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国内企業の非IT部門、コスト削減を目的とした“守りのIT投資”が依然として多く
2018年1月15日 19:19
一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)は15日、国内の民間企業におけるIT経営に関する調査結果を発表した。調査対象はマネージャー以上の役職に就く経営者または事業部門、営業部門の333人。同調査では非IT部門でのIT投資の重点分野などについてまとめている。IDC Japan株式会社と共同で実施したもの。
IT投資への重要性について「極めて重要」と回答したのは全体の26%で、前回調査(2013年)の16%に増加した。しかし、2013年時点の米国の75%と比較すると依然として差は開いている。
このほか、研究開発投資については12.8%増加するなど技術分野への意識も高まっていることが分かった。
IT予算が「増加傾向」だと回答したのは52%。予算が増えた理由としては、「業務効率化/コスト削減」(32.8%)が最多となったが、前回の48.2%から大きく減少。代わりに「新たな技術/製品/サービス利用」が前回の1.2%から27.6%へ増加、「ITを活用したビジネスモデル変革」が12.9%から21.3%へ増加するなど、米国に近い傾向が見られた。
なお、新規技術の導入状況としては、クラウドやビッグデータの利用率が高まっており、同技術の知名度も上がってきている。
一方、IT活用による改善効果については前回調査との差はあまり見られず、期待ほどの実態が伴っていない可能性が見られた。しかし、ITに今後期待する効果として「新規製品/サービスの開発」(27.3%)、「製品/サービス提供迅速化/効率化」(25.8%)が増加傾向にあった。
なお、デジタルトランスフォーメーションを実施/検討している業務プロセスは、主にマーケティング(32.6%)や市場分析(30.4%)が多く挙げられており、主に市場系の業務での適用が多いことが分かった。
国際競争力を高める上で問われるIT投資の用途
前回調査から4年を経て、日本は「“守りのIT投資”から“攻めのIT投資”に移り変わっている」とJEITAの東純一氏(ソリューションサービス事業委員会委員長)は述べる。しかし、IT活用による製品/サービス開発よりも、業務効率化やコスト削減を目的とした“守りのIT投資”が依然として多いことを指摘する。同氏は私見と前置きした上で、「米国企業を追いかけることが良いとは限らないが、ITを使って戦わなければ国際競走力を維持することは厳しい」と語った。
JEITAでは、IT活用により世の中を便利にする「Society 5.0(超スマート社会の実現)」の具現化に向け、「日本のIT部門のみならず非IT部門に対しても情報提供しながら生産性向上に寄与する活動を続けていきたい」と述べた。