vProのツボ

「在宅+オフィス勤務」に最適化した新型レッツノート。パナソニックがこだわった「多様な働き方のためのPC」とは?

テレワークもカバーする「インテル vPro プラットフォーム」をフル活用したセキュリティ。マイクとスピーカーも「ウェブ会議向け」に

 オフィスから離れた場所で働く社員のPCをどうやって管理すればいいのか……。以前は限られた規模、業態、職種の企業でしか顕在化していなかったICT環境の悩みが、今やあらゆる企業が直面する課題となっている。これは言うまでもなく、テレワークの裾野が大きく広がったのが要因だ。

 日々進化し続けるコンピューターウイルスやマルウェアから保護するためのセキュリティアップデート、使用者本人では解決が困難なマシントラブルへの対応など、1カ所のオフィスに集中していれば比較的容易に対処が可能なことでも、社員それぞれが在宅勤務のような異なる場所で業務についている状態では、それもままならない。

 確実なセキュリティ対策や効率的なリモート管理を可能にする「インテル vPro プラットフォーム」の優位性は、まさにそうした場面で役に立つもの。そして、そのPCがターゲットとするユーザー層や利用シーンにおいて、インテル vPro プラットフォームの持つポテンシャルを最大限に引き出せるハードウェアとソフトウェアを持っているかという点も、昨今のテレワーク下では極めて重要なポイントになってくるはずだ。

 そんなインテル vPro プラットフォームのポテンシャルを引き出せるPCとは、果たしてどういうものだろうか。インテルとの長年にわたる密な連携を重ねてきたパナソニックのレッツノートシリーズ。その2021年夏モデルとして新しくリリースされた「FVシリーズ」の法人向けモデルを例に、vPro搭載ノートPCのあり方について探ってみたい。


「在宅メイン、オフィスワークが週数回」のユーザーに向けたモデル

パナソニック株式会社 コネクティッドソリューションズ社 モバイルソリューションズ事業部 マーケティングセンター 商品企画部 商品企画2課 主務 佐藤敬太郎氏

 高いパフォーマンスと堅牢性を誇るレッツノートは、ビジネスの現場では最も人気の高いノートPCシリーズの1つだ。国産ということもあり、その信頼性の高さから、大企業やミッションクリティカルな業務において数多くの導入実績があることでも知られている。

 そんなレッツノートの新モデルとなるFVシリーズは、これまでとは大きく異なるコンセプトのもと開発された。同社商品企画部の佐藤氏いわく「従来のレッツノートは、モバイルという使用シーンに特化してご提供していた商品」。しかしFVシリーズでは、対象を広げて「普段は在宅勤務、週に1、2回はモバイルワークやオフィスワークをする人に最適な製品として提案するシリーズ」とした。

新型レッツノート「FVシリーズ」

 テレワークをはじめとするワークスタイルの多様化に伴い、ビジネスユーザーがノートPCを使うシーンは様変わりした。佐藤氏が言うように、オフィスワーク一辺倒ではなく、在宅勤務をしつつ、時々外出したりオフィスに通勤したりするという「半固定」な使い方が多くなってきているのだ。

 こうしたユースケースでは、従来のようにモバイルに特化したサイズ感や機能・性能だと、どうしても不満に感じる部分が出てくるだろう。そこでFVシリーズでは、まず液晶ディスプレイをやや大きめの14型、アスペクト比3:2の縦方向に長い画面とした。

 これにより視認性を高め、縦スクロールが基本のウェブブラウザーやテキストチャットといった、テレワークでよく使うアプリケーションの扱いやすさを向上させている。それでも筐体の横幅は約308.6mmとコンパクトで、13.3型クラスのモバイルPCと同等サイズをキープ。重量も1kgを切る約999gに抑え、持ち運びが苦にならない軽さを実現している。据え置きとモバイルの両立を可能にしているわけだ。

ディスプレイは14型、アスペクト比3:2でやや縦方向に長い


ウェブ会議を快適に、AIを駆使した音声機能「COMFORTALK」とネットワーク性能

 機能面では、Wi-Fi 6に標準対応しているほか、LTE/5G対応モデルも用意するなど、場所を選ばず快適な通信でウェブ会議を可能にする装備を持つ。また、ウェブ会議の快適さという意味では「音質」の強化が図られている点も特徴だ。相手の声を聞き取りやすく、さらに自分の声を相手にしっかり届けられるようにする「COMFORTALK(コンフォトーク)」という機能を追加している。

 「COMFORTALK」を構成する要素は主に3つある。1つ目は、ボックス型のステレオスピーカーを筐体底面に搭載していること。音圧を高めるとともにデスクの反響も利用することで、ヘッドホンをしなくても相手の声をはっきり聞き取れるようにしている。このボックス型スピーカーには、多人数の会議室で使うときに遠くまで声が届きやすいというメリットもある。2つ目は、サウンドをソフトウェア的に最適化する「Waves MaxxAudio」を搭載し、人の声の音域を強調してよりクリアに聞き取れるようにしていることだ。

