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サウンドマスキングのあるコワーキングスペース「DMZ WORK」、東京“築地バレー”にオープン

クリエイターが静かに集中できる個室が特徴、その一方で「寿司フリーナイト」毎月開催も

 東京・築地に、映像などのクリエイターのためのコワーキングスペース「DMZ WORK」を、株式会社ねこじゃらしが3月1日よりオープンする。その先行お披露目会が2月26日に開催され、内部がメディア向けに公開されたほか、「築地バレー」構想も語られた。

エレベーターを降りた正面に「DMZ WORK」のロゴ。スクラッチタイルでビルの外壁をイメージしている
入り口のモニターには、入居会社のロゴが表示される。訪問者はその下のタブレットから相手を呼び出す。周囲の壁は、築地でしばしば見かける銅板建築の緑青をイメージ

クリエイターのための“リアル”ワークスペース

 DMZ WORKのコンセプトは「クリエイターのための“リアル”ワークスペース」。ねこじゃらしは、もともと映像業界向けのクラウドサービスとして、動画の管理に特化した業務用クラウドストレージ「JECTOR」や、大容量データ向けクラウドバックアップ「BackStore」、クラウド上で映像を編集する「SETARIA CLOUD」などを提供している。

 こうしたバーチャルなワークスペースに加えて、リアルなワークスペースであるDMZ WORKによって、「バーチャルでもリアルでもクリエイターを支援する」と同社代表取締役の川村ミサキ氏は説明した。

株式会社ねこじゃらし代表取締役の川村ミサキ氏
コンセプトは「クリエイターのための“リアル”ワークスペース」

 DMZ WORKは完全会員制のシェアオフィス型のコワーキングスペースだ。TSUKIJI GRANDE(東京都中央区築地3-7-1)の2階にあり、占有面積276.48㎡。12の鍵付き個室を備えるほか、2つの会議室とフリーワークスペースもある。想定席数は38席。24時間・365日入退出可。月額利用料は3万円/人。個室利用料が、広さによって異なり月額6万3000円~32万9000円(価格はいずれも税別)。

「DMZ WORK」の入るTSUKIJI GRANDE(東京都中央区築地3-7-1)

調光・調色機能付きの照明と潤沢な電源コンセント、4K映像も送れるよう有線LANも完備

 施設の設計にあたっては、クリエイターにアンケートをとって意見を集めた。従来のコワーキングスペースはオープンな作りになっていることが多く、静かに集中することがあまり想定されていなかった。また、発表前の製品のCM制作など、機密情報をしっかり管理できる必要がある。

 こうしたことから、DMZ WORKでは全室を鍵付き個室とし、ガラス張りではなく、閉めてしまえば中が見えないようにした。会話が聞こえないように、フロア全域にサウンドマスキングのシステムも入れている。

 その一方で、他の入居者とのコミュニケーションもとれるように、中央にフリースペースを設けた。「築地なので」(川村氏)ということで、交流イベントとして「寿司フリーナイト」も月1回開催する。

フリースペース。なるべく“漫画喫茶感”を出さないようにデザインしたという。両脇にそれぞれ2つのガレージ型個室がある
ガレージ型個室は、跳ね上げ式の扉を閉じれば外から見えなくなり、開ければフリースペースに開いたようになる
ドアの付いた通常の個室。快適な椅子や広い机が備えられている
会議室が2室ある

 そのほかのクリエイター向けの特徴として、照明は調光・調色機能付き。4K映像でも送れるよう、Wi-Fiだけでなく有線LANも完備している。机は、大型ディスプレイを複数台置けるような広さを確保。椅子も、アーロンチェアなど作業が快適なものが備えられている。

調光・調色機能付きの照明で、個室内の明るさや色温度を自在に変えられる
天井に設置されたサウンドマスキングの装置。全ての廊下と個室、フリーワークスペースにあり、空調のような音で個室の声を聞かれにくくする
フリーワークスペースのテーブルにも、潤沢に電源コンセントがある
備え付けのロッカー

メンバー特典に、ねこじゃらしのクラウドサービス無料利用権など検討

 法人登記も可能。メンバー特典としては、ねこじゃらしのクリエイター向けクラウドサービスの無料利用権や、近隣の飲食店の割引サービスを考えているという。

 川村氏は「すでに申し込みが3件あり、問い合わせも十数件ある」と語った。すでに契約を決めたデザイナーのタルマユウキ氏は、「近くで間借りして働いているが、DMZ WORKが近くにできたので説明を聞いた。デザインもよく、クリエイターのことを考えてくれているので決めた」とコメントした。

クリエイターへのアンケート結果。「静かで集中できること」と「他のメンバーとのコミュニケーション」という一見相反する要望を解決しようとしたという。機密情報管理を考慮。部屋の明るさの要望は人により異なる。大型や複数台のディスプレイが必要
「DMZ WORK」のフロア見取り図
すでに契約を決めたデザイナーのタルマユウキ氏

食の築地から、職の築地へ――水産会社跡に「築地バレー」構想

 ITベンチャーやクリエイターの集積する「築地バレー」構想についても、川村氏は語った。キャッチフレーズは「食の築地から、職の築地へ」。

 DMZ WORKと、同ビル6階の「DMZ CAFE」をコアに、コミュニティ形成や情報発信、資本の呼び込み、ヒューマンリソース、教育支援などで人材・企業をサポートする。

 川村氏によると「電通などがあるので、もともとクリエイターが近くに集まっている。また、築地市場の移転により、水産系の会社も移転し、そのあとにITベンチャー企業ややクリエイターが入ってきている」という。

 今後、株式会社ビックウエストの「TSUKIJI HAKONIWA PROJECT」など、築地を盛り上げようとする企業と協力し、築地のさらなる発展を目指すと川村氏は語った。「今後の発展のためには、ビットバレーのセルリアンタワーやマークシティのような大型ビルが築地市場跡にできるように、行政にも働きかけていきたい」(川村氏)。

「築地バレー」構想。「食の築地から、職の築地へ」
ITとクリエイティブによる「築地バレー」構想
「DMZ WORK」と「DMZ CAFE」をコアに、コミュニティ形成や情報発信、資本の呼び込み、ヒューマンリソース、教育支援などで人材・企業をサポートする
「築地市場跡に大型ビルを」という活動