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米国では「ネットワーク中立性」規則が撤廃――その影響は?

 米国ではいわゆるネットワーク中立性(network neutrality)規制の撤廃が決まった。2000年代前半にも大いに論議され、一定の結論を得ていたものだが、ここにきて撤廃が決まったことから、再び議論となっている。インターネット企業から非難の声があがる一方、通信事業者からは歓迎の声が上がっているとも報じられている。

 ネットワーク中立性を簡単にいうなら、インターネットサービスプロバイダー(ISP)が、自社の設備を流れるトラフィックの扱いをアプリケーション、コンテンツ、プロトコル、事業者などの別によって変えることを禁じ、どれも平等に扱わなければならないというルールである。例えば、4Kや8Kの動画など、大量のトラフィックを流す事業者の帯域を絞ったり、自社のサービスと競合する事業者のサービスのトラフィックをブロックしたりしてはならないということだ。ユーザーはどのISPを選択しても、地域ごとにパフォーマンスが多少異なるにしろ、同じコンテンツにアクセスできるのはこうした考え方による。しかし、インターネットの構造上、自分の顧客でないコンテンツプロバイダーが用意した動画コンテンツを自社(ISP)の多くの顧客が閲覧をしようとすると、必然的に大量のトラフィックが発生し、それを中継するISPの設備は有限であることから逼迫する。しかし、それは設備投資を増強できるだけの利益にはつながらないという事業継続性なども論点である。

 今後、インターネットのキラーコンテンツは動画になることは間違いなく、従来の電波による放送やケーブルテレビによる配信に置き換わる可能性もある。一方で、デジタル化されたさまざまなコンテンツのリッチ化の要求も高く、これからのネットワークインフラ事業モデルへの影響は少なくないだろう。

ニュースソース

  • FCC、「ネット中立性」規則の撤廃決定[CNET Japan
  • ネット中立性撤廃に反対する公開書簡をテクノロジ分野の先駆者らが投稿[CNET Japan
  • 通信会社とテクノロジー企業たちが、FCCによるネット中立性破棄の投票結果に対して語っていること[TechCrunch日本版