テレワークグッズ・ミニレビュー

第16回

バッファローのWi-Fi中継機がめちゃ便利!! 電波状況がまる見えでセッティングがカンタンだった

今回はバッファローのWi-Fi中継機「WEX-1800AX4EA」をレビューする。(※一緒に写っているWebカメラ男は製品とは関係ありません)

 新型コロナの影響で、テレワークを余儀なくされている読者も多いだろう。かく言うINTERNET Watch編集部や著者たちにとってもそれは同じ。それぞれの住環境の中で、テレワーク環境をより改善すべく日々工夫を凝らしている。そこでこの連載では、実際に使ってオススメできると思ったテレワークグッズのレビューをリレー形式で紹介していく。


 以前作ったWebカメラ男(関連記事参照)に見守られながら、すっかり快適な環境でテレワークをこなしていた。だが機械というのはいつか寿命が来るものだ。一度は完璧と思えたテレワーク環境にほころびが出ることもある。

 なぜかiPhoneでウェブサイトが開かなくなった。Wi-Fiには繋がっているハズなのだが遅い。どうやらWi-Fi中継機の調子が悪いようだ。中継機のコンセントを抜き差しすると復活するのだが、ひどい時だと1日1回こんなことになる。

 今使っているWi-Fi中継機はかれこれ4~5年前に買ったもの。24時間365日稼働しているので、そろそろ寿命なのかもしれない。そこで今回はWi-Fi中継機を新調することにした。もちろんルーター本体の交換という選択肢もあるのだが、我が家のインターネット回線はNURO 光で、ルーターはONU一体型のものなので、ルーターだけを交換することができない。別のルーターをブリッジ(AP)モードで使うことも考えられるが、現時点では中継機でもなんとかなりそうなので、まずはWi-Fi中継機の交換とした。

 Wi-Fi中継機にもいろいろとあるが、選んだのはバッファローの「WEX-1800AX4EA」だ。清水理史氏によるレポートなどを読んでも使い勝手がよさそうだし、なにより見た目が白くてサイズも小さく、シンプルなデザインがいい。個人的にはいかにも強そうなデザインもいいのだが、妻が許してくれない(苦笑)。アンテナ内蔵の「WEX-1800AX4」も考えたが、これを機に中継機の置き場所も再検討しようと思い、コンセント直挿しだけでなく、据え置きにも対応した「WEX-1800AX4EA」を選んだ。なお、「WEX-1800AX4EA/N」や「WEX-1800AX4EA/D」など末尾に記号が追加された製品もあるが、基本的には販路やパッケージの違いによるものなので、WEX-1800AX4EAシリーズであればスペックに違いはない。

 今のところ我が家にWi-Fi 6(IEEE 802.11ax)対応製品はないのだが、この先4~5年は使うと考えてWi-Fi 6対応品を選択。それともうひとつ魅力があって、「WEX-1800AX4EA」と「WEX-1800AX4」は、Wi-Fi中継機でありながらEasyMeshにも対応しているのだ。もちろん今回は中継機として購入したわけだが、後でやっぱりメッシュが欲しい、となったときにも、EasyMesh対応のルーター(親機)を購入すれば、メッシュ子機としても活用できるわけだ。EasyMeshはWi-Fi Alliance主導の標準メッシュ技術なので、バッファロー製品に限らず、他社のEasyMesh対応ルーターとだって接続することができるはずなのだ。

バッファロー「WEX-1800AX4EA」はコンセント直挿し型のWi-Fi中継機だが、スタンドと延長ケーブルが付属して据え置きにもできる

デザインも使い勝手もシンプルでスマート!!

 ということで早速購入してみると、まずおどろいたのはそのサイズだ。もちろん大きすぎないモデルとして選んだのだが、外部アンテナモデルなのにかなり小さく感じる。

 特に特筆すべきはその薄さで、コンセントに挿した状態でも出っ張り感が少ない。本体部分は外側に行くほど薄くなるデザインなので、スペック値以上に薄く感じられる。デザイン的にもスッキリとしていて、リビングなど目に付くところに置いても収まりがいい。通信状態などを示すLEDは消灯することもできるが、こちらも大きさ、明るさともに控えめなので、つけっぱなしでもそんなにうるさくは感じない。以前使っていたWi-Fi中継機はかなり存在感をアピールするLEDだったので、この控えめな感じは好印象だ。