新たに搭載した機能「COMFORTALK」により、ウェブ会議などでの音声でのやりとりがスムーズに

 そして3つ目が、AI技術を用いたマイクのノイズ抑制機能。FVシリーズ内蔵のアレイマイクで捉えた音声のうち、エアコンの音やキーボードのタイプ音、子供やペットの鳴き声、緊急車両のサイレンなど、ノイズとなる周囲の環境音を低減する。ユーザーの声だけをきれいに拾って相手に届けることができ、互いの意思疎通をスムーズにするウェブ会議には不可欠な機能だ。佐藤氏によれば、「オンラインでも、オフィスで対面で話している状態に近づけたい」という思いから搭載された機能だという。

「オンラインでも対面で話しているときのように」というのが「COMFORTALK」の狙い

 PCの基本となる処理性能の面でも妥協はない。CPUは第11世代インテル Core vPro プロセッサー・ファミリーの、Core i7-1165G7(4コア8スレッド、最大4.70GHz)もしくはCore i5-1135G7(同、最大4.20GHz)を搭載。GPUはCPU内蔵のIntel Iris Xe Graphicsとなっている。パワフルなCPU・GPUではあるが、ここでポイントとなるのは高速動作を維持するためのレッツノート独自の設計技術だ。

 CPUは高速に動作するほど発熱が大きくなり、それに応じて処理速度を低下させる特性を持っている。いくら処理能力の高いCPUであっても、すぐに温度が高くなってしまえば本来の性能は出せない。いかに熱を逃がしコンスタントに高速処理できるようにするかは、ノートPCメーカーの腕の見せ所となっているのだ。

 それに対してパナソニックは、インテルとの長年の密な連携により、CPU特性の深い部分まで理解したうえで、最も効率の良い冷却・排熱構造と緻密な電力制御を実現する「Maxperformer(マックスパフォーマー)」と呼ばれる技術を開発した。長時間に渡って高いパフォーマンスを維持できるこの仕組みがあるからこそ、インテル Core vPro プロセッサー・ファミリーのポテンシャルを最大限に引き出すことが可能になっているという。


OS外への攻撃までも防ぐvProならではの万全のセキュリティ

 では、インテル vPro プラットフォームを搭載しているFVシリーズの強みはどういうところにあるのだろうか。佐藤氏は、第三者の不正なアクセスから保護する「高度なセキュリティ」と、「IT管理者による遠隔操作しやすさ」という2つのキーがあると話す。これらの柱となるのが、FVシリーズが搭載しているインテル vPro プラットフォームと、マイクロソフトが提唱する「Secured-core PC」というコンセプトだ。

 まず、Secured-core PCとは、一定のセキュリティ要件をクリアしたPCに与えられるもの。たとえば不正なプログラムからのメモリーアクセス保護の仕組みや、Windows Helloによる認証機能といったものが含まれる。

 そして、そのSecured-core PCに準拠する基礎であり、さらに、それを超えるセキュリティや管理機能を提供するのがインテル vPro プラットフォームだ。「高度なセキュリティ」としては、「インテル ハードウェア・シールド」などの機能で、ハードウェアレベルでのセキュリティを実現。また、「遠隔操作しやすさ」という点では、「インテル アクティブ・マネジメント・テクノロジー(インテル AMT)」と「インテル エンドポイント・マネジメント・アシスタント(インテル EMA)」で、電源オフから制御できるこれまたハードウェアレベルの遠隔操作機能が可能となっている。

vPro搭載のFVシリーズは「Secured-core PC」に対応している

 例えば「インテル ハードウェア・シールド」では、Windowsが起動する前のBIOS(UEFI)などをターゲットにした攻撃に対処でき、安全かつ安定したPCの起動を可能にする。

 さらに、インテル ハードウェア・シールドに含まれる2つのセキュリティ機能「Intel Threat DetectionTechnology(TDT)」と「Intel Control-Flow Enforcement Technology(CET)」も見逃せない。

 前者のTDTは、暗号資産のマイニングを勝手に行うマルウェアや重要なデータを人質にとるランサムウェアをハードウェアで効率的に検出するもの。GPU側で処理するためCPUに負荷をかけることがなく、業務アプリケーションを使い続けながら安全性を保つことができるのもアドバンテージと言える。

 もう1つのCETは、マルウェアによるバッファオーバーフロー攻撃からの防御をハードウェアベースで行うもの。昨今のマルウェアは、バッファオーバーフロー攻撃を使って「正規のプログラム実行領域」で実行されてしまうものが主流で、広く普及しているセキュリティ技術である「データ実行防止」機能では防ぎにくいが、こうした攻撃そのものをハードウェアで検出し、防いでしまう技術だ。

