テレワークグッズ・ミニレビュー

第31回

最大1Gbpsの回線に乗り換えたからWi-Fi 6ルーターで快適に! NEC「Aterm WX3000HP」で通信速度が約2割アップ

 テレワークが定着した昨今、INTERNET Watchの編集部スタッフやライター陣も、それぞれの仕事環境を改善すべく日々工夫を凝らしている。この連載では、そんなスタッフが実際に使ってオススメできると思ったテレワークグッズのレビューをリレー形式で紹介していく。


 前回の記事では、筆者宅のインターネット接続サービスを最大通信速度1Gbpsの「@nifty光 with フレッツ」に乗り換えた際のドタバタを紹介した。今回はその後、Wi-FiルーターをWi-Fi 5(IEEE 802.11ac)対応の製品からWi-Fi 6(IEEE 802.11ax)対応の製品に乗り換えた件をお話ししたいと思う。新たに導入した製品は、NECプラットフォームズの「Aterm WX3000HP」。Wi-Fi 5のルーターはバッファローの製品(「WSR-1166DHP4」)を使っていて、その前はアイ・オー・データ機器だったので、メーカーによる違いを見てみたい、ということで今回はNECプラットフォームズにしてみた次第だ。

WX3000HP(手前)とONU(奥)

回線が速くなった今が、Wi-Fiルーターの買い替え時では?

 回線を乗り換えてWSR-1166DHP4で速度を計測すると、有線では下り500Mbps台、Wi-Fiでは下り400Mbps台。この製品のWi-Fiの最大通信速度は866Mbps(5GHz帯接続時)または300Mbps(2.4GHz帯接続時)だが、よりスペックに余裕のあるWi-Fi 6ルーターに替えれば、もう少し速くなりそうに思える。

 Wi-Fi 6EやWi-Fi 7といった次世代規格の機種の話題も、あと半年から1年もしたら聞かれそうだ。しかし、それらは次のタイミングで検討することにして、回線が速くなった今、ルーターも新調するのが、満足度・快適度が高いのではないだろうか。きっとそうだ。そうしよう。

 今回WX3000HPを選んだのは、(1)NECプラットフォームズの製品を試してみたい、(2)シンプルで質実剛健さを感じるデザインがいい、(3)ほどよいスペックだったので、の3点による。筆者は近年だとアイ・オー・データ機器とバッファローのWi-Fiルーターを買っており、メーカーによる違いを見てみたかった。

 筆者宅ではあまり目立たない位置にWi-Fiルーターを置いているが、デザインはあまりメカメカしくない方がいい。そもそも狭い部屋なので、外部アンテナなどはなくて問題ないと思う。スペック的には、有線LANがギガビット対応でWi-Fiの通信速度が最大2402Mbps(5GHz帯)または574Mbps(2.4GHz帯)ということで、十分だろうと思えた。

Atermのミドルクラス3モデルを比較

 なお、検討中に「WX3000HP2」も発表されたが、Amazonでは発売がまだ先(Amazonだと「AX3000HP2」という型番で、3月21日発売予定)だったのと、スペック的にはほとんど違いがないようだったので、すぐ買える方にした。

 同じWi-Fi 6対応のAtermから、ひとつ上位にあたるモデル「WX3600HP」を加えた3機種を、簡単に比較してみたのが以下の表だ。Aterm製品比較のウェブサイトで確認できるWi-Fiと有線LANの実効値も記載した。WX3000HP2とWX3000HPの大きな違いは子機および中継機として使えるかどうかで、HP2の方が機能が少ない。

Wi-Fi 6対応Aterm 3モデルの機能比較
WX3600HPWX3000HP2WX3000HP
5GHz帯4ストリーム
最大2402Mbps
2ストリーム
最大2402Mbps
2ストリーム
最大2402Mbps
2.4GHz帯4ストリーム
最大1147Mbps
2ストリーム
最大574Mbps
2ストリーム
最大574Mbps
Wi-Fi実効値約1627Mbps約1580Mbps約1580Mbps
有線LANWAN:2.5Gbps
LAN:1Gbps
WAN:1Gbps
LAN:1Gbps
WAN:1Gbps
LAN:1Gbps
有線LAN実効値(PPPoE)930Mbps930Mbps930Mbps
利用用途親機/子機/中継機親機親機/子機/中継機
QoS××

 また、かんたん設定系機能の種類に違いがある。WX3600HPとWX3000HPはWPSによる「Wi-Fi設定引越し機能」や、Android/iOSアプリ「Aterm らくらくQRスタート」でQRコードを撮影することで設定できる「らくらくQRスタート」機能を搭載するが、WX3000HP2にはない。代わりにWX3000HP2には、QRコードをAndroid/iOS標準のカメラで撮影するだけで設定できる「標準QR Wi-Fi設定」機能が搭載されている、といった具合だ。

Wi-Fiの通信速度は20%以上のアップ!

