"ここ"がイチ押し! 旬モノ実験室

優秀なダッシュボードで“通信状況が見える”、「UniFi Express」は2万円台のオールインワンゲートウェイ

ルーター+ファイアウォール+アクセスポイントが一体化された小型、低価格なゲートウェイのUbiquiti「UniFi Express」

 Ubiquiti(UniFiブランド)から、入門者向けゲートウェイ「UniFi Express」が発売された。ルーター+ファイアウォール+アクセスポイントを一体化したオールインワン製品だが、手のひらに収まるコンパクトサイズで、しかも、価格も税込2万6900円(直販価格)と安い、お買い得なモデルとなっている。

◆UniFi Expressのイチ押し!
法人向けの豊富な機能も管理しやすい、充実したダッシュボード

 特筆すべきポイントが多くて困ってしまうが、洗練されたデザインと、VLANやSD-WAN、VPNなどの法人向けの高度なネットワーク機能を兼ね備え、さらに、優秀な運用管理機能(特にダッシュボードの情報の充実ぶりがすごい)で、小さくてもUniFiとしての魅力がしっかりと詰め込まれた製品になっている。法人向けとしておすすめだが、環境さえ合えば、個人用としてもかなり魅力的だ。

小さくてもしっかりUniFi!

 先日、編集部のメンバーと雑談しているときに、「自宅の回線やWi-Fiが切れることがあるけど、何が起きているのか、状況がよくわからない」という話になった。

 確かに、家庭用のネットワーク機器は、つながるまではいろいろなガイドやツールが提供されるが、つながった後に提供されるのはログくらいで、「遅い」「切れる」といった問題が発生したときに、状況を詳しく調べるのが難しい。

 「だったら、法人向け製品じゃない?」という提案をしたのだが、個人で使うとなると、まず価格が「×」、次にサイズが「×」、デザインはまあ「▲」と、ダメ出しを食らってしまった。

 今回、取り上げるUbiquitiの「UniFi Express」は、同じようなネットワーク管理の悩みを持っている人に、ぜひ試してほしい製品だ。

 法人向けと言っても、価格も手ごろで、サイズは98×98×30mmと手のひらサイズ、それでいて洗練されていて美しいデザインの製品となっている。

低価格ながら法人向けの機能を備えたUniFi Express
正面
背面

 ルーター+ファイアウォール+アクセスポイント(Wi-Fi 6対応、2402Mbps+576Mbps)が一体化されており、ターゲットとなるのは小規模なオフィスや店舗など、これまで家庭用のWi-Fiルーターを使っていた環境となる。

 入門機ながら、中身はしっかり(法人向け製品をメインとする)UniFiの仕様となっており、たとえばVLANを使って部署単位にネットワークを分けたり、簡単な設定でVPNを利用できる「Teleport」を利用できたり、セキュリティ機能として特定のカテゴリ(SNSやゲームなど)を遮断したり、ポリシーベースのルーティングを利用したり、Site MagicによるSD-WANで拠点間接続をワンタッチで構築できたりと、さまざまな機能が利用できる。

VLANビューアでVLANの設定が見やすく表示できる
外部からの接続を簡単に構成できる「Teleport」。招待リンクを生成し、それをWiFimanアプリで読み込むことだけで、簡単にリモートアクセス可能

 上位モデルのDream RouterやDream Machineに比べると、監視カメラや入退室管理などのアプリを追加できないこと、セキュリティ機能としてIDS/IPS機能が省略されていることがあるが、文字通り、ルーター+ファイアウォール+アクセスポイントのオールインワンゲートウェイという充実した機能を持った製品になっている。

上位モデルと比べるとセキュリティ機能に一部違いがある。IDS/IPSは省略されている

 小規模なオフィスや家庭では、そんなに機能があっても使いきれないと思うかもしれない。しかし、本製品の魅力は、すべての機能を使いこなさなくても実感できる。具体的には、前述した「遅い」「切れる」といったネットワークの状況を可視化できる点だ。

