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中小企業の後継者をネットでマッチング、ビズリーチが事業承継M&Aプラットフォーム始動

 転職サイト「ビズリーチ」を手掛ける株式会社ビズリーチは28日、主に後継者選びに悩む中小企業の事業の存続・発展を支援するマッチングプラットフォーム「ビズリーチ・サクシード」の提供を開始した。

 事業の譲渡を検討する企業や、M&A仲介会社、金融機関などが無料で利用可能。新規会員登録時の審査通過後は、匿名で事業概要を登録して譲渡案件を掲載できる。譲り受け候補企業はサイト上で案件を検索し、譲渡企業と直接連絡を取ることができる。なお、同サービスを介して株式や事業の譲り受けが成約した場合にのみ、譲り受け企業は案件紹介料として譲り受け金額の1.5%をビズリーチに支払う必要がある。

 新サービスの提供にあたり、事業承継の仲介・支援を手掛けるアドバイザリー企業や中小企業支援を手掛ける全国20地域の中小企業支援センターと連携する。アドバイザリー企業や中小企業支援センターは、顧客企業の希望に応じてビズリーチ・サクシードへの案件登録を代行することができる。

「ビズリーチ・サクシード」の案件登録画面
譲り受け企業検索画面
メッセージ画面

後継者不足による“黒字廃業”、放置すればGDP約22兆円損失の恐れ

 ビズリーチによると、日本の中小企業の経営者は2025年に約245万人が引退時期を迎えるという。しかし、現時点で国内企業の約3分の1にあたる127万社が後継者未定の状態にある。

 休廃業・解散件数は年々増加しており、2016年には約3万件と過去最高を記録。その半数以上を黒字企業が占めるなど、経営が順調でも後継者不足により廃業に追い込まれる“黒字廃業”が深刻化している。経済産業省の試算によれば、黒字廃業を放置することで2025年までには累計約22兆円の国内総生産(GDP)と約650万人の雇用が失われる恐れがあるそうだ。

休廃業の企業数

 事業承継のタイプとしては、主に「親族や従業員への承継」「外部人材の採用」「他企業への事業承継(事業承継M&A)」があり、近年は親族・従業員よりも第三者への事業承継が行われるケースが増えてきているという。しかし、大企業に比べると中小企業のM&Aには民間の事業承継支援が届いておらず、サービス拠点も大都市圏に集中しているのが現状だそうだ。そこで中小企業や地方都市での後継者問題を解決するための事業承継M&Aプラットフォームとして、ビズリーチ・サクシードを立ち上げた。

 ビズリーチは同社が2009年4月にリリースした転職サイト「ビズリーチ」において、採用領域におけるビジネスモデルの構築とインターネットサービスを展開し、7200社以上の企業と取引を行ってきた実績がある。ここで得た知見を事業承継M&A領域に生かし、企業、仲介会社、自治体などと連携することで、事業承継市場の活性化を目指すとしている。

 9月から運営しているテスト版では全国の事業承継M&A案件が、約2カ月で500件以上登録され、譲り受け企業に関しては50社の登録があったそうだ。ビズリーチ代表取締役の南壮一郎氏は、「日本M&Aセンターは昨年度、約500件のM&A仲介をオフラインで行ってきた。ビズリーチ・サクシードではオンラインで同じ数を5年後には達成できるようになりたい」と展望を語った。

株式会社ビズリーチ代表取締役の南壮一郎氏