テレワークグッズ・ミニレビュー

第142回

ケーブルが硬くてわずらわしい!! 柔らかいThunderbolt 4対応のケーブルを探していろいろ買ってみた

Thunderbolt対応で柔らかいケーブルが欲しい!!

 筆者のテレワーク環境はというと、PCはLenovoのT14 Gen4で、Lenovo純正のThunderbolt 4ドックを使っている。さらにThunderbolt 4対応の10GbEアダプターも使っていて、もはやThunderboltは手放せなくなっている。

 ただ、Thunderboltを使っていて思うのが、ケーブルが太くて硬いということ。最近だと普通のUSB Type-Cケーブルはシリコン製の非常に柔らかく、細く、しかも巻きグセも付かないケーブルが増えてきていて、使うときも、しまう(巻く)ときもとても快適なのだが、Thunderbolt 4ケーブルはというと、とにかく硬くて取り回しがしにくい。Thunderbolt 4ケーブルでもシリコン製の柔らかいものがないものか?

 ということで今回は、柔らかいThunderbolt 4ケーブルを探してみた。

Thunderbolt 4ケーブルはなにが違う?

 USB Type-Cケーブルと見た目はそっくりなThunderbolt 4ケーブルだが、なにが違うのかというと、分かりやすいところで、Thunderbolt 4ケーブルは最大40Gbpsの通信と100W以上(最大240W)の電力供給が行える。USB4ケーブルと呼ばれるものでも40Gbpsと100W出力に対応するものはあるが、Thunderbolt 4がUSB4の上位互換のような関係にあるため、Thunderbolt 4ケーブルでUSB4の性能を引き出すことはできるが、逆の場合、機能が制限される可能性がある。

 また、長さとしてもUSB4は上限が0.8mまでなのに対して、Thunderbolt 4は2mまで対応する。なので、使っている機材がThunderbolt 4対応なのであれば、Thunderbolt 4ケーブルを選んでおくのが間違いがない。

 というわけで、Amazonで探しまくったわけだが、Thunderbolt 4対応のシリコン製ケーブルで見つけられたのは3種類だけ。

 1つ目は、chiatepというブランドのThunderbolt 4ケーブル。長さは0.5mと1mがあるが、今回は0.5mの方を購入した。データ転送は最大40Gbps、240Wの給電に対応。高弾性リキッドシリコンを使い、コネクター部分にカミナリのマークがある。

chiatepのThunderbolt 4ケーブル、長さは0.5m

 2つ目は、DuttekのL字型ケーブルで、長さは0.6m。40Gbpsのデータ転送と240Wの給電に対応。ケーブルはシリコン製で片側のコネクターがL字になっている。こちらも製品名にThunderbolt 4/3とあるが、コネクター部にカミナリマークの記載はない。

DuttekのL字型ケーブル、長さは0.6m

 3つ目は、LINKUPの液体シリコンを謳うケーブル。長さは1m。40Gbps、240Wに対応し、Amazonの製品名にはThunderbolt 4ケーブルとあるが、コネクター部にThunderboltのカミナリマークは記載されていない。

LINKUPの液体シリコンケーブル、長さは1m

 というわけでThunderbolt 4対応を謳っているものの、今回見つけたシリコンタイプ3種類の中で、ちゃんとカミナリマークが入っているのは1製品のみ。

 そこで、いろいろと口コミを探して、柔らかいThunderbolt 4ケーブルを探したところ、シリコンケーブルではないものの、AnkerのThunderbolt 4 100Wケーブルが柔らかいという情報を得たので、それも買ってみた。こちらは長さ0.7mを買ったが、他に2mもある。また、最大240Wに対応したものもあるが、口コミによるとこちらの100Wのほうが細くて柔らかいらしい。

AnkerのThunderbolt 4 100Wケーブル、長さは0.7m

 ということでこの4本で柔らかさを比較していきたい。

比較用も含めて全6種類のケーブルを比較

 では早速製品を見ていこう。まずケーブルの太さとコネクターのサイズを比較していきたい。

 なお、比較用として、購入した4製品以外に、LenovoのThunderbolt 4ドックに付属していたThunderbolt 4ケーブルと、もうひとつ、これはThunderbolt 4ケーブルではないのだが、手持ちの4Kディスプレイに付属していた映像出力に対応したUSB Type-Cケーブルを用意した。

