人的には、これで十分という印象だ。むしろ、SFP+が使えることや思ったより静音性が高い点などは高く評価できる製品となっている。
ただ、耐久性などの点は長期的に検証しないと不透明だ。特に本製品にはファンが搭載されているので、ファンが故障すると熱による不具合が発生する可能性がある。サポート期間が1年なのも不安だ。
こうした点を考慮するなら、冒頭で紹介した有名メーカーの製品を選択すべきだろう。製品を入手でき次第、レビューしていきたいと思う。








