ニュース

Cerevo、既存の自転車をIoT化するセンサーデバイス「RIDE-1」発売、走行・姿勢データを可視化・共有

「RIDE-1」

 株式会社Cerevoは15日、自転車に取り付けることで走行データを取得・蓄積し、スマートフォンアプリやクラウドサービス上で可視化できるセンサーデバイス「RIDE-1」を発売した。同社直販サイトでの販売価格は2万4800円(税別)。19日より順次出荷予定。

 GPS、9軸センサー(加速度・角速度・地磁気)、温度センサー、気圧センサー、照度センサーが内蔵されており、自転車の位置情報や速度、加速度、方位、斜度や傾きのデータを取得し、BLE接続したスマートフォンのアプリ上で表示する(当初はiOS版のみ、Android版は追って提供)。RIDE-1が備えるこれら7種類のセンサーのほか、外部センサーとも接続可能。ANT+規格に対応した市販の自転車用スピードセンサーや心拍センサー、ケーデンスセンサーからRIDE-1にデータを読み込める。ANT+規格のスピードセンサーと連携すれば、内蔵GPSよりも精度の高い速度データを取得できるという。さらにパワーセンサーにも後日対応。また、暗くなったことをRIDE-1で検知し、ANT+対応のライトをオンにするといった連携も今後のアップデートで予定している。

 こうした各種車載センサーからの情報を表示するという意味では従来のサイクルコンピューターと同じだが、斜度や傾きといった姿勢のデータも取得できる点が、RIDE-1でまず異なる点だという。Cerevoではロードバイクでの利用がメインなるとみているが、マウンテンバイクやBMXで利用すれば、競技中の空中姿勢など、サイクルコンピューターでは対応していない面白いデータが取得できるのではないかとしている。

 そしてRIDE-1の最大の特徴としては、外部センサーからのデータも含めて、走行データをインターネットでリアルタイムに共有できるようにしていることが挙げられる。RIDE-1とBLE接続したスマートフォンから、さらにモバイル回線経由で、Cerevoが用意している専用クラウドサービスに走行データをアップロードし、遠隔からでもウェブブラウザー上でリアルタイムに閲覧・共有できるようになっている。

 こうしたライブテレメトリ機能により、「走行中の位置を家族や知人に伝えるという用途だけでなく、伴走するサポートカーや遠く離れたピットから、走行中のライダーの位置、心拍数、パワー値といった身体データを確認するなど、上級者の練習やレースにも活用できる」としている。また、複数台のRIDE-1をグループ登録して、複数のライダーをライブテレメトリで把握する機能も用意。グループでのサイクリング中に、仲間がどの辺りを走っているかをライダー同士で確認することも可能だ。

 なお、RIDE-1の電源ボタン(またはアプリの記録ボタン)を入れてから切るまでが「1走行」として区切られ、ライブテレメトリの画面は、1走行につき1つのスタティックなURLが発行される。このURLをSNSなどで共有することで、簡単に走行データを共有できるとしている。

 RIDE-1は、本体内にメモリも搭載。走行中はスマートフォンを併用せずにRIDE-1単体で使用し、本体内にデータを蓄積しておき、帰宅してからクラウドサービスにまとめてアップロードすることも可能だ。その際は、無線LAN(IEEE 802.11b/g/n)で自宅のルーターなどに直接接続できる。スマートフォンのモバイル回線経由またはRIDE-1本体の無線LAN経由でアップロードした走行データは、Cerevoのクラウドサービスに容量無制限で保存され、過去の走行データも参照可能。今後、データのエクスポートや外部連携も行えるよう、Web APIも提供する予定だ。

 また、現時点でスマートフォンアプリやライブテレメトリで表示されるデータは、各種センサーごとの単純な情報にとどまっているが、将来的には、それらのデータをバックエンドで複合的に解析するような機能も開発していきたいとしている。例えば、道路に段差のある場所や転倒しやすい場所などを割り出してデータベース化し、ユーザーに提供するような活用も考えられるとしている。

 RIDE-1の本体は、IPX5の防水仕様で、大きさが145×32×23mm(幅×奥行×高さ)、重さが約75g。内蔵バッテリーで約15時間動作する。充電時間は約3時間で、充電・給電はMicro USB経由。

 自転車への装着は、付属の専用ステーをダウンチューブのボトルケージ用の台座に固定する仕組み。付属ステーでは形状が合わず搭載できない車両や、ボトルケージ用の台座のない車両に取り付けるための独自ステーも製作できるよう、RIDE-1本体および専用ステーの形状の3D CADデータをオープンソースライセンスで公開する予定だ。

9軸センサーは、InvenSense社製のモジュールを採用。GPSも標準体なモジュールを採用しているが、単体ではどうしてもスマートフォンのGPSよりは性能は落ちるという。スマートフォン側のGPSを使う方法をとらなかったのは、「RIDE-1」の単体使用でもログを取得・蓄積できるようにするため

 RIDE-1は、Cerevoが展開するスポーツ領域のブランド「XON」の新たなラインアップとして投入したもの。同ブランドではすでに、スノーボードの荷重やしなりなどのデータをスマートフォンで可視化するセンサー搭載バインディング「SNOW-1」を製品化している。同社代表取締役の岩佐琢磨氏は、自転車やスノーボードだけでなく、あらゆるスポーツにおいてこれまで収集されてこなかったさまざまなデータを残せるようにする製品を開発・提供することで、スキルアップに活用したり、思い出にできるような世界を作りたいとしている。

株式会社Cerevo代表取締役の岩佐琢磨氏