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「CEATEC JAPAN 2018」の開催概要発表、超スマート社会「Society 5.0」実現のための“共創の場”

 CEATEC JAPAN実施協議会は、10月16日~19日に幕張メッセで開催される「CEATEC JAPAN 2018 ―CPS/IoT Exhibition―」の開催概要について説明会を開き、2月20日から出展受付を開始することを発表した。

 説明会の会場には約200人が参加。CEATEC JAPAN 2018の開催基本計画を説明したほか、経済産業省や総務省、主催者団体である一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)の代表者が、CEATEC JAPAN 2018への期待を述べた。さらに、CEATEC JAPANの主催者企画「IoTタウン」に2年に渡って出展したJTBによる共創事例も紹介された。説明会の最中に、参加者からスマートフォンを通じて質問を募集し、後日、メールで回答する仕組みとした。また、閉会後には、出展希望者からの個別相談も受け付けた。

エリア構成を分かりやすく整理
4つの技術分野と、6つの産業/マーケットに

 19回目となるCEATEC JAPANの今年の開催テーマは、「つながる社会、共創する未来(Connecting Society, Co-Creating the Future)」。「CEATECは2016年から、家電見本市の枠を超え、CPS/IoTの革新技術が集結する総合展示会へと舵を切った。2018年は、超スマート社会を実現するSociety 5.0に向けて、日本の成長戦略や未来を世界に向けて発信することになる」(CEATEC JAPAN運営事務局長の菊嶋隆史氏)という。CEATEC JAPANは、例年は10月第1週に開催していたが、これを10月中旬に移行するのも新たな取り組みとなる。

 「電子部品/デバイス&装置」「AI(人工知能)/ビッグデータ」「5G」「サイバーセキュリティ」の4つを注目のテクノロジーに、「モビリティ/ロジスティクス」「スマートファクトリー」「スマートワーク」「エネルギー/スマートライフ」「フィットネス/ヘルスケア」「エンターテインメント」の6つを、注目されるインダストリーおよびマーケットとして新たに設定。「CPS/IoTを活用するエレクトロニクス、モビリティ、ロジスティクス、工作機械、住宅、インテリア、ヘルスケア、エネルギー、玩具など、様々な産業・業種におけるフロントランナー企業の出展を幅広く募集したい」としている。

 また、「昨年は、社会・街エリア、家・ライフスタイルエリア、デバイス・ソフトウェアエリア、特別テーマの4つに展示カテゴリーを分類していたが、今年はトータルソリーションというカテゴリーを設けたほか、デバイス、テクノロジーを軸とする出展区分、インダストリー/マーケットを軸とする出展区分、そして、特別テーマエリアに分類し、来場者が目的の展示によりたどり着きやすいようにする」とした。

 主催者企画としては、ユーザー企業がサービスを紹介する「IoTタウン」、設立9年以下のベンチャー企業が出展する「スタートアップ&ユニバーシティエリア」、海外諸機関による「グローバルエリア」を予定。「IoTタウン」では、金融、農業、建設・土木、製造、都市インフラ、スマートライフ、働き方、観光、医療・介護、物流・流通といった幅広い業界からの出展を見込んでいるという。なお、各種企画やコンファレンスの詳細が決定次第、発表するという。

 CEATEC JAPAN実行委員会・委員長の山口治氏(=三菱電機)は、「CEATEC JAPAN 2018は、引き続きCPS/IoT Exhibitionとし、共創を重要なキーワードとする。そして、『未来への“種”を披露・発信、未来への“糧”を得る展示会』にしていく」とした。

CEATEC JAPAN実行委員会・委員長の山口治氏(=三菱電機)
一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)専務理事の長尾尚人氏

 中長期的なビジョン、技術、製品、ソリューションなどのプロトタイプを“種”、あらゆる産業や業種の来場者、ユーザー企業からのフィードバック、ビジネスマッチング、将来のための人材発掘、ファンディング、アライアンスなどを“糧”とし、「直近のビジネス拡大のみをメインとする場ではなく、未来に向けた企業価値向上につながる場を目指し、未来への種を蒔き、新産業を育てていく場にする」と述べた。