 このように、vPro搭載のFVシリーズはOS内外の脅威に対するあらゆる側面からの保護が可能になっており、ビジネスユーザーや企業が求める隙のない安全性を備えた1台なのだ。


vPro搭載FVシリーズはIT管理者の業務効率化も実現

 一方、「IT管理者による遠隔操作しやすさ」という点では、インテル vPro プラットフォームの持つインテル AMTとインテル EMAが大きな役割を担う。

 全社的に在宅勤務が続いている企業、あるいは全国各地に支社を持つ企業は、従業員が使うPCを効率的に管理する必要性に迫られていることだろう。システム担当者が一人一人の自宅や支社に出向いて、日々のセキュリティアップデートやトラブルに対応するのは現実的ではないからだ。

 そのためにはリモートから管理する手段を検討しなければならないが、OS上で動作するリモート管理ツールでは、PCの電源が切れている場合に対処できない。自由度の高いテレワーク下ではIT管理者の目が届かないため、ユーザー個々人のPCの電源状態を把握するのがなおさら難しくなってきている。

 そこで有効なのがインテル AMTだ。インテル AMTを利用可能なPCでは、その電源がたとえオフになっていても、遠隔から電源を入れて起動し、業務遂行に必要なBIOS(UEFI)の設定を変更したり、Windows上で発生したエラーを修復したりすることができる。就寝時間帯にWindows Updateなどのパッチ適用を全社員分まとめて実行する、といったような一括制御も行える。

 さらに、無償で提供されている遠隔管理ツール「インテル エンドポイント・マネジメント・アシスタント(インテル EMA)」を合わせて活用すれば、クラウド経由でのリモート管理も可能だ。ファイアウォールで隔てられた企業内ネットワークにつながっているFVシリーズも、ユーザーの自宅にあるFVシリーズも、インターネットにつながってさえいれば制御できる。企業のIT管理者にとって、PCの遠隔操作を可能にするインテル AMTとインテル EMAは、テレワーク時代の命綱とも言える機能かもしれない。

 FVシリーズではこうしたインテル vPro プラットフォームが持つ管理機能以外に、ユーザーのリテラシーや企業規模に関わらず手軽に導入できる「TRUST DELETE Biz」というオプションサービスも利用できる。TRUST DELETE Bizは、PCを紛失した、あるいは盗難された場合などにデータを遠隔から消去したり、PCをロックしたりできるサービスになるが、さらにLTE/5G機能を搭載するモデルを対象とした「TRUST DELETE Biz Plus」では、紛失したPCの電源がオフの状態であったとしてもリモートでデータを消去することができる。

 さらにTRUST DELETE Biz Plusでは24時間対応のコールセンターも用意。外出先でPCを紛失した場合などでも、電話一本でデータの消去やロックが可能となる。FVシリーズのおおよその現在地を確認することもできるため、紛失場所を特定し、データを消去したうえで、後から安全に取り戻して再び業務に使えるようにする、ということも不可能ではない。

 インテル vPro プラットフォームの高度なセキュリティ・管理機能とともに、こうした独自のサービスも組み合わせることで、いずれ外出することが再び増えたとしても、FVシリーズなら安心してビジネス利用ができるのだ。


レッツノートのこだわりとvProで、これからの時代にマッチする業務環境に

 ビジネス向けのノートPCは年々進化し、高性能なモデルが各社から登場している。ただ冒頭で述べたように、インテル vPro プラットフォームを搭載したうえで、かつそのPCが想定するユーザーや用途にマッチするようにソフトウェア・ハードウェアがチューニングされているかどうかによって、ビジネスの現場で本当に役立つPCになるかどうかも決まってくる。

 その意味で、佐藤氏の「レッツノートは一貫して外に持ち出すことを想定し、モバイルPCに特化した商品開発をしてきました。小型であっても妥協しない高性能、どこにいても安心して使える信頼性とモビリティ性能、落下・振動・コネクター抜き差しといった過剰とも言える耐久性試験がその表れです」という言葉には説得力がある。物づくりに対するパナソニックの強いこだわりも感じられるのではないだろうか。

 そうしたレッツノートが備える妥協しない性能や信頼性、耐久性は、「ユーザーが使うPCも、サーバーと同じで止まってはいけない。ビジネスを止めてはいけない。そのために何が必要なのか、セキュリティや運用管理において何が求められるのか」を追求しているというインテル vPro プラットフォームのコンセプトに、まさしく符合している。

 「2021年に25周年を迎えるレッツノートは、これまでも、これからも、モバイルワーカーのみなさんがいきいきと働く社会の実現をミッションとしています」と佐藤氏。「ビジネスを止めないのは当たり前。そのうえで、テレワーク、オフィスワーク、ハイブリッドな働き方のいずれにおいても、ユーザーのみなさんがよりクリエイティブに、より高い生産性を達成できるように、vPro搭載のレッツノートを通じて最高のパフォーマンスを発揮するサポートができれば」と語った。