 というのも映像出力に対応したUSBケーブルはコネクター部が大きい上に硬いことが多い。据え置きのディスプレならそれでもまだよいが、これがモバイルディスプレイなどだと、持ち運ぶときもかさばるし、使うときにもディスプレイが軽いとケーブルの力で動いてしまうこともあって、結構煩わしい。Thunderbolt 4ケーブルであれば映像出力にも対応するので、柔らかいものが見つかれば、ディスプレイケーブルの置き換えにもできるわけだ。Thunderboltは使わないけどモバイルディスプレイのケーブルが硬くて不満、という人も参考にしてほしい。

全6種のケーブルで比較する

比較用のThunderbolt 4ケーブルとディスプレイ付属のケーブル

 まず基準として、Lenovoのドックに付属してきたThunderbolt 4ケーブルと、4Kディスプレイに付属してきた映像出力対応のケーブルの寸法を見ていこう。

 まずThunderbolt 4ケーブルだが、コネクターハウジングの長さは22.7mmで、ケーブルの直径は4.4mm。

Lenovoのドックに付属してきたThunderbolt 4ケーブル、コネクターハウジングの長さは実測で22.7mm
ケーブルの直径は実測で4.4mm

 そしてディスプレイケーブルは、コネクターハウジングの長さが27mmで、ケーブルの直径が4.9mm。

ディスプレイに付属のケーブル、コネクターハウジングが長く27mmもある
ケーブルの直径も太くて4.9mm

 Thunderbolt 4ケーブルもかさばると思っていたが、ディスプレイ付属のケーブルのコネクターの巨大ださが際立つ。そしてケーブルはどちらも硬いが、やはり太さの分、若干ディスプレイケーブルのほうが硬い印象。といっても大差はなくどちらも硬い。

chiatepのコネクターとケーブルサイズ

 続いて検証用に今回購入した製品を見ていこう。

 まず今回見つけたシリコンタイプの中では、唯一Thunderboltのカミナリマークが入ったchiatepのケーブル。まるで高級RCAコネクターのような凝ったコネクター形状だが、コネクターハウジング部分の長さが実測で、25.7mmと大きい。といってもディスプレイ付属ケーブルよりは短く、またこの製品はケーブルの付け根のスリーブもないので、極端にコネクター部が長いとは感じない。

 どちらかというと気になるのはケーブルの太さで、なんとディスプレイ付属のケーブルよりもさらに太い5.0mm。表皮はシリコンで柔軟な印象があるが、その内側がメッシュ状にシールドかなにかが入っているようで、中身の詰まっている感がスゴい。

 実際に曲げてみても太いなりに硬さを感じる。といっても体感としては、ディスプレイ付属ケーブルやLenovo付属のThunderbolt 4ケーブルと比べると柔らかいので、見た目の割には柔らかいと思うが、シリコンケーブルでイメージする柔らかさとはだいぶ違う感じだ。

chiatepのコネクター部。240Wの文字とThunderboltのカミナリマークがある
chiatepのコネクターハウジングの長さは実測で25.7mm
chiatepのケーブルの太さは実測で5.0mm

Duttekのコネクターとケーブルサイズ

 Duttekは、Amazonで変換コネクターなども多く出しているブランドだが、このケーブルも少し変わり種で、片側がL字になっていて、そういった方面のニーズも高そうだ。

 コネクターの端子は金メッキされ、コネクター部には40Gbpsと8Kの映像出力に対応する旨が表記されるものの、Thunderboltのカミナリマークはない。

 コネクターハウジングの部分の長さは実測で20.1mmとかなり小さい。スリーブはコイル状の巻き線になっていて、昭和の家電を思い出す。

 そしてケーブルも細い! 実測3.7mmは普通のUSBケーブルと比較しても細い。そしてしなやか。柔らかさで言えば今回ダントツの性能だ。

Duttekのコネクター部。端子は金メッキされ、ハウジングはオレンジ、スリーブは巻き線。ハウジングには40Gb/sと8K UltraHDの文字が
Duttekのコネクターハウジングの長さは実測で20.1mm
Duttekのケーブルの太さは実測で3.7mm

