イベントレポート
CEATEC 2024
「自分のバスケはトップ選手とどう違う?」動きを比較する体験型デモ、富士通が実施
AIを活用、能楽やヨガでも
2024年10月18日 15:55
富士通は、CEATEC 2024に、「人とAIのコラボレーションによる価値創造」をテーマに出展。富士通ブースを「Vision AI Park」と位置づけながら、メッセージとして、「AIは“わたしたちのバディ”となる」を打ち出し、「スポーツ」、「ヘルスケア」、「カルチャー」の3つの観点から、AIを活用した体験型デモストレーションを行った。
バスケをAIで可視化「パフォーマンスの向上を」
ひとつめの「スポーツ」では、バスケットボールのシュートフォームをAIで可視化することによって、パフォーマンスの向上を提案する体験型デモストレーションを行った。
ここでのテーマは、「パフォーマンス向上のロジックをAIとデータで導く」とし、ブース内にバスケットゴールを設置。来場者は、実際にボールを投げて、シュートするフォームを4台のカメラでセンシング。Wリーグ所属の富士通レッドウェーブの協力を得て、同チームのトップ選手のシュートフォームの動きを比較するとともに、選手のデータをもとにしたアドバイスを受けた後に、再度シュートを行い、AIで解析した前後のシュートフォームの変化を体感することができる。
ピラティスやヨガの動きをAIで解析、運動指導に活用
2つめの「ヘルスケア」では、ピラティスやヨガの動きであるロールダウンをAIで解析。背骨の可動域や、動きの速度などをスコア化し、専門のインストラクターによる改善に向けた運動指導を提案する。
ここでは、「ウェルビーイングをAIとデータで高める」を掲げ、日本全国で140店舗を運営するピラティススタジオのzen placeが提供するアプリケーションを活用。同アプリケーションには、富士通のHuman Motion Analyticsを活用している。ロールダウンは、体の変化やバランスをチェックするための指標になると言われており、俊敏で、多様な動きを、高精度に認識できる学習モデルによって分析を行っているという。
1台のカメラだけで、マーカーレスによる動きの解析ができるため、機材準備の手間がかからないこと、幅広いシーンに利用しやすいといったメリットも訴求した。
能楽の動きや舞をAIで可視化、能楽師の動きと比べられる体験型デモ
3つめの「カルチャー」では、「伝統技術をAIとデータで継承する」をテーマに、伝統芸能である能楽の動きを、AIで可視化する体験型デモストレーションとした。
公益社団法人能楽協会の監修により、能楽師の観世喜正氏の所作や舞をデータ化。能楽師の動きと比較する体験のほか、能楽の繊細な表現や技術に関する指導を行っていた。
今回の体験型デモストレーションに共通しているのは、富士通が開発した人の動きをデジタル化するデータ解析プラットフォーム「Human Motion Analytics」を用いている点だ。
Human Motion Analyticsは、7つの領域で体系化した富士通のAIサービス「Fujitsu Kozuchi」のひとつに位置づけられ、同プラットフォームを活用した事例として、体操競技や新体操などの競技を統括する国際団体である国際体操連盟と富士通が共同開発したJudging Support Systemがある。
Judging Support Systemは、体操競技において、競技者の動作をセンシングし、数値データとして分析することでAIが技を自動判定。体操の高速で複雑な動きを精緻に捉えた分析結果をもとに、同一基準による正確な判定を支援することができる。2019年の国際大会から公式採用しており、採点競技にAIが使用されるのは世界初の取り組みとなっている。
複雑な動きであっても推定誤差を大幅に低減する独自のアルゴリズムにより、高精度な解析を実現。この知見を活かして、富士通では、スポーツやエンターテインメント、ヘルスケア、小売、製造などの分野においても、リアルな人の動きに基づいた新たな付加価値の創出を目指すという。
今後、AIを中心としたテクノロジーによるイノベーションを促進することで、経済の発展とウェルビーイングの向上に貢献する考えを示している。