 一方で、据え置き用のスタンドと電源ケーブルをつけると厚さがそれなりに増す。そのため壁にぴったりとくっつけて置くようなことはできない。また、コンセント直挿しする以外、壁掛けにも対応していない。

 Wi-Fi中継機としての使い方はいたって簡単だ。WPS(AOSS)に対応したルーターであれば、ルーターの近くで中継機をコンセントにつなぎ、約1分待ってスタンバイ状態になったのを確認したら、実質一つしかないボタンの長押しでWPSでの接続が始まる。続けてルーター側もWPSを起動。ルーター側のWPSの使い方はルーターの説明書に従ってほしい。

 特に問題がなければ2分ほどで接続が完了する。あとは中継機を希望の場所に設置してコンセントに繋げばいい。従来のルーターのSSIDのままWi-Fiに繋いでおけば、状況に応じて自動で中継機経由が選ばれるので、スマホなどの設定を変更する必要はない。家族のスマホもなにもいじらないで勝手に繋がってくれるのは実にスマートだ。

真上から見たところ。外に行くほど薄くなるので、数値以上に薄く感じる
据え置きで使おうとすると、後方にケーブルなどが繋がるため実質的な厚さが増す
側面から。赤いボタンがWPS接続とLEDのオン・オフを切り替えるボタン、その下が親機との接続を自動切り替えにするか5GHz帯限定にするかのスイッチ
有線LANポートもある。メッシュとして使う時にはバックボーン用にも使える
コンセントに直挿ししたときの薄さが際立つ。コンセントのプレート自体の厚みを含めても壁からの出っ張りは最大で40mm程度
幅と高さはこんな感じだ。1/6スケールのWebカメラ男が大きく見える

電波状況が丸見えの「中継機設置ガイド」が秀逸

 ただし、少しでも電波条件を良くしたいなら、中継機の置き場所を検討する余地がある。そこで大いに役立つのが、中継機の設定画面にある「中継機設置ガイド」だ。スマホの場合は専用アプリの「StationRadar」、PCの場合は「エアステーション設定ツール」から入ることができる。

 この「中継機設置ガイド」では、現在のルーター~中継機間と中継機~子機間の電波状況や通信速度を、ほぼリアルタイムで見ることができる。そこで中継機の置き場所はどこがよいか、あっちこっちのコンセントに繋いで比較することができる。

 何度かやっていると気が付くが、通信速度は上下するので、その都度しばらくは通信速度と電波強度を観察するほうが良さそうだ。多くの場合、しばらく待ったほうが速度も電波強度も上がる印象。また、アンテナの向きでも変化するので、飛ばしたい方向を考えていろいろと試してみると面白い。

専用アプリのStationRadar
中継機設置ガイドが便利。現在の接続状況に加え、それぞれの電波強度や通信速度を見ることができる

 我が家の状況を解説しよう。我が家は木造2階建ての一軒家。ルーターは2階にあるのだが、実際にスマホを使ったり仕事をしたりするのは1階がほとんどで、1階のWi-Fi環境改善が一番の課題である。

 1階の間取りをざっくり説明すると、中央に階段があって、その南側にLDK、北側に和室(仕事部屋)、トイレ、浴室がある。ルーターがあるのはリビングの真上なので、仕切りのないLDKは親機のWi-Fiが届くのだが、北側の和室、トイレ、浴室はWi-Fi中継機がないと2.4GHz帯しか届かないという状況だ。

 中継機の設置場所候補だが、まずはこれまで使っていたのが、階段北側の階段下収納の中だ。収納の中で外からは見えない場所なので、電波環境がいい高い位置にコンセントを設置して中継機を取り付けていた。この位置だと和室でもお風呂でも、中継機~子機間の電波の状況は良かった。一方でルーターからは遠いので、ルーター~中継機間の電波環境には漠然と不安を感じていた。

 実際にWEX-1800AX4EAを取り付けて試してみると、5GHz帯で繋がるものの、電波強度は不安定で、速度もやや遅くなりがちだ。

階段下収納の中に設けたコンセントに中継機を直挿し
白い壁の向こうは階段。扉とのすき間に中継機が収まる
コンセントはこんな感じで増設したもの
この場所だとルーターの電波がやや弱い

