INTERNET Watch 30周年
【2022年のINTERNET Watch】「ChatGPT」の登場で生成AIブームが到来、イーロン・マスク氏のTwitter買収で混乱も
2026年8月3日 06:30
2022年の出来事
2022年(令和4年)は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行から2年以上が経ち、感染力が強い一方で重症化しにくいオミクロン株への置き換わりが進んだことからも、感染対策と社会経済活動を両立させる「ウィズコロナ」への移行が進められた。
2月、中国・北京で冬季オリンピックが開催。日本選手団は18個のメダルを獲得し、冬季オリンピックにおける日本の過去最多記録を更新した。同じく2月には、ロシアがウクライナへの軍事侵攻を開始し、世界情勢やエネルギー価格、物価に深刻な影響を及ぼした。
7月、参院選の街頭演説中に安倍晋三元首相が銃撃され死亡する事件が発生し、日本社会に大きな衝撃を与えた。また、秋口にかけては急速な円安が進み、1月には1ドル115円台だったドル円相場が、10月には約24年ぶりとなる1ドル150円台を記録した。原材料価格の高騰も相まって、さまざまな製品やサービスの値上げが相次ぐ厳しい経済環境となった。
その一方で、11月から12月にかけてカタールで開催されたFIFAワールドカップでは、日本代表が強豪国のドイツやスペインを破る快進撃を見せ、ベスト16に進出。日本中が熱狂と歓喜に包まれた。
2026年2月に30周年を迎えたINTERNET Watchは、1996年2月に有料メールマガジンとして創刊し、1997年1月にウェブサイトを開設した。ここでは2026年の視点から2022年の話題を10本取り上げ、当時を振り返る。(1996年からの振り返り一覧)
1. Wi-Fi 6E対応製品が日本国内でも登場
9月2日、総務省による電波関連省令の改正に伴い、Wi-Fi 6Eで使用される6GHz帯および自動車内での5.2GHz帯のWi-Fi利用が新たに解禁された。
これを受け、メーカー各社からWi-Fi 6E対応ルーターが相次いで投入されたほか、一部のノートPCなどの機器においてもファームウェアアップデートによる6GHz帯対応が進められた。
2. 「Internet Explorer」のサポートが終了
▶本日でサポート終了のIE、最盛期はこんなにすごかった! シェアの推移をまとめた動画
6月16日をもって、マイクロソフトが開発していたウェブブラウザー「Internet Explorer」のサポートが終了した。Windows 98からはOSに標準でインストールされるようになり、最盛期の2000年代前半には95%以上のシェアを獲得していた。
サポート終了後も、後継ブラウザーの「Microsoft Edge」において、Internet Explorerのみに対応するページを表示できる機能の「Internet Explorerモード」が搭載されており、互換性の維持が図られている。
3. NTT東西、テレホーダイの終了予定を発表
▶「テレホーダイ」「マイライン」などサービス終了へ。2024年1月の固定電話のIP網移行で
NTT東西は、固定電話のIP網移行を理由に、2024年1月に「マイライン」「マイラインプラス」のサービスを終了するとともに、料金体系の変更に伴い、「テレホーダイ」「タイムプラス」など通話料の各種割引サービスを終了すると発表した。
4. KDDI(au)で全国規模の大規模通信障害が発生
▶KDDI、大規模通信障害における返金対象者にSMSでの通知を開始
7月2日未明から、KDDIの携帯電話回線で全国規模の通信障害が発生し、音声通話やデータ通信が利用しづらい状況に陥った。通信障害は7月2日1時35分~7月4日15時にわたって続き、最大で3000万人以上に影響を与えた。
設備のメンテナンス作業中のミスで、VoLTE交換機に想定を超える負荷がかかったことが原因で発生した。この大規模障害を受け、総務省は、通信障害時に他の携帯電話事業者のネットワークを一時的に利用して通信を可能にする「非常時事業者間ローミング」の実現に向け、検討会を開催するなど、非常時に向けた対策を進めている。
5. イーロン・マスク氏がTwitterを買収
▶Twitter、イーロン・マスク氏による買収提案に合意、総額約5.6兆円
米テスラやスペースXなどのCEOを務めるイーロン・マスク氏が米Twitterを買収した。
マスク氏は、4月に1株あたり54.2ドル、総額約440億ドル(当時約5.6兆円)で買収することでTwitterと合意した。しかし、5月にスパムアカウントがアクティブユーザーの5%を占めることを理由に買収を保留し、7月にはTwitterがマスク氏を提訴するなど、さまざまなトラブルがあったが、10月に買収を完了させた。
