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Synology、NAS用OS「DSM」やアプリの新機能をアピール
NASキット3製品「DS218j」「DS218play」「DS118」を27日に発売
2017年10月25日 15:03
Synologyは、3回目を迎える自社イベント「Synology 2018 Tokyo」を10月25日にベルサール六本木(東京都港区)で開催するのに先立ち、プレス向けの説明会を開催した。SynologyのMike Chen氏(セールスディレクター)は、法人向け200人、コンシューマー向け200人の400人ずつが参加予定と紹介。Synology 2018は、17カ国で開催されているという。
Chen氏は、2017年初頭にリリースしたNAS用OS「DSM 6.1」について、これまでに368万ダウンロードを記録し、5100万以上のアプリが稼働し、6億9000万アカウントのユーザーに利用されているとの現状を紹介。
この1年間で10モデルを超える新モデルをローンチしたほか、欧州向けに先行提供している法人向けのディザスタリカバリ機能「C2 Beta」は、リリース後3日で1万ユーザー以上の登録を獲得したという。このほか、計9つの新アドオン提供や、ONVIF対応IPカメラの映像をNASに記録・管理可能な「Surveillance Station」アプリの改良点についても紹介された。
なお、Synologyは、台湾企業では初めてCVE採番機関となったことも明らかにされた。5月24日に発見され、「SambaCry」とも呼ばれたSambaにおける脆弱性「CVE-2017-7494」については、対応にIBMが6日、CISCOが54日を要した一方で、同社では24時間で対応を行ったという。
また、10月16日に発表され、米CIRTにより翌17日にセキュリティ勧告が行われたWPA2脆弱性に対しても、18日にはパッチの提供を開始したという。同社内に設置されたPSIRTでは、脆弱性審査を8時間以内行い、必要と判断したときは15時間以内に対応するポリシーに基づいてセキュリティ対応を実施しているという。
一方、日本市場については、この1年間で60%の成長率を記録し、出荷台数はアジアでトップとのことだ。Chen氏によれば、世界市場における同社NAS製品は、高い信頼性を必要とする公的機関、医療機関、金融機関などでも利用されているという。「今後もイノベーションとサービスを通じて競争力を維持し、ユーザー企業のビジネスの成長加速を支援していく」と語った。
NAS用OS「DSM」の新機能
Synologyの田野久敏氏(セールスマネージャー)は、DSMの新機能を紹介した。「Moments」は、従来のPhoto Stationに代わる写真管理アプリで、ニューラルネットワークによる機械学習を活用したものとなる。
同社NAS製品には、「379億枚の写真保存されている」とのことだが、「スマホで数多く写真を撮影しても、探すのが面倒になっている」のがユーザーの現状とした。Momentsでは自動的に被写体の人物や場所、300種類以上のテーマなどを認識し、カテゴリ別にタグ付けする機能を備え、すぐに見たい写真を探し出せるとした。
また、従来は「File Station」「Cloud Station」「Synology Office」の3つのアプリで提供していた機能を集約した「Synology Drive」を新たに提供するという。
Synology Driveでは、ポータルサイトからNASにアクセスでき、Officeファイルをブラウザー上で編集することなども可能だ。また、「DS Cloud」アプリで提供していたファイルのバージョン管理機能なども利用できる。
リンクの送信や共有の通知も行えるほか、さらに「最近取得したファイル」の項目では「MailPlus」アプリで受信したメールの添付ファイル一覧なども表示可能だという。
このほか、株式会社デジオンが開発する「DiXiM」アプリを有償で近日提供することも明らかにされた。DTCP-IPに対応しており、録画番組データをSynology NASに転送して視聴できる。価格は「現状の他社パッケージと同等を見込んでいる」とのことだ。
法人向けのバックアップ/仮想サーバー機能
法人向けの機能としては、オンプレミス、クラウド、仮想サーバーをそれぞれNASにバックアップできる「Active Backup」を紹介。マルチ、ミラー、インクリメンタルと柔軟なバックアップモードを備え、WindowsやLinuxなどプラットフォームの異なる複数台のサーバーのバックアップを一括管理できるという。
さらに、同じと判断したデータをバックアップせずにディスク容量を削減できる「拡張重複排除」の機能も備えるという。
「Active Backup for Office 365/Gsuite」では、複数ユーザーのデータや設定情報をバックアップ可能。万が一、クラウドがダウンしたり、インターネットへのアクセスが遮断された際に、権限があるデータや自分の情報にアクセスできる「セルフリカバリ」の機能を備える。
仮想サーバーのバックアップでは、イメージファイルに格納されたデータをファイルベースで閲覧し、リストアすることが可能。また、物理サーバーのイメージファイルは、「Virtual Machine Manager」アプリにより仮想サーバーとしての起動が可能となっている。
Virtual Machine Managerは、5月よりベータ提供を開始し、9月までの4カ月間で5万ダウンロードを記録している。今後は正式版に移行し、スタンダード版は無償で提供する。有償のビジネス版では、無償版では1の物理CPUスレッドが2、32のスナップショットが256、1のクラスタ最大構成数が7にそれぞれ拡張されるほか、インスタントマイグレーション、ストレージマイグレーション、オフサイトレプリケーション機能が利用可能になるという。
Virtual Machine Managerは4GBメモリを搭載するモデルのみで利用可能となる。SMBなどでVMを5台以上動かしたいときはラックマウント型モデル、30台以上の場合はFSシリーズでの利用が推奨されるという。
プレス向け説明会の会場では、10台の仮想Linux環境を16秒ほどで展開したり、バックグラウンドでビデオを再生したままマイグレーションを行えるデモも実施された。