"ここ"がイチ押し! 旬モノ実験室

この発想はなかった! 壁に一体化するUbiquitiのレンズ分離型「AI Thetaカメラ」

Ubiquitiのレンズ分離型監視カメラAI Thetaカメラ

 Ubiquitiから販売されている「AI Thetaカメラ」は、レンズ部分と本体が分離した斬新な設計の監視カメラだ。レンズ部分が軽量コンパクトな設計になっているため、設置場所を選ばず、用途によってレンズを選択できるようになっている。実際にどのような使い方ができるのか試してみた。

◆AI Thetaカメラの“ここ”がイチ押し!
完全に壁に埋め込み可能で、魚眼を選べば真横も撮影できる

インテリアのプロ向けに設計された一品

 AI Thetaカメラは、従来の監視カメラとは異なる、新しい発想で設計された製品だ。

 監視カメラは、カメラの存在を周囲にアピールすることも重要なので、円筒形の、いかにも監視カメラらしいデザインが採用されるケースが多かった。

 しかし、本製品はその反対で、なるべく目立たないようにすることを目指したデザインだ。基本的には、壁や天井に埋め込んで利用する。業種によっては、無骨な監視カメラによって店舗のデザインや雰囲気を壊したくないというニーズが存在するが、まさにそうした環境向けの製品となる。

 最大の特徴は、本体とレンズ部分が分離した設計だ。カメラの制御や通信部分を担う本体と、撮影を担うレンズ部分が別々のモジュールで構成されており、これらを専用ケーブル(USBに似ているが微妙に異なる)で接続して利用する方式となっている(本体側の給電はPoEで、最大消費電力12.5W)。

 レンズ部分のみを本体から分離したことで、レンズのサイズは非常に小型となっており、サイズは直径22.8mm×長さ43.5mmとなっている。

小型のレンズ
本体とは専用のケーブルで接続する
別売りのオーディオ通話デバイスも埋め込み式。双方向通話ができる

 このため、本製品を壁や天井に埋め込むのに必要なのは、わずか直径29mmの穴だけとなり、遠目には、ほとんどカメラが存在することすらわからない。設置場所のデザインや雰囲気を一切邪魔することなく、カメラの設置が可能というわけだ。

 さすがに、検証のためだけに筆者宅の壁に穴をあけるわけにはいかないので、ウレタン製の梱包材に埋め込んでみたのが以下の写真だ。白い壁なら、ほとんど目立たない印象だ。

ウレタン製の梱包材にはめ込んでみた。遠目にはまったく目立たない
背面の様子。ケーブルをつないで、本体へと配線する

 レンズは、標準で広角(UVC-AI-Theta-Lens:8MP CMOS、単焦点、3264x2448、24FPS)と魚眼(UVC-AI-Theta-Lens-360:12MP CMOS、単焦点、2560x2560、20FPS)の2種類が同梱されており、広角は画角がH:97.5°、V:79.4°、D:118.2°、魚眼:H:180°、V:180°、D:180°となっている。

 一般的には、広角の方が撮影後の映像が見やすいが、魚眼を利用すると、天井に設置して全体を隈なく見渡せたり、壁に埋め込んでも壁際の真横や真下を撮影したりできるのがメリットとなる。

 場合によっては、両方を埋め込んでおき、本体のケーブルをつなぎ換えて使うという手もありそうだ。

広角レンズによる映像
魚眼レンズによる映像

AI搭載で人や車を見分ける

 なお、Ubiquitiの監視カメラソリューションはAI機能を搭載した製品が主流になりつつあるが、本製品にもAI機能が搭載されている。

 具体的には人と車を検知可能で、Smart Detectionを有効にすることで、これらを検知したときだけ録画するように設定できる。

Smart Detectionによって人や車を認識可能
長期運用すると、ヒートマップでどこを人や車が通っているかを可視化できる。なお、今回のAI Thetaは運用期間が短いため、画面はAI機能を搭載した別のカメラの映像を使用している

 従来のモーション検知のみの監視カメラは、風などの自然現象や照明のオン/オフなどでも録画を開始してしまうことがあったが、人や車などの重要なイベントだけ検知することで、無駄な録画を避けられるのがメリットだ。

 また、人や車などの検出状況をヒートマップとして表示することも可能となっており、店舗の人の流れなどを可視化したいときなどにも役立つ。

「目立たない」というだけでなく、実用性もしっかりと兼ね備えたカメラと言えそうだ。

「"ここ"がイチ押し! 旬モノ実験室」は、今気になるハードウェアやソフトウェアをピックアップして、その製品の「イチ押しのポイント」に注目し、魅力をレポートします。バックナンバーはこちら

清水 理史

製品レビューなど幅広く執筆しているが、実際に大手企業でネットワーク管理者をしていたこともあり、Windowsのネットワーク全般が得意ジャンル。最新刊「できるWindows 11」ほか多数の著書がある。