 本体前面のディスプレイに、接続されているクライアントの台数や通信速度が表示されるのも秀逸だが、ぜひ注目したいのが、ウェブブラウザーでアクセスする管理画面で利用できる「ダッシュボード」だ。

本体前面ディスプレイは、マニア心をくすぐるロマン装備
情報盛りだくさんのダッシュボード。ネットワークの状況を可視化し、問題点を見つけ出す手助けをしてくれる
スマホ版アプリでも情報を確認可能。リモートから管理することもできる

 速度や遅延、接続状況、トラフィックの種類、Wi-Fiの状況など、実にさまざまな情報が表示される。

 中でも注目は「インターネットヘルス」の項目だ。この詳細を開くと、現在の接続状況だけでなく、過去24時間のインターネット接続の状況(unifi.comへのPingの値)を確認できる。

 このため、「いつ」遅くなるのかを確認できるうえ、ログによってパケットロスや回線断が発生している場合もすぐに確認できる。このほか、トポロジーで接続形態を可視化したり、現在のトラフィックをアニメーションで表示することもできる。

インターネットヘルスによって、時系列での回線状況が判断できる
全体の接続状況はもちろんのこと、リアルタイムのトラフィックの流れをアニメーション表示できる

 Wi-Fiも同様に可視化が可能だ。接続されているクライアントの一覧はもちろんのこと、接続されているリンク速度、電波状態、送信リトライ率などが表示される。周囲の電波状況ももちろん確認できる。

クライアントのリンク速度と電波状況をプロットすることで、どの端末が遅いのかを判断できる
接続の問題が発生している場合も確認できる(画面は問題なしの状況)
周囲の電波状況も確認できる

 また、セキュリティに関しても、ネットワーク経由で利用されているアプリケーションが一覧表示され、それぞれどれくらいのトラフィックで、何台のクライアントが利用しているかが表示される。ゲームなど、特定のアプリを選択して、そこから通信をブロックすることもできる。

トラフィックが高い場合は、どの通信で高いのかを判断可能
場合によってはアプリをブロックできる

 法人向でも、ここまで詳細な情報を表示できない製品も少なくないが、本製品の場合、過去の情報も含めた統計情報として表示され、ただ表示するだけでなく、そこから次のアクションにつなげる工夫までされているのが秀逸だ。

 ただし、欠点もある。国内で主流となっているDS-LiteやMAP-EなどのIPv4 over IPv6(IPv6 IPoE)に対応してないため、IPv4に関してはDHCP、固定IP、PPPoEで利用する必要がある。IPv6自体には対応しているので、法人向けの固定IPやDHCP方式などの回線で利用するといいだろう。


【記事追記:2024年2月16日】
2024年2月15日時点で、Early Accessチャネルで配布されているファームウェア(UniFi OS 3.2.5、UniFi Network 8.0.7)以降を利用した場合、インターネットマルチフィード株式会社が提供するtransix IPv4接続(DS-Lite)方式のみサポートされる。

▼設定手順の解説
IPv6 IPoE transix IPv4 (DS-Lite)の設定手順 Ubiquiti UniFi(Ubiquiti Japan)


IPv4 over IPv6対応のみが日本市場における本製品の課題

 価格的にも、法人向けで、ここまでの機能を備えながら2万円台、もちろんライセンス料なしというのは破格と言える。日本では、法人でも家庭用のWi-Fiルーターを使っているケースが多いが、こうした環境の置き換えに検討すべき製品と言える。

 最後に、本製品は、文句なしにデザインがいい。余計なロゴ、余計な装飾をせず、シンプルさを極めた本製品のような美しさは、ぜひ他社にも見習ってほしいところだ。

清水 理史

製品レビューなど幅広く執筆しているが、実際に大手企業でネットワーク管理者をしていたこともあり、Windowsのネットワーク全般が得意ジャンル。最新刊「できるWindows 11」ほか多数の著書がある。