 主催者であるCEATEC JAPAN実施協議会は、一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)、一般社団法人情報通信ネットワーク産業協会(CIAJ)、一般社団法人コンピュータソフトウェア協会(CSAJ)の3団体で構成されるが、3団体を代表してあいさつしたJEITA専務理事の長尾尚人氏は、「ここ数年のCEATECは新規出展企業が増加しており、2017年は出展者の半分が新規出展となった。CPS/IoTの総合展示会に舵を切った2016年はVer.0.1、2017年はVer.1.0、そして2018年のCEATECはVer.2.0を目指すことになる。従来の展示会は大量生産・大量販売のモノを中心としたものだったが、21世紀型の展示会は、モノとサービスが一体化したビジネスモデルを見せることが中心になる。政策、産業、技術、国際をキーワードとし、これらを取り巻くステークホルダーが高度に集う場にしていく。そして、コンファレンスを含めた総合的な展示会に変えていく。CEATEC JAPAN 2018を通じて、日本の力を、世界に向けて発信したい」などと述べた。

 説明会の会場で行ったスマホを使った投票では、CEATEC JAPANに期待することとして「顧客アプローチ」「情報発信」が多かったほか、興味のあるカテゴリーでは「トータルソリューション」「AI/ビッグデータ」「モビリティ/ロジスティクス」「スマートワーク」「エネルギー/スマートライフ」が多かった。CEATEC JAPAN実行委員会では、「今後の小間割などに参考にしていく」という。

「Society 5.0には様々な壁の突破が必要、協力してのオープンイノベーションを」~経団連・小川氏~

一般社団法人日本経済団体連合会・産業技術本部上席主幹の小川尚子氏

 一般社団法人日本経済団体連合会・産業技術本部上席主幹の小川尚子氏は、「経団連では、人の生活の向上、経済発展と社会的課題の解決するSociety 5.0を最重要課題としており、企業行動憲章の総合テーマをSociety 5.0としたり、昨年2月にはSociety 5.0実現官民プロジェクトとして実行したりといったことを開始している」と前置きし、「Society 5.0は、今までの延長線上の考え方では実現できない。異なるバックグランドを持った人が集まる多様性や、社会全体の最適化に向けたあらゆる視点からの発想が必要であり、オープンイベーションを行うエコシステムが不可欠になる。

 さらに、省庁の壁、法制度の壁、技術の壁、人材の壁、社会受容の壁などを突破することが必要である。Society 5.0の取り組みにおいて、影響力を持つCEATEC JAPANと連携できることは喜ばしい。展示ブースでは、各社の技術を見せることは必要だが、同業種、異業種が協力するオープンイノベーションを具体的に見せてもらいたい。また、昨年のCEATEC JAPAN 2017の会場には、背広を着た人が多いことを感じた。様々な業種、老若男女、外国人などが入り交じり、次の社会の希望を持てるような展示会にしてほしい」とした。

「業界の枠を超え、IoTやCPSといった言葉を超えた提案を」~経済産業省・渡辺氏~

経済産業省・商務情報政策局情報産業課課長補佐の渡辺琢也氏

 経済産業省・商務情報政策局情報産業課課長補佐の渡辺琢也氏は、「情報産業は100万人以上の雇用を生み出す日本の基幹産業であるが、これから求められるソリューションを提供するためには、業界の枠を超えることが必要である。また、国際化はこの業界では空気のように感じられるほど一般化しており、これらの取り組みによってコネクテッドインダストリーズを促進してもらいたい。産業を支えるのは1つ1つの企業である。IoTやCPSといった言葉を超えた提案をしてもらい、CEATEC JAPANは、それを見せる場にしてもらいたい」とした。

「5Gは“電話以外”も想定して進化。速度、多数同時接続、超低遅延がポイント」~総務省・中川氏~

総務省・総合通信基盤局電波部移動通信課課長補佐の中川拓哉氏

 総務省・総合通信基盤局電波部移動通信課課長補佐の中川拓哉氏は、「5Gは、通信速度については第1世代の100万倍となる高速化を図れるが、それに加えて多数同時接続、超低遅延が特徴である。この三角形の大きさを広げるだけでなく、三角形のバランスを柔軟に変えることができる。これまでの無線通信は、携帯電話やスマホでの利用を想定して進化をしてきたが、5Gは、IoTで利用される無線リソューションとして進化をするものになる。今までに見たことがない顧客を想定する必要があり、BtoBtoXモデルの世界がやってくる。パートナーシップがますます重視されるだろう。その点でも、CEATEC JAPANを縁づくりの場として活用してもらいたい」と述べた。

