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「Dropbox Professional」提供開始、フリーランス・個人事業主のDropbox利用に弾み
容量1TBで年額2万4000円/月額2400円、新機能「Dropbox Showcase」など搭載
2017年10月18日 06:00
Dropboxは、フリーランスや個人事業主などを対象にした新サービス「Dropbox Professional」を10月18日から提供開始する。「Dropbox Showcase」と呼ぶ新たな機能を搭載。個人や事業主が、文字や映像、音声など、さまざまなフォーマットで保存された制作物や商品などをプレビュー表示することができるようにしたほか、個人ユーザーからも要望が高かった「Dropbox スマートシンク」の提供も行い、モバイル用途においても、ストレージの効率利用と、迅速なファイル共有が行えるようにしている。
Dropbox Japanの五十嵐光喜社長は、「もともとフリーランスや個人事業主の利用から広がっていったのが、Dropboxの歴史。今回の新製品では、改めて、フリーランスや個人事業主にフォーカスしたものとなっている。Dropbox Showcaseによって、フリーランスや個人事業主が、自らの作品を売り込んだり、カタログとして利用したりといった新たな活用も可能になる。フリーランス、個人事業主のDropbox利用に弾みをつけたい」とする。
また、Dropbox Japanのジャパンマーケティングリードである上原正太郎氏は、「コンテンツの保存と共有のほか、セキュアな環境を実現するための管理性にも優れたサービスであり、ビジネスレベルで活用するための機能を兼ね備えている」と強調した。
「Dropbox Showcase」で各種ファイル・制作物をカタログのようにプレビュー表示
Dropbox Professionalの最大の特徴は、なんといっても、新機能の「Dropbox Showcase」を搭載した点だ。
Dropbox Showcaseは、同社がDropbox Businessで提供してきた「Paper」のベース技術を活用し、文字や静止画、動画、音声などのさまざまなフォーマットのファイルを、1つのフォルダーに格納。さらに、そのフォルダーをプレビュー表示させることが可能になっているのが特徴だ。
「自らの作品を説明したり、コンテンツ制作などの進捗状況などを示すためには、必ず人が介在して説明をする必要があった。だが、Dropbox Showcaseを使用すれば、対象者にShowcaseページのURLを送るだけで、コンテンツがプレビュー表示され、作品を確認できたり、進捗状況が一目で分かる。プレビュー表示にコメントを加えたり、ストーリー性を持った表示も可能であり、フリーランスや個人事業主にとって、新たな価値を提供する機能になる」(五十嵐社長)と位置付ける。
プレビュー表示では、各ファイルがコンテンツとして自動的にレイアウトされるほか、ハイライトしたいコンテンツを大きく表示することも可能。キャプションを使った説明も可能であり、Dropbox Showcaseのページそのものをカタログのようにして利用できる。
課金機能とは連動していないため、Dropbox Showcaseから直接コンテンツを販売するといった使い方はできないが、小売店ではお勧め商品を表示したり、さまざまなフォーマットのコンテンツを使って、事業者やフリーランスの仕事の内容を紹介したりといった活用が簡単にできる。
「例えば、これからの時期は、年賀状用のコンテンツ素材をデザインした人が、Dropbox Showcaseで作品をプレビュー表示し、販売につなげるといった使い方もできるだろう」(五十嵐社長)と見込む。
フォルダー共有の仕組みを利用して、それを宣伝や告知などにも利用するといった、新たな提案を行える新次元のサービスといえるだろう。
また、「レイアウトのカスタマイズや、Showcaseページのファイルは、すべてDropboxと同期していることから、元ファイルを変更しても、常に最新のファイルがShowcase上に表示される。さらに、ファイルの閲覧やダウンロード、コメントを付けた人も管理でき、コンテンツに対する反応も知ることができる」(上原氏)。
もちろん、ファイル共有という基本的な使い方でも効果を発揮する。「単にファイルの名前を見て判断するだけでなく、プレビュー表示を見るだけで、直感的に必要なファイルを見つけ出すことができる。また、容量の大きいファイルを扱う業務でも、構想段階の提案から最終プレゼンテーション、納品までを、関係者と共有しながら、プロジェクトを進めることができるほか、クライアントとコンテンツを共有できるため、反応を把握して、効果的な制作につなげることができる。メールに制作物を添付して、やりとりするよりも、はるかに便利で効果的な使い方ができる」(上原氏)。
クラウド上のファイルを高速編集、差分だけをダウンロードする「Dropbox スマートシンク」
また、Dropbox Professionalには、「Dropbox スマートシンク」機能を搭載したのも特徴だ。
業界初のクロスプラットフォーム型オンデマンド同期ソリューションと位置付けられるもので、ワンクリックで、ローカルとクラウドに配置するファイルを選択でき、差分だけをダウンロードするために、クラウド上のファイルを高速で開いたり、内容を修正したりといったことが可能だ。
「スマートシンクによって、SSD化によって容量が制限されているモバイルPCのストレージを有効活用できる。また、MacやiPhone、iPad、Windows PC、Android端末といったさまざまなデバイスで利用できるのも特徴であり、どのデバイスでも操作性は変わらない」(五十嵐社長)という。
2017年1月に登場したDropbox スマートシンクは、Dropbox Businessに採用され、高い評価を得ている機能で、今回のDropbox Professionalによって、初めて個人向け製品に搭載されることになった。
容量は1TBで120日間のバージョン履歴管理も、1ユーザーから契約可能
さらに、Dropbox Professionalでは1TBの容量が利用でき、120日間のバージョン履歴管理や、月曜日~金曜日の午前9時から翌午前1時まで(協定世界時)、エキスパートによる優先チャットサポートを提供。共有パスワードの設定や有効期限付きリンクの作成、詳細な閲覧履歴のチェックができる共有機能も提供する。なお、優先チャットサポートは当初は英語だけの提供だが、今後、日本人による日本語でのサポートも開始する予定だ。
「バージョン履歴は、Dropboxの大きな特徴の1つ。複数の人が一緒に作業する際にも便利だが、最近では、ランサムウェア対策にも有効な点が評価されている。Dropbox上にはランサムウェアに感染する前のファイルが残されており、そこからファイルを復活することが可能になるため、セキュリティやバックアップの強みから、Dropboxを採用した企業が多く、Dropbox Professionalでもその点も訴求したい」(上原氏)という。
料金は、年額2万4000円または月額2400円。Dropbox Businessは、3ユーザーからの契約となっていたが、Dropbox Professionalでは1ユーザーからの利用が可能になっている。
ちなみに、「Dropbox Business Advanced」以上のユーザーは、Dropboxの先行アクセスプログラムを通じて、Dropbox Showcaseの利用が可能となっている。
Dropboxは、国内におけるビジネス利用の拡大に取り組んでおり、今回のDropbox Professionalも、個人向けとしながらも、フリーランスや個人事業主といったビジネス用途での利用拡大を狙ったものだ。
五十嵐社長は、「Dropboxは、個人に利便性の高い機能から始まり、その後、少人数でファイルを共有するための機能を追加。今ではチームの利便性を上げるためのサービスを追加している。その点が企業に評価され、ビジネス利用が急速に広がっている。もともと創業者であるドリュー・ハウストンCEOは、スタートアップ企業を支援するためにサービスを強化したいという意識が強い。今回のDropbox Professionalや、新たな搭載した機能であるDropbox Showcaseは、その思いを形にしたものだともいえる」と語る。
なお、Dropboxは、現在、全世界で5億人以上が利用、33億個ファイルが共有されている世界最大級のクラウドストレージサービスであり、2007年6月の創業からちょうど10年目の節目を迎えている。