LINKUPのコネクターとケーブルサイズ

 LINKUPは、コネクターのハウジングとスリーブ部分が一体になったタイプ。その分耐久性は高そうだ。また、端子部分も金メッキになるなど、凝った作りになっている。

 コネクター部には40Gbpsと240W対応の文字が刻まれるがカミナリマークはない。

 コネクターの寸法は、スリーブ一体型なので、スリーブの首が曲がる部分までの長さとして、実測で24.2mmとコンパクト。

 ケーブルの直径は実測で4.5mm。表面はシリコンだが、中に網状のシールドかなにかが入っている印象で、それなりに硬い印象だ。

LINKUPのコネクター。端子部分は金メッキされ、ハウジングには40Gbpsと240W対応の文字が刻まれる
LINKUPのコネクターはハウジングとスリーブが一体型のため、スリーブの首が曲がる部分までの長さを測定し、実測24.2mmに
LINKUPのケーブルの直径は実測で4.5mm

Ankerのコネクターとケーブルサイズ

 今回買った中では唯一シリコンケーブルではないAnkerのThunderbolt 4ケーブル。そして唯一給電が100Wまでとなる(240Wタイプも販売はされている)。

 コネクター部分にはカミナリマークと4の文字があって、Thunderbolt 4対応であることが明確になっている。

 コネクターハウジングの長さはスリーブを含まずで22.6mm。ケーブルの太さは4.3mmなので、細いとまでは言えないが、普通という印象。ただし、シリコンケーブルでもなく、太さの割には硬く感じる。

 そして実のところLenovoのドックに付属してきたThunderbolt 4ケーブルに非常に似ている。寸法的にも実測で0.1mmの違いは誤差の範囲だし、ケーブルの柔らかさについてもかなり近い印象。ケーブルの被膜の手触りが違うので、全く同じではなさそうだが、OEMと言われてもおかしくないぐらいよく似ている。

Ankerのコネクター部。Thunderbolt 4対応を示すカミナリマークと4の文字。そしてケーブルにはうっすらと100Wの文字も
Ankerのコネクターハウジングの長さは22.6mmと短い
Ankerのケーブルの直径は実測で4.3mm

シリコンはやっぱり柔らかい? 柔らかさを見える化してみた

 さて、気になる柔らかさの比較だが、数値化する方法がないので、まずは主観でお伝えすると、柔らかい方から順に、Duttek、LINKUP、chiatep、Ankerの順。そのAnkerはLenovo標準のThunderbolt 4ケーブルとほとんど同じぐらいの硬さという印象で、ディスプレイ付属ケーブルはそれより少し硬いといったところ。

 ただ、chiatepも、Ankerよりは柔らかいものの、太さゆえの硬さは感じるし、クセが取れきれないので、真っ直ぐに伸ばすというのが難しい。柔らかさを求めるならDuttekかLINKUPまでだと思う。

 といっても、いくら言葉で説明しても伝わりにくいと思うので、その柔らかさを見える化すべくいろいろとやってみたので参考までに見ていただこう。ただし、もともと付いてしまっていた巻きグセの影響(クセの付いた方向には曲がりやすく、逆は曲がりにくい)もあるので、なかなか純粋な比較にはできていないというのが本音。説明を参考にしつつ見ていただければ幸いだ。

ぶら下げ比較

 ケーブルをぶら下げてみて、自重でどれくらい伸びるのかを比較してみた様子。一番左のLINKUPとオレンジ色のコネクターのDuttekが多少カーブしつつも自然と伸びているのに対して、左から2番目のAnkerは大きく曲がっているし、銀色のコネクターのchiatepはそこまでではないが、左に右にとS字を描いているのが分かるだろう。一番右側のLenovo付属Thunderbolt 4ケーブルが真っ直ぐに見えるが、これはケーブルの巻きグセの方向の問題で、写真では真っ直ぐに見えるが、手前に大きく弧を描くようにカーブしている。

