テレワークグッズ・ミニレビュー

第167回

バッファローのトラックボールで食わず嫌いを克服! Codexで作った自動切り替えツールで“二刀流”が快適すぎた

 筆者は初めてPCに触れたときからマウスを愛用しており、トラックボールには少し憧れがありつつも、ずっと手を出せずにいた。

 過去に家電量販店で少しだけ触ってみたこともあったが、細かい操作が難しかったり、マウスを使うときの癖で本体を動かそうとしてしまったりと、これは本当に使いやすいのか……? と疑問に思っていた。マウスより価格が高い傾向にあるため、買って失敗するのが怖かったのも、手を出さずにいた大きな理由だ。

 また、トラックボールのメリットとして「腕を大きく動かさないで済み、疲れにくい」点がよく挙げられる。だが、筆者はマウスの感度を高くして、数cm動かすだけで画面の端から端まで動かせる感度で使っているので、劇的な疲れにくさを感じることもないだろうとも思っていた。

 それでも、ボールを転がす操作性にはどこか惹かれるものがあった。仕事で行き詰まったときに無意識にマウスのホイールを回してしまうように、ボールを転がす動作にもきっと癖になる気持ちよさがあるのだろうと思っていた。「回す・転がす」という操作には、人間の本能を刺激する魅力があるのかもしれない。

 そんな、トラックボールに少し憧れがありつつも、食わず嫌いしていた筆者のところに、バッファローから新製品のトラックボール「BSTBB700X」シリーズを提供していただく機会があった。これは食わず嫌いを直すチャンスということで、本格的にトラックボールを使ってみることにした。

初心者からヘビーユーザーまで満足できるトラックボール

BSTBB700BKX

 同製品は、「手のひらに、しっくり。」をコンセプトに、手が小さめの人から大きめの人まで快適に使えるサイズ感とフィット感を追求した、バッファロー初のトラックボールだ。開発にあたっては、トラックボールの初心者からヘビーユーザーまで、誰でも快適に使用できるように、他社製トラックボールのレビューを分析し、不満点を解消したという。

薬指と小指の置き場があり、フィット感が高まっている

 トラックボール部分は標準的な34mm径を採用しており、ボールの支持部は人工ルビーによる3点支持となっている。実際に転がしてみると引っかかり感がなく、非常に滑らかに転がせる。ボールの取り外しも特殊な道具は不要で、背面の穴から指で押し出すことで外せ、気軽に掃除などのメンテナンスができる。

ボールの支持部は人工ルビーによる3点支持を採用

 本体上部には左右クリック、ホイールのほか、進む・戻るボタンが搭載されており、各ボタンの機能はバッファローが提供する無料アプリ「マウスカスタム+」で変更することも可能だ。全ボタン(チルトを除く)で静音スイッチを採用しており、静かな環境や夜中であっても周囲を気にせず使える。

「マウスカスタム+」で各ボタンに好きな機能を割り当てられる

 金属製のホイールは、左右のチルト操作(横スクロール)に対応しているほか、高速スクロールにも対応しており、長いウェブページやドキュメントも一気にスクロールできる。

 接続方式は、本体裏面に収納できるUSBレシーバーを使用した無線接続に加え、Bluetooth接続で2台、合計3台までのマルチペアリングに対応する。切り替えボタンが天面にまとめられているため、本体を持ち上げたり裏返したりせずにそのままスムーズに端末を切り替えられる。

切り替えボタンは全て天面に集約されている
USBレシーバーは本体裏面に収納できるため、持ち歩き時になくしにくい

 手へのフィット感から操作性、メンテナンス性まで、かゆい所に手が届く要素が凝縮されたこだわりの製品だと感じた。これなら、トラックボール初心者の筆者でもスムーズに移行できるかもしれない! と期待し、仕事中のメインの操作デバイスとして導入してみることにした。

やっぱりカーソルが狙い通りに動かない……

 さっそく使い始めたが、過去に少し触った時と同じく、トラックボールの操作性は難しいと感じた。想定通りの場所にカーソルは動かせないし、マウスの癖で本体を動かそうとしてしまう。

 しかし、今の自分が快適にマウスを使っているのは、間違いなく長年の慣れのおかげだ。最初は使いにくかったとしても、諦めなければ良さが見えてくるかも……と思い、仕事中のPC操作のほとんどをトラックボールで行うことにした。

 最初はおぼつかなかった操作も、数日使っていくうちにだんだん慣れてきて思い通りに動かせるようになってきた。しかし、テキストをドラッグして選択する操作はうまくできないし、クリックするときにボールが動いてしまうことで、ドラッグした扱いになってしまうこともあった。

 システム面で操作性を改善できないのか調べてみたところ、マウスとトラックボールでは使いやすいカーソル速度や設定に違いがあるらしく、適切に設定するとかなり使い勝手が良くなるそうだ。

