みんなの在宅ワーク
第25回:ミューズ・プレス 細谷滝音の在宅ワークスタイル
リモート前提で起業した出版社は「共有」と「学習コスト」を重要視
2020年9月16日 07:00
こんにちは、合同会社ミューズ・プレスという楽譜の出版社をやっている細谷滝音(@takioh)といいます。
楽譜の出版社と言われて業務内容がぴんと来ない方に簡単にビジネス内容を説明すると、「薄い本」を企画・製作・販売する会社、ビジネスパーソン向けに言うなら、高付加価値の書籍出版ということになるでしょうか。
当社は会社設立時からリモートワーク前提でした。というのも、一緒に創業した人物は2018年当時、まだベルギーの音大に留学中だったからです。知り合ったのもTwitter上で、実際に顔を合わせたのは創業後でした。
この共同創業者は現在、東京在住で昼は別の仕事をしており、私は神奈川県在住で普段は顔を合わせず仕事しています。今はもう1人スタッフがいますが、彼もオランダのアムステルダムに在住で、普段、3人が顔を合わせて仕事をすることはありません。
リモートワークの鍵は、機材よりも「情報とデータの共有」
リモートワークというと皆さんはマシンなどの機材環境に興味が行きがちですが、物理的に会えない距離にいることが前提になると、最も大事なのは情報やデータの共有手段です。
リモートワークのツールは「学習コストの少なさ」が鍵
各種ファイル、スケジュールやタスクの管理、支払い、経費。こういったものを共有するためにどのようなツールを使うのか。きっと、リモートワーク推進を会社で担当される方はこの辺りが悩むところだと思います。
私が方針としたのは、できるだけ学習コストを少なくするということです。
かつてIT企業のプロマネ時代に、デバッグの進捗管理でRedmineというツールを使ったことがありましたが、プログラマーたちは使い方を覚える手間を厭って使用が滞り、管理をExcelにしたら順調に更新するようになった経験がありました。社内で使えない人がいるツールを導入すると、その人だけ情報共有が滞るということがあることをそのときに実感しました。
当社で使用しているツールを具体的に紹介すると、会議や連絡はFacebookメッセンジャー中心(たまにビデオチャット使用)。Slackも使っていましたが、外部スタッフを招くことがあり、また、雑談がブレストに発展することもあるため、Facebookメッセンジャーに戻ってしまいました。
ファイル共有はDropboxを使用しています。Cloudberry+AWS(S3)などの方法も考えたのですが、日本語ファイル対応が微妙なのでいまだにDropboxです。スケジュールやタスク管理にはTrelloを使っていますが、議事録などのナレッジ共有が疎かになってしまうことから、他の者からの提案でNotionを導入し始めました。
当社は人数が少ないため、柔軟に新しいツールを導入・変更することができますが、人数が増えるとそう簡単にはいきません。また、セキュリティやさまざまな業務上の都合から、使えないツールもあるでしょう。
こうした前提を勘案しつつも、できるだけユーザーのリテラシーに合わせてツールの選定することが、リモートワークでの効率を高めるのに重要ではないでしょうか。
細谷滝音の在宅ワーク環境
- メインPC:MacBook Pro(Retina Mid 2014 17インチ)、Dell OptiPlex 3050、Microsoft Surface Pro 3
- ディスプレイ:1画面
- キーボード:MacBook Pro、Kinesis Advantage Pro Contoured USB Keyboard
- マウス/トラックボール/トラックパッド:Apple Magic Mouse 2、MSI Clutch GM50
- カメラ:MacBook Pro内蔵カメラ
- マイク/ヘッドフォン/スピーカー:MacBook Pro内蔵マイク
- ビデオ会議サービス:Facebookメッセンジャー、時々Zoom
- 机:ニトリのダイニングテーブル
- 椅子:Skyeゲーミングチェア(貰い物)
- その他小物:MicroKorg XL(楽譜入力用)、Apogee Duet 2+Genelec 1029A(音楽視聴用)、Kindle Fire HD(プログラミング書籍閲覧用)
細谷 滝音
合同会社ミューズ・プレス代表社員、フリーランスプログラマー、翻訳(英・仏)。IT系出版社、音楽系出版社で月刊誌編集記者を担当したのち、IT企業でプロマネを経験。2018年に会社を創業。