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CPS/IoT市場規模は2030年に404兆円、2016年から約2倍に成長

 一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)は19日、CPS/IoT(Cyber Physical System/Internet of Things)市場調査の結果を公表した。CPS/IoTは、JEITAが推進する「超スマート社会の実現(Society 5.0)」に向けた概念となるもの。今回の調査では利活用分野別の世界需要額と中長期展望を、国内外の関連企業・団体へのヒアリングをもとに定量的に推計した。

 CPS/IoTの市場規模は、2016年に世界で194.0兆円、日本で11.1兆円に上ったが、2030年には世界で404.4兆円、日本で19.7兆円とそれぞれ約2倍に成長することが見込まれている。市場拡大の背景としては、社会課題の解決に向け、ネットワークに繋がる機器とソリューションサービスの拡大があり、各種機器のIoT化率が8割を超える見込みであることを挙げる。

 なお、日本市場における利活用分野別では、「家庭・個人」の市場規模が最も大きくなると予想されている。また、成長率が著しい分野は「農業」で年平均20.2%の伸び率となり、「医療・介護」(10.9%)、「流通・物流」(10.4%)が続く。市場規模は「流通・物流」が2.4兆円、「医療・介護」が1.3兆円に達すると予測されるが、これは就労人口の減少による人手不足や少子高齢化などの社会問題に対して、CPS/IoTによる生産性向上や、働き方改革が求められていることにある。

Society 5.0の実現に向けた環境整備

 Society 5.0の実現には、規制・制度改革や税制改正、CPS/IoTの社会実装に必要なデータ利活用のルール作りやセキュリティの確保などの事業環境整備が必要になる。IoT関連投資を促す税制措置が2018年度与党税制改正大綱に盛り込まれたことについて、JEITA会長の長榮周作氏は「激しい国際競走の中にある当業界において、新たなイノベーションや国際社会でリーダーシップを取るための事業環境の整備が重要。今後は、Society 5.0に向けてデータの先進的な利活用を通じて、物流サービス、建設、農業などあらゆる分野の付加価値、生産性向上に対し、IT・エレクトロニクス産業が貢献していきたい」と語った。

JEITA会長の長榮周作氏

 TPP11(米国を除く環太平洋経済連携協定)の電子商取引章では、国境を超える情報移転の自由の確保などが盛り込まれ、日本・EU経済連携協定は大枠合意に至った。「(日本・EU経済連携協定は)4年あまりにわたる日本政府の粘り強い交渉を経て合意に達した。これは、自由貿易の推進のメッセージを世界に向けて発信するもの。引き続き、米国や欧州など世界の産業界や政府と連携して日本企業の国際競争力向上に資する事業環境整備に取り組む」とした。

 このほか、Society 5.0に向けたJEITAの活動としては、2016年に家電見本市からCPS/IoTの総合展示会に舵を切った「CEATEC JAPAN」の変革を強調した。10月に開催された「CEATEC JAPAN 2017」は、667の企業・団体が出展し、来場者数は前年比5%増となる15万2000人に。1日あたりの来場者数平均は2008年以来9年ぶりに3万8000人を超えるなど、「幅広い業種・産業が集う総合展示会に生まれ変わった」とした。「CEATEC JAPAN 2018」(2018年10月16日~19日)の実施も決定しており、2月より出展者を募集するとしている。