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Dropbox、日本国内にファイルを保存可能に、今夏より「Dropbox Business」で
北米・ドイツに続く世界3番目のホスティング拠点、AWS東京リージョンに設置
2019年3月20日 18:15
Dropbox Japan株式会社は、2019年の事業戦略について説明。日本国内で、顧客のファイルをホストすることができるDropbox環境を新たに構築し、サービスを提供すると発表した。ホスティング環境は、Amazon Web Service(AWS)の東京リージョンに設置し、2019年夏から法人顧客向けサービス「Dropbox Business」で利用できるようにする。
北米のホスティング環境と同様の価格で提供
Dropbox Japanの五十嵐光喜代表取締役社長は、「日本国内においてファイルアクセスとファイル保存を行いたいという企業が多く、強い要望をもらっていた。今回の投資は、それに対応したものであり、北米、ドイツに続いて、世界で3番目のホスティング拠点となる。日本の企業に対して新たな選択肢を提供できる」とした。
日本でのファイル保存などに関わる費用は、現状の北米のホスティング環境と同様の価格で提供。日本でのデータホスティングへの移行を無料で行えるようにする。また、マルチチーム管理機能の提供により、ニーズに応じて配置した国内外のデータを一元的に管理できるという。
Dropbox Businessの商用ライセンスとして提供している「Standard」(1ユーザーあたり年額1万5000円)、「Advanced」(同2万4000円)、「Enterprise」(個別対応)、教育向けライセンス用の「Education」が対象であり、無償で提供している個人向けライセンスの「Basic」は対象外となる(価格はいずれも税別)。
同社では、これまでにもファイルのアップロードやダウンロードの高速化を実現するためのポイント・オブ・プレゼンス(PoP)を日本国内に開設。「世界の主要国には、PoPを設置しており、日本でもセキュアなインフラを迅速に提供できる環境を用意してきた。今回のホスティング環境の構築は、それに続くものであり、日本における事業の成長に向けた重要な投資になる」(五十嵐社長)と位置付けている。
Dropboxでは2016年にドイツにおいて、AWSクラウドにオンショア基盤を構築した経緯があり、このノウハウを日本にも展開した。
個人向けサービスについても「用意しているものがある」
さらに五十嵐社長は、2019年の事業方針として「国内データ保管、管理機能強化による顧客層の拡大」「国内パートナーと連携した3C(コンテンツ、コーディネーション、コミュニケーション)の実践」「DROPBOX+PAPERによるデジタルトランスフォーメーションの推進」の3点を挙げた。
五十嵐社長は、「PAPERを活用することで、情報のシェアだけでなく、デジタル上で議論し、知恵を共有するといったことが可能になる。日本においても、PAPERを全社規模で導入したいという例が出ている。ただ、認知度が低いという反省がある。2019年にはここに力を入れたい」とした。
個人向けサービスについては今回の会見では言及しなかったが、「用意しているものがある。別の機会に発表したい」と語った。
ユーザーは5億人、8割が仕事で「Dropbox」を利用
Dropboxは、2018年3月に米NASDAQ市場に上場。日本では、2014年に日本法人を設立してから5年目を迎えている。当初はファイル共有クラウドストレージとしての利用が中心だったが、昨今では、チームが共同で利用するコラボレーションツールとして利用されたり、業務の無駄な時間を削減する“働き方改革”の一端を担うツールとして、企業への導入が進んでいる。
米国での上場後、4四半期連続で堅調な業績を達成。2018年の売上収益は前年比26%増の13億9000万ドル(約1500億円)となり、現在の時価総額は約92億ドル(約1兆円)。有料ユーザー数は前年から170万人増加し、1270万人となった。無料で利用しているユーザーを含めると約5億人に達し、そのうち、8割が仕事でも利用しているという。さらに、チームプランの導入が急増しており、世界中で40万以上ものチームが有料で利用し、チームごとでの利用者数も増加しているという。また、日本法人は世界各国の中でもトップクラスの業績を上げており、前四半期において、最も急速に成長した国の1つになっているとした。
建設現場で「Dropbox」が利用されている日本
五十嵐社長は、「この1年で日本法人の人員は3倍に拡大。特にカスタマサクセス部門での人員を増やしている」とし、「日本では、ターゲットとする業種に対して導入を推進してきた。特にデジルトランスフォーメーションが進んでいる建設分野では、現場のデジタル化が進んでおり、Dropboxがそこで利用されている。『Dropbox スマートシンク』を活用することで、SSDといった容量の少ないPCでも利用できる。飛島建設では、Windows 7からのマイグレーションによってSSDを搭載したPCを導入しているが、そうした環境でも現場での情報連携ができる。また、教育分野では、AXIESとの連携により、11の国公私立大学の教職員・学生に対して、特別価格でDropbox Businessを提供する。また、学術情報ネットワークであるSINET 5と、Dropbox本社のネットワークを直接つないでいるため、Dropboxを快適な環境で利用できるようにしている。さらに、小売・サービス業でもデジタルトランスフォーメーションが進んでおり、今年はさまざまな導入事例を発表できるだろう」とした。
また、五十嵐社長は「顧客は多くの各分野のベスト・オブ・ブリードといえる製品を活用しており、それらの製品とのコラボレーションにより、オープンな環境を提供していくのがDropboxの特徴である。オープンな環境は自主性を保てるが、インテグレーションに手間がかかるという課題があるが、その部分を解決していくのが、Dropboxがいま取り組んでいるところである。AIとマシンラーニングを活用し、データから学んで製品に生かすことができる『DBXi(Dropbox intelligence initiative)』を提供し、これを実装している。検索や次に利用するフィイルが何かといったことを、優先順位を付けて提案することが可能であり、日々の学習によって精度を高めている。また、『Dropbox Extention』では、コンテンツを中心にしたシームレスな業務利用を可能にするために、コンテンツの整理、同期、統合を行い、業務を支援することができる」などとした。
また、「クラウドへの移行をさらに促進したい。競合企業もあるが、切磋琢磨して、まずは日本におけるクラウドコラボレーション市場を拡大することを優先したい」とも述べた。