清水理史の「イニシャルB」

放熱の秘密は底面の大型パネルにあり! プラネックスの10GBASE-Tスイッチ「FXXG-0005EM」
2026年8月31日 06:00
プラネックスの「FXXG-0005EM」は、10Gbpsの通信に対応した5ポートのスイッチ(スイッチングハブ)だ。2026年7~8月に相次いで国内メーカーから登場したファンレス10Gスイッチのひとつで、本製品の特徴は、省電力と放熱の仕組みにある。実際の使用環境で、その実力を検証してみた。
実売3万4800円で保証は1年
エレコム、アイオーデータ、そして今回のプラネックスと、2026年7~8月にかけて10Gbps対応スイッチの新製品が相次いで発売となった。
いずれもファンレス、5ポートで3.5~4万円前後、省電力と、非常に似た特徴を持っており、違いがわかりにくいのだが、よくみると細かな違いがあるのが面白い。特に、今回のプラネックス「FXXG-0005EM」は、前回紹介したエレコム「EHC-X05MA-HB」および「EHC-LX03-5」とは放熱の考え方が正反対で、その点だけ取っても好みが分かれそうな印象がある。
製品としては、アンマネージド、つまりVLANなどの管理機能を持たないシンプルなスイッチで、価格は2026年8月時点でのAmazon.co.jpの実売価格が3万4800円だ。
前述したエレコムの製品は量販店向けモデル(動作時環境条件50℃、保証期間1年、ループ検知切り替えスイッチあり)の「EHC-X05MA-HB」が実売価格3万4720~4万800円(店舗によってはポイント還元あり)。Amazon.co.jpなどの通販向けモデル「EHC-LX03-5」(動作時環境条件40℃、保証期間6カ月)が実売価格3万2879円(2026年8月15日時点では1644円オフのクーポンあり)となっており、同じAmazon.co.jpで買うという前提で考えると、FXXG-0005EMは価格は若干高い一方で、保証期間が1年と長いのが違いになる。
主要メーカーの5ポート10Gスイッチは、先行してTP-Link「DS105X(ファンレス、実売3万3900円)」、バッファロー「LXW-10G5」(ファンあり、実売3万5980円)も存在し、各社の製品が出そろった形だ。
いずれも3万5000円前後となるが、価格だけを考えると、現状Amazon.co.jpでの露出が目立つ中国新興メーカー製品とはまだ開きがある(5ポートなら2万円台から購入可能)。国内メーカー同士での競争だけでなく、中国の新興メーカーとも同時に競争しなければならないという過酷な環境にあるわけだが、その中で、本製品がどのような工夫をしてきたのかが注目すべきポイントとなる。
特徴は「省電力」と「放熱の仕組み」
本製品の特徴のひとつとして挙げられるのは、省電力である点だ。カタログスペック上の最大消費電力は14Wとなっており、バッファロー「LXW-10G5」(最大27W)、TP-Link「DS105X」(21.4W)、エレコム「EHC-X05MA-HB」(18.2W)よりも低い(アイオーデータ「BSH-XG05」は同じ14W)。
実際に5ポート全てに10Gbpsでリンクしたケーブルを接続してみたが、ワットチェッカーの値は12Wほどと、低く抑えられていた。わずかな値だが、オフィスで複数台導入するようなケースでは、この差がコストに影響する可能性もある。
なぜ消費電力を抑えられたのかは未確認だが、新型のチップを採用しているのではないかと推測される。前回紹介したエレコムの「EHC-X05MA-HB」では、Realtekの省電力新型PHY「RTL8261D」が採用されていた。本製品は、ヒートシンクが固定されておりチップを確認することができなかったが、ほぼ同じタイミングで新製品として発売されたことを考えると、同様に消費電力が低いチップが採用されている可能性がある。
消費電力の低さは、発熱の低さにもつながる。実際に本製品の5つのポート全てにケーブルを接続し、10GbpsでiPerf3による負荷をかけたときの温度は以下のようになった。上面温度は33.9℃とかなり低い。その一方で、底面は46.6℃とそれなりに高い値になった。触れば、「あちっ」となる温度だ。
この理由は内部の放熱設計にある。本製品は、基板上のチップは通常のヒートシンクで冷却する方式となる(前掲の内部写真参考)。このヒートシンクは筐体とは接していないため、本体上部は熱くなりにくい。
一方で、底面は基板に大きな熱伝導シートが貼られ、基板と同等サイズでしかも厚めの放熱プレートを挟み込むようにして、筐体に熱を逃がす設計になっている。プラネックスは2.5Gbps対応のスイッチの時代から、底面から放熱する仕組みを採用しているが、本製品でも同じ方式が採用され、底面から熱を逃がすようになっている。
なので、本製品を使うときは、左右の通気口をふさがないように注意するだけでなく、底面もゴム足を装着して空気が通るスペースを確保することを推奨する。
ファンレスである以上、本体が熱くなることは当たり前で、むしろ放熱がうまくできている証拠なのだが、部屋が暑くなると言われれば、その通りなのでどうしようもない。メーカーとしてはその前提で出荷前の検査などを実施しているため、本体が熱い=不安定になる、という単純なものでもない。どのように放熱しているかを理解したうえで、設置場所を工夫するといいだろう。
ケーブルの取り回しが一方向になっている
このほか、本製品の特徴としては、ケーブルを隠しやすい点もある。LANポート、電源ポート、LED類は、全て前面側に集中しており、背面には何もない。
このため、本製品を反対向き、つまりポート類がある面を後ろ側に向けて設置すれば、ケーブル類を全て家具の裏側に配線することができる。これは壁掛けで利用する際にケーブルを全て下向きでまとめたい、といったケースでも都合がいい。
これは地味に取り回しがよく、ついでにLEDも背面側になるので、夜間の点滅なども気になりにくくなる。細かな点だが、こうした実用性を考慮した設計も評価したいポイントだ。
ただし、LANケーブルの向きが下向き、つまりRJ45のツメの部分が下向きになるのが、個人的には好みではない。普通は、LANケーブルの抜き差しを頻繁にするわけではないので気にならないが、ツメが下向きになると、接地面との隙間に指を入れづらく、ケーブルを外しにくい。好みがわかれる点だ。
実用性を重視した製品
パフォーマンスについては、問題ない印象だ。というか、現代のスイッチは家庭用であってもパフォーマンスが問題になるようなことはほとんどない。以下のように1系統はもちろんのこと、2系統同時通信や10G→1G通信、さらに上りと下りを同時に通信した場合でも、ほぼ上限となる約9.5Gbpsで通信できた。
| 測定方法 | 結果 |
| 10Gbps1系統P4転送 | 9.49Gbps |
| 10Gbps2系統同時 | 合計18.97Gbps |
| 10Gbps→1Gbps1系統 | 941Mbps |
| 10Gbps1系統双方向同時 | 合計18.86Gbps |
ということで、本製品は、実用性をしっかり突き詰めた印象だ。底面で放熱する仕組みや、ケーブルを一方向にまとめられる工夫など、独自の配慮が随所に見える。こうしたポイントに価値を感じる人には「刺さる」製品となっている印象だ。

