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Windows 7のサポート終了が迫るも、データ移行はどうしよう……悩むシステム管理者をサポートする「ファイナルパソコン引越し enterprise」

 Windows対応データ移行ソフト「ファイナルパソコン引越し」シリーズの法人利用に関し、AOSデータ株式会社が7月26日、ユーザーおよびSIer(システムインテグレーション事業者)を招いて説明会を開催した。2020年1月14日に迫るWindows 7のサポート終了を前に、あわてることなくWindows 10へ移行できるよう、入念な準備が必要だと訴えた。

AOSデータが販売するWindows対応データ移行ソフト「ファイナルパソコン引越し」シリーズ。こちらはパッケージ版

移行したいデータ/アプリをルールファイルに定義→引っ越しはUSBリンクケーブル経由でも可能

 AOSデータは、米Laplink社と提携して同社製データ移行ソフトの日本版を開発。「ファイナルパソコン引越し」シリーズのブランドで販売している。その法人向けライセンス販売版にあたるのが「ファイナルパソコン引越し enterprise」だ。

説明会では、AOSデータ株式会社代表取締役社長の春山洋氏も登壇。開会のあいさつを行った

 enterprise版では50台以上のWindows PCの一括以降を想定。移行したいデータ/アプリなどの詳細をシステム管理者があらかじめルールファイルに定義しておくことで、エンドユーザー側の操作を極力軽減できるようにした。また、移行元・移行先となるPCに移行実行用ソフトをインストールする手間がない点も、コンシューマー版と異なる。

 実際のデータ移行は、社内のローカルネットワークを利用するのが基本。共有サーバーなどにルールファイルを準備しておき、移行対象PCから実行・参照する。なお、移行元から移行先へのデータ転送には、専用USBリンクケーブル、LANケーブル、USBメモリなども使える。

 価格は1ライセンス(旧PCから新PCへの移行1回分)あたり4000円(税別)から。30ライセンス以上の一括購入で割引価格が適用される。

専用のUSBリンクケーブルを使ったデータ移行もサポート

Windows 10がなぜ半年に1回アップデートするのか?→セキュリティがとにかく重要だから

 説明会は2部構成で行われ、前半は日本マイクロソフト株式会社の藤原正三氏(Microsoft 365ビジネス本部エグゼクティブプロダクトマネージャー)が登壇。「Windows 10最新情報とモダン管理」と題して講演を行った。

日本マイクロソフト株式会社の藤原正三氏(Microsoft 365ビジネス本部エグゼクティブプロダクトマネージャー)

 Windowsを巡っては、ビジネス現場で人気のWindows 7が2020年1月14日でサポートを終了することから、新OSへの移行にあたって中小企業はもちろん、大企業であっても抜本的なシステム更新を行わねばならない。

 藤原氏は、Windows 7のサポート終了が2020年の「1月」だという点にこだわって、周知・啓発活動を行っているという。2020年12月も同じ2020年ではあるが、2020年1月と比較した場合、時間猶予の感覚は全く違う。つまり、1年丸々準備に充てられるのは、すでに2019年だけなのだ。

 加えて、2019年も社会的なイベントは目白押し。G20サミット首脳会議が大阪で6月、ラグビーワールドカップは9月~11月に開催される。そして翌年の東京オリンピック・パラリンピックに向けたインバウンド客対応もますます加速するとみられる。それだけに、2018年の現段階から移行に向けた準備を本格化すべきだと、藤原氏は指摘する。

 その有力な移行先候補となるのがWindows 10だが、従来のOSと比べてアップデートの方針が大きく変わった。2015年7月の発売以来、約半年に1回のペースで無料の大幅機能アップデートを実施。2018年4月公開の「April 2018 Update」ですでに5回を数える。

 このアップデートで重要となるのが、ユーザーの使い勝手改善はもちろん、セキュリティだ。「IT管理者の皆さんからは年に2回のアップデートは大変という声もあるが、そこには『セキュリティギャップを埋める』という目的がある」(藤原氏)。

