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東京・丸の内に、IoT仮眠室や瞑想ルームなどを備えたコワーキングスペース「point 0 marunouchi」開設
2019年7月16日 12:00
パナソニック株式会社、株式会社オカムラ、ダイキン工業株式会社、東京海上日動火災保険株式会社、ライオン株式会社、株式会社MyCity、アサヒビール株式会社、TOA株式会社、TOTO株式会社の9社は、丸の内に会員制コワーキングスペース「point 0 marunouchi」を7月16日に開設し、未来のオフィス空間づくりに向けた実証実験を開始した。
9社のソリューションを持ち寄り、新たな価値創出につなげる
point 0 marunouchiは、東京駅前の丸の内二丁目ビル4階にある。敷地面積は1082平方メートルで、総席数は220席。会員制で、料金(税別)は個室が10万5000円~/月、自由席・都度利用が250円~/15分。記者会見が開かれた7月8日時点で、すでに利用者は6~7割が決まっているという。
9社のプロジェクト「CRESNECT(CREation・Space・conNECT)」によるもの。CRESNECTは2018年7月に発表され、新たにアサヒビール、パナソニック、MyCity、TOA、TOTOが参画した。CRESNECTは、IoTネットワークインフラや各社が保有するデータを共有し、新たな価値創出につなげることをコンセプトとしている。
なお、point 0 marunouchiの企画・運営・管理のための新会社である株式会社point0も、ダイキン、オカムラ、パナソニック、ライオン、MYCITYが、2月に設立している。
「point 0」という言葉は、Society 5.0などで用いられる「.0」の「○○の再定義」という意味を込めたもので、空間とヒトから構成される、あらゆる「場」を再定義する起点とするという。実証実験の期間は、ひとまず2~3年とする。
point 0 marunouchiでは、各社がオフィス空間に関連したソリューションを持ち寄り、自らもオフィスとして利用するほか、一般会員に利用させることで、データを収集・分析し、コンテンツの高度化や新しいサービスの創出に取り組む。
設計は、国内では代官山T-SITEやGoogle Japanオフィスなどの実績があるクライン・ダイサム・アーキテクツが担当した。point 0 marunouchiでは、パブリックとオフィスの居心地を共存させることを狙ったという。
point 0 marunouchiでは、個室のほか、その日の仕事に適したエリアを使えるオープンスペースが大きく設けられている。オープンスペースでは緑をふんだんに採り入れており、特に通りの窓際には緑が並ぶ。
オープンスペースや会議室では好みに合わせて空調・照明・香りをコントロールできるほか、上下昇降デスクなども用意される。また、集中ブースや仮眠室、瞑想ルームなども設けられている。
こうした各スペースでは、各社のソリューションが23件導入され、実験されている。そこから得られた知見や成果は、定期的に発信していく予定だという。カンファレンスイベントを年2回開催して、実験や検証の結果を発表する。また、アニュアルレポートを年1回発行し、数値データも含めて掲載する。
快く目覚める仮眠室など、23件の実験を実施
7月8日には、point 0 marunouchiの内覧会も開催された。以下、その中からいくつかについてレポートする。
ダイキンのパーソナル快適空間制御ソリューションは、オープンな空間にあえて温度ムラを作って複数の温度環境を存在させるほか、位置情報と連動した空間制御や、AIを活用したレコメンドに取り組む。
また、ダイキンとぷらっとホームは、センサーなどのデータを取得し共有する空間HUBを実現する。
point 0 marunouchi利用者向けのアプリケーションは、MyCityとソフトバンク、パナソニックで開発している。7月スタートのフェーズ1では、建物や環境のデータをウェブアプリケーションで見られるようにする。10月以降にスタートするフェーズ2では、利用者向けや管理者向けのネイティブアプリケーションを用意し、施設内行動データや運営システムにもアクセスできるようにする。
同時にソフトバンクは、AIによる快適空間ソリューションの実験も行なう。会議室など各所に設置されたセンサーから得られる温度や湿度などのほか、カメラからの画像認識により、長袖・半袖や快適そうかなどを検出し、空調で快適にする。
集中ブースは、オカムラの吸音ローパーティション「muffle」に囲まれる。また、NECの技術によりカメラで表情やまぶたを検出して眠気を検知し、ダイキンの空調やパナソニックの照明により適度な覚醒度を保つソリューションを実験している。
瞑想ルームは、パナソニックのカラーライティングを実験している。照明の色が、赤緑黄と白を組み合わせて、パステルカラーにもできるようになっている。これを使ってリラックスできるようにする。いずれは、効果音や香りも実験したいという。
パナソニックによる仮眠室の実験では、タブレットから設定すると、照明が間接照明になって、だんだん暗くなって、消えるようになっている。そして設定した時間(15~30分)がたつと、反対順に徐々に照明がつく。また、照明の明かりにゆらぎを採り入れているという。
ダイキンによる仮眠室の実験では、ベットの下に設置したセンサーでバイタル情報(心拍や呼吸など)を取得し、睡眠深度を計測する。そして、深く眠る前に空調コントロールで起こすことにより、快適な覚醒に導くという。
ダイキンとオカムラ、パナソニックは、オフィスの快適性や健康について認定する「WELL認証」をpoint 0 marunouchiで取得したノウハウを元に、WELL認証取得支援サービスも企業向けに提供する。
アサヒビールでは、オフィス用のバーカウンターを実験している。0.5~3%の軽い度数の酒を程度に飲むことで、ひらめき活性化などのいい効果が現れるかを実験する。また、バーカウンターの省人化や利用者によるカスタマイズも実験の対象だ。