Codexでカーソル速度の設定を切り替えるツールを作った

 本製品では、本体上部のボタンを押すことで、カーソルの分解能(DPI)を500/800/1200DPIの3段階から調整できる。さまざまな設定を試した結果、1200DPIに設定して、カーソル速度を少し下げる方向で調整し、「ポインターの精度を高める」をオンにするという理想の設定にたどり着いた。

 これまでは、細かい指の震えを認識してしまったり、想定以上にカーソルが移動したりすることも多かった。この設定に変更することで、親指を素早く動かしたときは画面端まで一気にワープしつつ、狙った位置にカーソルを動かせるようになり、感覚的に指の動きとカーソルの動きがシンクロしていると感じられるようになった。

試行錯誤の末たどり着いた設定

 こうしてトラックボールの理想の設定を見つけられたが、画像編集の範囲選択など、細かい作業をするときはマウスを使いたくなることもある。実は、マウスとトラックボールを両方接続していると、操作した方に対応してカーソルが動くため、使い分けもできるのだが、カーソル速度の設定は共通になってしまうので、マウスかトラックボールかに応じてカーソル速度の設定を切り替えたい。

 とはいえ、毎回手動で切り替えるのは現実的でない。そこで、自動で設定を変更できるツールを探したが、なかなか自分好みのものが見つからない。

 それなら作ってしまえばいいのだ! ……と言っても、筆者はプログラミングの基礎的な知識こそあれど、PCの設定変更を内部で制御するようなアプリを組み上げられるほどの知識はない。そこで今回は、生成AI(Codex)の力を借りてツールを作ってみることにした。

 やり方は至ってシンプルで、「Windowsは1つの設定しか保持できないから、使っているマウスに合わせて自動で設定を変更したい」と、頭の中にあるツールの設計を日本語で相談しただけだ。その結果、AI側からRaw Input APIを使ってデバイスを識別する構成などを提案してくれた。

 高度なプログラミング知識がなくても、動かなかったり気に入らない部分があったりした場合は、状況や修正案をCodexに伝え、「ここを直して」と頼めばいい。AIが勝手に修正版のコードを作成してビルドしてくれるため、こちらは実行して動作テストをするだけだ。

Codexとツールを作成している様子。自分が求めている機能と修正案を伝えるだけでツールが完成した

 コードを1行も書くことなく、AIと対話を重ねること約1時間、自分の理想通りに動くツールが完成した。自力で作ろうとしていたら数日かかる上に、クオリティもここまで高くできなかったはずなので、心の底から技術の進化に感動した。

 ツールはタスクトレイに常駐し、操作に使用した入力デバイスのハードウェアIDを識別して、Windowsのカーソル速度に関する設定を書き換える仕組みだ。マウスかトラックボール、どちらかを操作した瞬間に専用の設定に切り替わるため、常に理想的な設定で使用できるようになった。

作成したツールのスクリーンショット

トラックボール、かなりいいかも!

 この記事を作成している時点で、トラックボールを使い始めてからおよそ1カ月が経った。まだ完全に操作に慣れているわけではないため、正直なところ使いやすさの点ではマウスに軍配が上がる。

 しかし、外で作業する際にはトラックボールが手放せなくなってきた。

 まず、マウスのように本体を滑らせるスペースを必要としない点が大きい。カフェの狭いテーブルや新幹線の小さなテーブルはもちろん、膝の上でも快適に作業ができるのは、トラックボールならではの圧倒的なメリットといえる。

普通のマウスが使いにくい狭いテーブルでも、トラックボールなら快適

 さらに助かっているのが、全ボタンが静音仕様になっている点だ。筆者は普段、豊富なサイドボタンや操作性を重視してゲーミングマウスを愛用しているのだが、クリック音がカチカチと大きくなりがちで、外で使えないのが悩みだった。かといってシンプルな静音マウスだとサイドボタンが少ないことが多く、作業効率が落ちてしまう。一方、この「BSTBB700X」シリーズでは、チルト操作や進む・戻るボタンなど必要な機能を備えつつ、全ボタンが静音仕様になっているため、静かな環境でも周囲を気にせず使えるのが嬉しい。

 そして、ボールを転がす心地よさは、使う前から期待していた通りだった。今では、文章の執筆やブラウジング程度であれば、すでにマウスと変わらない感覚でこなせるようになった。あまりにも快適ににマウスとトラックボールを両方使える環境ができあがってしまったため、今ではデスクの上に2台を並べ、気分で使い分けるスタイルが定着している。

 食わず嫌いをしているマウス派の皆さまも、一度設定を整えた上で使い込んでみてはいかがだろうか。意外な快適さに、トラックボールを手放せなくなるかもしれない。

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