 Windows 10以前のOSはおよそ3年に1度のペースで抜本的なアップデートを実施していた。しかし現在のサイバー攻撃の進化スピードは極めて速く、従来のOSアップデート間隔では対策が追いつかない懸念がある。そのための「半年に1度」なのだという。

日々高度化する脅威に対し、Windowsでは頻繁なアップデートで対抗していく

 OSやアプリの更新を頻繁に行い、セキュリティを向上させようという取り組みはスマートフォンなどですでに一般化している。Windows 10ではこういったトレンドも織り込み、より安心してデバイスを使うための環境作りが模索されている格好だ。

 一方、セキュリティやOSに関する“常識”が変わりつつある以上、システム管理者が行うべき業務も、よりシンプルで賢い「モダン型」へと改めていくべきだと藤原氏は説明。例えばWindows Updateの実施時に回線帯域が圧迫される現象に対しては、通信内容に応じた経路切り替え機能が可能な次世代スイッチをもって対処する方法などがあるとアドバイスした。

法人ユーザーの場合、ネット回線の細さが原因でWindows Updateがままならない場合も……。セキュリティの確保と管理コスト削減のためには、システム管理の方法も改めていく必要がある

Windows 10で変わった引越し事情、「ファイナルパソコン引越し enterprise」を使うメリットとは?

 続いてはAOSデータ取締役CTOの志田大輔氏が登壇。イベントの本題でもある「ファイナルパソコン引越し enterprise」について解説した。

AOSデータ株式会社取締役CTOの志田大輔氏

 データ引越しの事情は、やはりWindows 10で変わった。それまでマイクロソフトが無料で提供していた転送ツールが、Windows 10では利用できなくなったのだ。現在、マイクロソフトのウェブサイトではデータ転送ソフトとしてファイナルパソコン引越しシリーズが紹介されており、また、国内メーカー製PCに同ソフトがバンドルされている例もある。

 「ファイナルパソコン引越し enterprise」は、シリーズの中でも法人利用を意識したものとなっており、管理機能が充実。全社共通あるいは部署単位などで移行ルールを決めておけば、エンドユーザーは社内共有サーバーなどに保存した移行実行ファイルをクリックするだけで、引越しできる。

「ファイナルパソコン引越し enterprise」でのデータ移行イメージ

 志田氏はこのメリットとして、引越しにかかる時間の削減を最大のメリットに挙げる。「データ引越しで大変なのは、準備と事後の作業。この工程を減らせ、現場でのユーザーサポートの回数などを減らせる」(志田氏) エンドユーザーはもちろん、システム管理者の業務軽減にも繋がるというわけだ。

 とはいえ、データ移行には注意点は多い。最もシンプルなのは社内ネットワーク経由での移行だが、払い出せるIPアドレスが不足していたり、新旧のPCでIPアドレス/コンピューター名を同一にしなければならない場合、難しい。そのため「ファイナルパソコン引越し enterprise」では、NAS経由や専用USBケーブルでの移行もサポートしている。

管理者のメリット

 ある生命保険会社では、1万台規模でのデータ移行を「ファイナルパソコン引越し enterprise」にて実施したケースもあるという。また、大手インテリアメーカーでは情報システム部門を社内に持っていなかったが、やはり200台規模の移行を完了させた。

利用事例。大手インテリアメーカーでは200台を移行した

 最後に、志田氏は「(継続的な機能向上で)Windows 10の魅力はますます高まっている。そして何より、情シスにとって最大の目的であるセキュリティ維持のためにもWindows 10が広まっていってほしい。その実現の前段階となるのがデータ移行。ぜひ私どもの製品でサポートしていきたい」と述べ、説明会を終えた。

説明会の様子。当日は、同内容の講演が午前・午後の2回に渡って実施された。今回取材したのは午後の回。データ移行を検討中の法人ユーザーのほか、SIerも参加したという