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中露・北朝鮮の関与が疑われるサイバー攻撃への言及増加、警察庁がサイバー空間の脅威情勢レポート
AI、IoT機器を悪用した犯罪事例も
2026年9月14日 06:30
警察庁は9月10日、半期ごとに発表しているサイバー脅威の動向レポート「令和8年上半期におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」を公開した。
「国家の関与が疑われる高度なサイバー攻撃」の解説が冒頭に
今回のレポートでは、脅威情勢の解説の最初に「高度な技術を悪用したサイバー攻撃」、特に「国家の関与が疑われる高度なサイバー攻撃」が行われ、中国・北朝鮮・ロシアの各国の関与が疑われるサイバー攻撃グループの特徴が解説されている。
いわゆる地政学リスクに起因するサイバー脅威などとして、これらの国家の関与が疑われるサイバー攻撃に関しては過去の同レポートでも言及されている。今回のレポートにおいては「国家の関与が疑われるサイバー攻撃としては、重要インフラの基幹システムを機能不全に陥れ、社会の機能を麻痺させるサイバーテロや、情報通信技術を用いて政府機関や先端技術を有する企業から機密情報を窃取するサイバーエスピオナージ(編集部注:サイバー空間での諜報活動のこと)が挙げられる」と説明され、より強くこれらを危険視したものとみられる。
中でも、中国系のサイバー攻撃グループの手口としては、USBメモリなどの物理デバイスによりマルウェアに感染させる手口が確認されているとしている。また、北朝鮮系のサイバー攻撃グループに関しては暗号資産の窃取について言及されており。「北朝鮮の外貨収入の大半は暗号資産窃取とロシアへの武器販売が占めていると指摘されている」と説明している。
北朝鮮のサイバー攻撃・外貨獲得施策への警戒に関連しては、2026年8月に日本を含む11カ国が「北朝鮮IT労働者に関する各国・企業等に対する注意喚起」に共同署名している。
IoT機器を狙うMirai型マルウェアが急増、レジデンシャルプロキシ問題も
インターネット空間を悪用した犯罪の1つとして、IoT機器の悪用も取り上げられており、総務省らとともに対策に注力している「レジデンシャルプロキシ」の問題への言及がある。レジデンシャルプロキシとは、安価で魅力的な機能をうたう動画視聴用の製品(セットトップボックス)やスマートフォンアプリを提供し、その中に攻撃者によって乗っ取り(遠隔操作)を可能にする機能を組み込んでおいて、製品やスマートフォンを乗っ取り、悪用する手口。
レジデンシャルプロキシの手口の例として、「テレビに接続して海外動画を無料で視聴できます」などとして販売されている不正な動画配信用機器、無料VPNサービスや無料音楽アプリなどが取り上げられている。
乗っ取りによって何が行われるかというと、インターネットバンキングを利用した不正送金を指示する詐欺などに使われている。2025年中に発生したインターネットバンキングに係る不正送金事犯(4747件、被害額約104億円)のうち、レジデンシャルプロキシが用いられた事案は少なくとも737件、被害額は約13.9億円におよぶという。
上記のようなレジデンシャルプロキシによる攻撃の手口は、ユーザーに能動的に利用を開始させる(デバイスを購入、アプリをインストールなど)ことが特徴であるが、稼働しているWi-FiルーターなどのIoT機器を乗っ取るマルウェアも存在する。
レポートでは、代表的なIoTマルウェアとして知られる「Mirai」の特徴を有するアクセス(Miraiの特徴を有するマルウェアに乗っ取られたIoT機器からのアクセス)の急増が2026年5月以降に観測されたとしている。
AIを悪用した「ニセ警察詐欺」事例も
レポートでは、AIの悪用についても言及。不正プログラムやフィッシングサイトの作成、誤情報の作成などの例を挙げ、国家を背景とするサイバー攻撃グループがAIを利用し、人間の介入なしにサイバー攻撃を実施したとの民間企業の報告があるとして、サイバー攻撃のAIによる高度化の懸念を指摘している。
そのほかにも、AIでランサムウェアを開発した例、少年が動画配信サービスの参加者を大量に退会させた問題でAI生成の攻撃プログラムを用いた例のほか、AI生成の顔の映像で被害者をだました、いわゆるニセ警察詐欺の事例も取り上げられている。
レポートの冒頭では、サイバー攻撃の前兆である脆弱性探索行為などの不審なアクセス件数が前年同期比で大幅に増加し、その大部分が海外を送信元とするとしている。ランサムウェアの被害報告件数は半期で123件で、統計を取り始めた2020年下半期以降最多となるなど、多くの面におけるサイバー脅威・サイバー攻撃の増加が示されている。