 そこで階段の踊り場の南側にあるコンセントで試してみる。踊り場なので高さ的にもあるし、2階と1階を繋ぐのにもよさそうだ。だが、そこでもやはりルーターの電波が少しだけ弱い。できればルーター~中継機の間はしっかりと繋ぎたい。

 それと、この時点で気が付いたのだが、普通のコンセントの位置(高さ)だと2歳の娘の手が届いてしまう。コンセントから抜かれるぐらいなら問題ないが、アンテナをポッキリやられたら大変だ。やっぱり内蔵アンテナにしておけばよかったかと今さらながら後悔もした。

階段の踊り場にあるコンセント。ただ、娘にいたずらされそうだ

 続いてルーターの真下にあるリビングでもチェック。こちらではスタンドを装着し、子供の手の届かないスピーカーの上やダイニングのタンスの上などで試してみる。そうするとさすがにルーターとの接続はバッチリ。しかしリビングに置くとお風呂場が、ダイニングでは和室への電波の届きが悪くなってしまった。

リビングのスピーカーの上に据え置き。ここなら娘の手も届かないが、お風呂場での電波が弱くなりすぎた

 そこで考え方を変えて、ルーター~中継機間と中継機~子機間の両方がバランスよくなる場所を探してみると、やはり最初の階段下収納か踊り場になる。踊り場は子供のいたずらの可能性があるので、結局は最初の階段下収納のコンセントに落ち着いた。

 ここで中継機の位置が決まったことでもうひとつ工夫をしてみることにした。それが親機であるルーターの置き方だ。我が家のルーターはアンテナ内蔵式なので、アンテナの角度を変えることはできないが、ルーターの置き方でも電波の飛び方は変わりそうだ。

 そこで「中継機設置ガイド」を見ながらルーターの向きをいろいろと変えてみると、これが結構効果があって、電波強度が安定する状況を作り出すことができた。やっぱりその場で電波強度が確認できる「中継機設置ガイド」は素晴らしい!! さらに中継機のアンテナの角度もいろいろと試してみるが、こちらは普通に真上に立てた状態が一番よかった。結果、ルーター~中継機間の速度としてもWi-Fi 5としては最速の866Mbpsで安定してくれた。

結局最初の階段下にしたが、ルーターの置き場所や向きを変えることで、ルーター~中継機間の電波強度は-61dBm、通信速度も866Mbpsで安定した

SSIDは変わらないのに勝手に最適な通信環境を選択

 おかげで和室で仕事中もお風呂やトイレでも安定して通信することができるようになった。今まで使っていたWi-Fi中継機では、中継機用のSSIDがある形だったが、バッファローの場合は既存のルーターのSSIDに繋いでいれば勝手に切り替わるので、メッシュのような感覚で接続先を意識することなく使うことができる。一方で中継機用のSSIDも設けられているので、SSIDを切り替えることで強制的に中継機接続を選ぶ事も可能だ。

 ただ、「中継機設定ガイド」を眺めていると、北側の部屋に行くと結構すぐに中継機に繋がる印象で、中継機用SSIDを使う必要性は感じなかった。むしろ中継機の電波がよく届くので、南側のリビングでも中継機経由になっていることは多い。リビングであればルーターと直接繋いだほうが速いはずだが、そうはいっても「中継機設定ガイド」上では数百Mbpsという数字なので、遅さを感じることはない。

 最初は見えないところで勝手に切り替わることに違和感を覚えたが、「中継機設定ガイド」を見ていると結構良い感じに電波を選んでくれているのが分かって、むしろ何も考えないのでいいから楽だなと考えを改めた。

 ちなみに設定画面では結構細かい設定もできる。たとえば中継機~子機間の接続について、2.4GHz帯と5GHz帯のどちらを優先するかを切り替えたり、どちらかだけを使うようにしたりするところもできる。また、ルーター~中継機間の接続についても、本体のスイッチで5GHz帯に限定することができるほか、手動でSSIDを選ぶ事で5GHz帯か2.4GHz帯での接続に限定することもできる。私はめんどくさがりなのでほぼなにもいじっていないで快適に使えているが、こだわりたい人でもきっと満足するんじゃないかと思う。