まずは自然にぶら下げてみた状態。元の巻きグセの強さも影響しているが、chiatepとAnkerはクセが付いているのが分かるだろう

手持ち比較

 次に1本ずつ手に持ってみた様子。どうしても巻きグセがついているので、できるだけコネクターが上に行くような位置で撮影した。

 まずオレンジコネクターのDuttekとLINKUPを見ると、どちらも水平よりもコネクターが下がっているのが分かる。それぞれ巻きグセはついているが、ケーブルが柔らかいので緩やかに曲がっている。

Duttekはケーブルが柔らかいので手元のほうで大きく曲がっている
LINKUPもDuttekほどではないが手元で曲がっているのが分かる

 次にchiatepとAnker。chiatepはコネクターが水平より下がっているものの、弧の描き方がいびつで、巻きグセが強いことが分かってもらえると思う。一方のAnkerはもともとの巻きグセの強さもあって、高くコネクターが上がっている。

chiatepもある程度は曲がるが、クセが付いているのが分かる
Ankerは元々の巻きグセも強く影響していて自重に逆らって上に曲がる

 最後に比較用のThunderbolt 4ケーブルとディスプレイ付属ケーブル。これはどちらとも重力にあらがっているのが分かる。先のAnkerと比べると弱い感じがするが、単純に最初の巻きグセの強弱によるものだ。

Lenovoに付属のThunderbolt 4ケーブル。こちらも自重に負けない硬さがある
ディスプレイに付属のケーブル。しなやかさといった表現とはほど遠い硬さだ

輪ゴム比較

 続いて輪ゴムの力で曲げたときにどうなるのかも比較してみた。ケーブルの中腹、長さ10cmほどを輪ゴムの力で二つ折りにしたとき、輪ゴムがどれぐらい伸びるのか、というのをやってみた。その結果が以下の表。

ブランド名輪ゴムの長さ
Duttek34mm
LINKUP35mm
chiatep37mm
Anker40mm
Lenovo付属39mm
ディスプレイ付属43mm
Duttekは34mm
LINKUPは35mm
chiatepは37mm
Ankerは40mm
Lenovo付属のThunderbolt 4ケーブルは39mm
ディスプレイ付属ケーブルは43mm

 こちらももともとの巻きグセもあるので、多少の誤差はあると思うが、おおむね体感と近い結果だ。Lenovo付属のものよりAnkerのほうが輪ゴム比較だと硬い結果になっているが、筆者の手の感覚では分からないレベルの違いだ。

本当にThunderbolt 4ケーブルとして使えるか?

 最後に、本当にThunderbolt 4ケーブルとして使えるのかもチェックしてみた。

 といってもケーブルの規格を調べる術はないので、実際にLenovoのThunderbolt 4ドックに繋いでみて、認識するかを確認。結論としては、どれも問題無く認識して、ドック経由での映像出力、ドックのThunderbolt 4端子に繋いだQNAPの10GbEアダプターも認識した。

 それと速度も検証。Thunderbolt 4接続に対応したSSDを接続してCrystalDiskMarkで速度を計測。その結果は以下の画像のとおりだが、おおむね最大で3800MB/s近い数値が出ている。40Gbpsというと理論上は5000MB/sになるはずだが、そこはSSD側の限界だ。それでも30Gbpsぐらいは出ている計算なので、10Gbpsや20Gbpsがリミットのケーブルではないことが確認できた。なお、Write側が遅いのは、以前にこのSSDで別のテストをしたときも同様だったので、SSD側の問題で、ケーブルの性能によるものではない。

Duttek
LINKUP
chiatep
Anker

 実際には耐久性とか、あるいはケーブルの長さといった問題もあるので、一概には言えないが、今回の検証の限りでは、柔らかいThunderbolt 4ケーブル、あるいは映像出力可能なケーブルを探しているなら、DuttekかLINKUPのものがオススメできそうだ。

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