2023年7月には、サービス名および社名を「X」に変更した。ちなみに、「X.com」というドメイン名は、マスク氏が1999年に創設したオンライン銀行で使われていたもので、同サービスはその後の買収によって「PayPal」に統合されている。
6. Twitter買収の混乱で「マストドン」などの分散型SNSへの移行が再び話題に
▶「コミュニケーションは一握りの人間に管理されるべきではない」、VivaldiがMastodonインスタンス公開
イーロン・マスク氏によるTwitter買収や、それに伴う仕様変更の混乱を受け、「マストドン(Mastodon)」をはじめとする特定の企業に依存しない分散型SNSへの移行が話題となった。
マストドンは2017年4月にも日本国内で大きな注目を集めた。当時は、大学院生が立ち上げた「mstdn.jp」が多くのユーザーを集めていたほか、ドワンゴの「friends.nico」やピクシブの「Pawoo」といった企業主導のインスタンスが開設されるなど、一大ムーブメントとなった。
開発者のオイゲン・ロッコ氏によると、マスク氏がTwitterの買収を完了させた10月27日~11月3日の間に、新規ユーザーが19万9430人、新規サーバーが437台開設されたほか、アクティブユーザー数は60万8837人となり、過去最高を記録したという。
7. 「Midjourney」「Stable Diffusion」の流行に加え、「ChatGPT」登場で生成AIブームが到来
▶「文字だけもなんなので、プロフィール画像をAI(Stable Diffusion)に作らせてみた」――急遽テレワークを導入した中小企業の顛末記(112)
テキストでプロンプトを入力するだけで画像や文章を自動生成する生成AIが次々と一般公開され、大きなブームとなった。
7月にオープンベータ版が公開された「Midjourney」や、8月に無償公開された「Stable Diffusion」などが火付け役となり、SNS上には生成されたイラストや写真が大量に投稿された。さらに11月末には、OpenAIが対話型AI「ChatGPT」を公開。人間と会話しているかのような精度の高さが話題を呼び、公開後5日間で利用者数が100万人、2カ月で1億人を突破するなど大きな注目を集めた。
8. NICT、1Pbpsを超える伝送実験に世界初の成功
▶1Pbpsの伝送実験に成功、標準外径4コア光ファイバーでNICTが世界初
国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)は、毎秒1ペタビット(1Pbps)を超える大容量伝送速度実験に、世界で初めて成功した。
現在広く普及しているシングルコア(光を通す「コア」と呼ばれる部分が1本)・シングルモード(コアの中の光の経路が1本)の光ファイバーでは、毎秒250テラビット(250Tbps)程度が伝送容量の限界と考えられている。今回の実験においては、4コアでシングルモードかつ、標準外径(国際規格で定められている、被膜層の外径0.235~2.265mm)の光ファイバーが使用された。
ちなみに、家庭用の回線で広く使われている1Gbpsの伝送速度と比べると、1Pbpsの伝送速度は100万倍になっている。
9. 「Coinhive事件」の無罪が確定
▶逆転無罪の「Coinhive事件」を総括する日本ハッカー協会のイベント、1月31日に開催決定
ウェブサイトに暗号通貨をマイニングするスクリプトの「Coinhive」を埋め込んだサイト運営者が、不正指令電磁的記録に関する罪の疑いで2018年に検挙された事件で、最高裁において無罪が確定した。
サイト運営者の男性は「他のクリエイターの人に同じ経験をしてほしくない」として、略式起訴での罰金10万円に異議を申し立てて刑事裁判へ移行した。横浜地裁での第一審では無罪となったものの、東京高裁での第二審では有罪となっていた。
10. 「ファスト映画」の投稿者に5億円の損害賠償金支払いを命じる判決
▶「ファスト映画」アップロードした2人に5億円の損害賠償金支払いを命じる判決
東京地方裁判所は、「ファスト映画」を著作権者に無断でYouTubeにアップロードした2人に対し、著作権侵害による損害賠償保証金5億円の支払いを命じる判決を言い渡した。
ファスト映画は、無断で使用した映画の映像を、字幕やナレーションをつけて10分程度に編集し、結末までのストーリーを解説する動画。YouTubeをはじめとする動画サイトにアップロードされており、投稿者に広告収入が渡っていた。