 さて、WX3000HPが届いた。サイズは、ビジネス書や小説の単行本(ハードカバー)でよく使われる四六判(127または128×188mm)に近い129×170mm。本に見立てると厚みが48mmとかなりの長編大作(?)になるが、本棚などにも置きやすいと言えるだろう。

単行本より少し低めといったサイズ。ただ、厚みはけっこうある

 電源と有線LANケーブルを接続し、ONUから順に起動すれば、すぐに利用できる。続けて有線LAN接続したPCのウェブブラウザーから設定を行うが、設定画面の動作がスムーズなのには感心した。

 設定をひととおり確認し、ファームアップデートを行って、5GHz帯のSSIDの設定を変更。「暗号化モード」がデフォルトだと「WPA2-PSK(AES)」になっているので、非対応機器がない環境であれば、「WPA3-SAE(AES)」に変更しておく。

管理画面のトップ
「暗号化モード」を「WPA3-SAE(AES)」に。WPA3非対応の機器も接続したい場合は、別途セカンダリSSIDを設定できる

 有線LAN接続したPCでGoogleのスピードテストを行うと、前のルーターではめったに見られなかった下り600Mbps台の数値がコンスタントに出る。体感できる差ではないが、多少コンディションが悪いときにも通信速度が高水準で維持されると期待できるだろう。

有線LAN接続したPCでのスピードテスト比較。大きくは変わらないが、下りの数値はコンスタントに伸びている

 Wi-Fiのスピードテストは、前回と同様にMacBook Air(M1 2020)で行った。前のルーターではよくて下り400Mbps台だったが、WX3000HPでは、ルーター直下もしくは周辺ならば500Mbps台がコンスタントに出るし、600Mbps近くも出る。控えめに言って20%、アベレージではそれ以上のスピードアップができている。

Wi-Fi接続でのスピードテスト比較。上り下りとも20%以上はスピードアップしている

バンドステアリングを設定してみよう

 WSR-1166DHP4になくてWX3000HPにある機能の1つに、状況に応じて5GHz帯と2.4GHz帯を自動的に切り替えて通信を安定させる「バンドステアリング」がある。デフォルトではオフだが、オンにして使ってみた。

 5GHz帯が苦手とする遮蔽物が多い環境だと、適宜2.4GHz帯に切り替えてくれるバンドステアリングは効果的かもしれないが、我が家の場合は電波状況が厳しそうな場所でも、せいぜい壁1枚を隔てる程度。壁を隔てた部屋やトイレ、浴室などで5GHz帯と2.4GHz帯のアクセスポイントに接続して速度を比べてみたが、5GHz帯の方が圧倒的に速い。

 3人家族で接続する機器も多くなく、効果的に働いてくれるかは疑問だ。が、2.4GHz帯のSSIDを選択して接続したいケースもないので、設定してみることにした。バンドステアリングをオンにすると、2.4GHz帯のプライマリのSSIDが自動的に5GHz帯と同じになる。

「Wi-Fi基本設定」の画面でバンドステアリングを設定する

 バンドステアリングを使ってみての感想は……。体感では案の定よく分からない。スピードテストをあちこちで繰り返して行うと、たまに非常に低い結果が出ることがあり、必要がないのに2.4GHz帯に接続しているのかもしれない。が、それでも体感で差を感じるほどではなく、助けられていることもあるかもしれないので、使い続けている。

新モデル「HP2」も出ているが、価格差も考慮したら「HP」も悪くない

 今回、多少速くなることを期待しつつ、ほとんど変わらなかったらどうしようとも思いつつWi-Fiルーターを買い替えた。その結果、スピードテストの数値を見ると、思ったより速くなったなという印象がある。

 もっとも、体感ではほとんど違いを感じないし、豊富な機能は狭い家だと持て余し気味の感は否めない。それでも。回線に不満を感じる機会が減り、当たり前に高速回線が使えるようになったと考えている。

 WX3000HP2とWX3000HPだが、Amazonではそれぞれ「AX3000HP2」、「AX3000HP」という型番で販売されている。週明けの3月21日にはHP2も発売されるので、中継機能が必要なければ、こちらを選ぶのもいいと思う(と、いう話になると、我が家に中継機能はいらないのだが)。なお、販売価格の差もあり、執筆時点のAmazonの販売価格ではHPの方が2790円安いので、購入検討時にはこの点も考慮したい。