昨年のCEATECは15万人以上が来場
コンファレンスの聴講も2万6000人

 昨年のCEATEC JAPAN 2017では、出展者数が667社/団体となり、登録来場者数は15万2066人と、いずれも前年を上回る実績となった。

CEATEC JAPAN運営事務局・事務局長の菊嶋隆史氏

 CEATEC JAPAN運営事務局・事務局長の菊嶋隆史氏は、「全来場者数のうち、新規来場者は32.0%を占め、海外来場者数は1844人となった。また、CPS/IoTの今が実感できたという人が75.1%に達したが、ベンチャーの動向の把握、新たなビジネスチャンスの実感、CPS/IoTの海外動向の把握については50%以下の満足度となっており、ここを課題と認識している。また、CPS/IoTを提案するにはふさわしい展示会だったとした出展者は79.6%になった」と報告。さらに、国内では3419件、海外では4544件のオンイランニュースへの掲載実績、国内新聞および雑誌の掲載件数は324件、国内テレビの放送時間では4時間54分、国外テレビ/ネットの放送実績では13時間17分に達したことも示した。

 そのほか、会期中に10会場で114セッションが行われ約2万6000人が聴講したこと、「CEATEC AWARD」の表彰を行ったことなどを紹介した。

出展者による「CEATEC活用法」も紹介
新たな価値提供や社外・社内へのアピールも

 CEATEC JAPANの主催者特別企画であるIoTタウンに、2年続けて出展したJTBグループの株式会社JTBプランニングネットワークの北野英昭氏(営業推進部新事業タスクチーム次長)は、「当社は、もともとは紙媒体の旅行パンフレットを制作する会社であったが、時代の変化に合わせて、パンフレットの価値を高めていくことを目指し、現在では約3割が紙の旅行パンフレット以外のビジネスとなっている。Googleストリートビュー認定パートナーとなったり、アスカネットの空中ディスプレイを活用したコンテンツの提供に取り組んだりし、次世代店舗を模索してきた経緯がある」と説明。

株式会社JTBプランニングネットワークの北野英昭氏(営業推進部新事業タスクチーム次長)

 「CEATEC JAPANの会場では、なぜ、JTBが出展しているのかと聞かれることが多かった一方で、お互いの技術を組み合わせるとこんなことができるのではないかという提案も数多くもらった。2016年の出展の結果、ロボホンを活用したビジネスを開始したり、可変型サイネージを活用したビジネスの広がりが生まれたりといった成果のほか、社内プレゼンスが向上し、出展内容をグループ本社事業に昇華できたこと、2018年度の事業再編のなかで、全国の同業種グループの統合会社になるといった成果もあった。また、2017年のCEATEC JAPANには、グループ本社として出展し、個々の製品を組み合わせた新たなソリューションの提供、旅ナカにおける課題解決型ソリューションの表現、スポーツイベントなどの体験価値をICTやIoTを活用して表現する展示内容とした。その結果、デジタル×ヒューマンタッチの融合によるJTBならではの新たな価値を提供できたこと、前年に比べて自治体やサービス事業者などの名刺を数多くいただいたほか、ソリューションへの取り組み課題が明確化できたという成果があった。CEATEC JAPANは、これまで取り組んできた成果を表現する場であり、同時に『未来のJTB』を語る場所に位置付けたい。共創のチャンスが生まれることを期待しており、2018年も出展したい」と述べた。


 CEATEC JAPAN 2018の出展者募集は、2月20日午前10時から受付を開始。4月27日には優先申し込みを締め切る。それ以降は、小間が埋まり次第、受付を終了する(詳細はCEATEC JAPAN公式サイトを参照のこと)。

 なお、開催概要説明会は、2月9日に大阪・北梅田のグランフロント大阪でも開催する予定だ。