イベントレポート

CEATEC 2024

TDK、人間の脳のシナプスを真似たアナログ素子「スピンメモリスタ」でAIデバイスの消費電力1/100を実現

スピンメモリスタをDIPに実装されたところ。パッケージには6素子が入っている
TDKのブース

 10月15日~18日に幕張メッセで「CEATEC 2024」が開催中。AIがテーマのひとつなる今回、TDKはスピントロニクス技術を使い、AIデバイスの消費電力を100分の1にするという「スピンメモリスタ」を展示した。

 TDKのスピンメモリスタとは、人間の脳のシナプスを電気的に真似たアナログメモリ素子のこと。人間の脳はおよそ20Wで動作し、現在のデジタルAI計算の1万分の1の電力でより複雑な判断ができるとされている。スピンメモリスタを使って実現する人間の脳を模倣したニューロモーフィックデバイスでは、従来のデバイスよりも100倍以上の省エネ化が期待できるという。

 展示されたデモ機では、オーケストラ、人間の話し声、聴衆の3つが合成された音声から、必要なものだけを取り出すという処理を行った。選んだところから必要な音声だけがスピーカーから出力されることを体験することができた。

スピンメモリスタを内部に4個搭載したデモ機
デモ機では、オーケストラ、人間の話し声、聴衆の3つが合成された音声から、必要なものだけを取り出すという処理を実施

 また、今回のデバイスは製造時に使う12インチのウエハを展示、大量生産を視野に入れた開発していることも明らかにされた。

ニューロモーフィックデバイスの説明、特徴などが記されている
12インチウエハも合わせて展示している
デモ機から動作説明と動作した際の音声などが確認できる

 TDKでは、このほかにもQDレーザと共同開発した直接網膜投影方式のVRグラスをなどを展示、直接網膜投影方式はARに有効で、実際の景色を見て、眼球の焦点が後方に合っていながら、眼球のピントの位置にかかわらずはっきり見えることを実際に体験できる。

直接網膜投影方式のVRゴーグルを展示、眼球の移動に追随して、視野の欠けを抑えるヘッドトラッキング機能を備えた
こちらは指にリングをはめ、モーションでPCに指示を出すデバイス