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ニュースキュレーション

いま知っておくべき5つのニュース[2019/3/31~2019/4/5]

1.「au Pay」と「7pay」の登場でさらに混迷を極めるスマホ決済市場

 KDDIはスマホ決済「au PAY」を4月9日に開始した。利用できるのはいまのところauユーザーのみだが、今夏には「au ID」のオープン化とともに、au以外のユーザーも利用できるようになる見込みだ。大手としては後発のイメージがあるが、すでにau Walletというクレジットカード型とプリペイド型の決済サービスを展開していて、口座へチャージされている資金は「au WALLETの残高とポイントであわせて、すでに1000億円という規模」であることが強みであるという。確かに、既存のユーザーにとってはセットアップのハードルは低く、よく利用する店舗で利用できるのならまったくの新しいサービスよりも簡単だ。

 また、セブン&アイも独自コード決済サービス「7pay」を今夏にはサービス開始すると発表した。注目点は、昨今のコンビニ店舗における過重労働問題をうけ、営業時間の変更のみならず、さまざまな施策による効率化も検討されているようだが、スマホ決済はそのひとつになりえるかだ。こうした新たなサービスに対応するために、新たな設備投資や従業員教育、顧客対応のためにレジでの回転が落ちるようでは逆効果になることも懸念される。

 そして、QRコードの標準化動向にも動きがある。産官学によるキャッシュレス推進協議会がQRコード決済の統一規格「JPQR」を発表した。消費税増税と時期をあわせたキャッシュレス化によるポイント還元制度の実施に向け、産業動向はもちろんのこと、消費者や店舗運営者がそれに適応できるかどうかが気になるところである。

ニュースソース

  • スマホ決済「au PAY」4月9日開始[ケータイWatch
  • セブン&アイ、独自コード決済サービス「7pay」を7月に開始[ケータイWatch
  • QRコード決済の統一規格「JPQR」発表 店側の負担減[ITmedia

2. どちらが世界初か? 米国と韓国で5Gがサービス開始

 いよいよ5Gのサービスが各国で開始されはじめた。4月3日には韓国のSKテレコム、KT、LGU+という大手通信会社3社がサービスを開始すると伝えられている。当初、4月5日とされていたようだが、米国でのサービスインよりも早いこのタイミングに再設定された。標準的な通信料金は「1か月あたり日本円でおよそ5400円から12,700円の間」とされている。

 米国でも3日に大手通信会社ベライゾン・コミュニケーションズが中西部のイリノイ州シカゴとミネソタ州ミネアポリスの2つの都市において、5Gのサービスを開始した。

 今後の情報通信基盤として注目されているインフラを世界でどちらが先にサービスインしたかという点でアピール合戦となっているが、問題は5Gの特性を活かし、どのような応用事例を作り出すかということだろう。いまできている通話や各種のメッセージサービスやウェブ利用だけではないイノベーション力が問われそう。

 ちなみに、日本ではさきごろ電波割り当てが行われ、今夏にも一部の地域でのサービスが開始されるといわれている。さまざまな実証実験は進んでいるようであり、応用分野での国際競争力が示せるかというところが注目点となる。

ニュースソース

  • 韓国 5Gサービスが本格的にスタート[NHK
  • 米通信大手 「世界初」5Gサービス開始[NHK

3. 人工衛星によるインターネットインフラが加速

 米国アマゾンドットコム社はインターネット接続サービスを提供するために3236機の人工衛星を打ち上げるプロジェクト「Project Kuiper」を立ち上げたことが報じられている。また、ソフトバンク社が出資したことで話題となった米国ワンウェブ社は計900機の人工衛星を高度約1100kmの地球低軌道に打ち上げる計画だとしていて、すでに最初の6機が打ちあげらている

 これらは地上を経由したインターネットインフラのパフォーマンスを超えることが目的ではなく、地理的、地政学的な理由により、地球上でインターネットへの接続性が確保できない地域をなくすという意味において、インフラ敷設するうえでのつぎのフェーズへと入ったといえそうだ。

ニュースソース

  • アマゾン、3000基超の衛星によるブロードバンド提供目指す「Project Kuiper」を計画[CNET Japan

4. 電子出版ビジネスの曲がり角

 2010年ごろから、iPadなどのタブレット機、キンドルなどのeリーダーの登場とともに、電子書籍のサービスが活気づいた。大手IT企業はもとより、ベンチャー企業も多く参入してきた。しかし、国際的にはテキスト型コンテンツの分野ではアマゾンによる寡占が進むとともに、日本ではアマゾンが得意としなかったコミックの分野でいくつかのベンチャー企業が新サービスを提供して大きな成長を続けている。そのようななか、電子書籍を制作・販売できる「パブー」のサービス終了が発表された。また、米国マイクロソフト社では、Microsoft Storeにおける電子書籍の扱いがなくなり、購入書籍の代金が返金されると発表された。市況からすると、こうした事業撤退はいたしかたないことなのかもしれないが、ユーザーとしては新サービスを選択する際の「事業継続性」という観点での見極めも需要になりつつある。

 一方、アップル社はさきごろ電子雑誌や新聞を扱う「Apple News+」を開始し、最初の48時間で20万人以上が登録した模様だ。アップル社はハードウェアメーカーから、コンテンツやサービスのプロバイダーへの転換を模索しているとされるが、ダウンロード型のiTunes Music Store以降、ストリーミング配信や電子書籍などのコンテンツビジネスでの大きな成功は見られないことから、今回のサービスの成否は将来を占うポイントといえよう。

 また、現地メディアではウェブパブリッシングプラットフォームであるMediumがプリント版書籍を発行するとも伝えられている。デジタル指向の人からすれば時代を逆行するかのようにも見えるが、ある価値を提供するためにはプリント版という特別な形態をも利用しようという模索のひとつともいえそうだ。実は、実態のあるものの価値が再発見されているのかもしれない。

ニュースソース

  • 「パブー」終了 9年の歴史に幕 ユーザーが電子書籍を作成・販売できるサイト[ITmedia
  • Microsoft Storeから電子書籍が削除。購入書籍は全額返金[PC Watch
  • Mediumが印刷版書籍でアナログに進出[PublishersWeekly
  • 「Apple News+」、最初の48時間で20万人以上が登録か[CNET Japan

5. 来週の注目点[2019/4/15~19]

※展示会の会期・場所については、変更される場合もありますので、必ず主催社ページでご確認をください。

  • 4月17日~19日:第5回国際ドローン展<幕張メッセ>
    「国際ドローン展」は、物流・輸送、警備・監視、巡視・点検、災害対応、計測・観測、農林水産など多岐にわたる産業分野におけるドローン(無人航空機)の利用に焦点を当て、ドローン本体、構成技術、産業応用事例までを一堂に紹介するショー&カンファレンスです。

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