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「UiPath」次世代版を発表、Excelを中心に置いた非エンジニア向けRPA開発ツール「StudioX」など多くの新製品を投入
2019年11月1日 11:01
RPAベンダーのUiPath株式会社は10月30日、RPAプラットフォーム「UiPath」の次世代リリースを発表した。同日、都内で行われたイベント「UiPath Forward III Japan」にあわせての発表で、10月に米ラスベガスで開かれた「UiPath Forward III」で米UiPathが発表した内容の日本での発表となる。
UiPath Forward III Japanでは、UiPath株式会社代表取締役CEOの長谷川康一氏と、米UiPath共同創立者兼最高経営責任者のダニエル・ディネス(Daniel Dines)氏、最高製品責任者のパラム・カロン(Param Kahlon)氏が、基調講演と記者会見にて、変更点やロードマップについて語った。
コア部分を強化し、製品カテゴリーを拡大
長谷川氏は今回のリリースについて、「コア部分の強化」と「エンドツーエンドの自動化ソリューション」がテーマだと語った。
これまでのUiPath製品に相当するコア部分には、ビルド(開発)段階の「Studio」、マネージ(管理)段階の「Orchestrator」、ラン(実行)段階の「Robots」が相当する。ここを強化するとともに、その前段階であるプラン(計画)と、後段階であるエンゲージ(協働)およびメジャー(測定)へと製品カテゴリーを広げた。
リリース時期は3段階。第1弾のWave 0が2019年11月から、第2弾のWave 1が2020年1月から、Wave 2が2020年4月から。
また、製品のほか、カスタマーサクセスを実現するために、どう自動化するかのやりかたの「フレームワーク」や、既存のロボットを使える業務別の「ソリューション」、RPAの「保守管理」も提供する。
クラウドサービスや新開発ツール、メトリック測定などの新製品
最新のUiPathをクラウドベースで無料で試せる「Cloud Platform Community Edition」
紹介された新製品は、まずクラウドサービスの「Cloud Platform Community Edition」で、10月30日提供開始。マネージ(管理)の強化に相当する。
最新のUiPathをクラウドベースで無料で試せるもので、ボタン数クリックで使えるという。なお、製品版の「Cloud Platform」はWave 2(2020年4月から)でリリース予定で、Community Editionはそのプレビュー版のような位置付けとなる。
非エンジニアでも自動化ロボットを開発できる「StudioX」
続いて、エンジニアではないビジネスユーザーでも自動化ロボットを開発できる「StudioX」。ビルド(開発)の強化に相当する。Studioの利用者層を広げるもので、Excelを中心に置いているのが特徴だという。
記者会見では、Excelの交通費精算書から金額をERPの精算システムに入力するというデモもなされた。StudioXの上で、画面左のペインから処理ブロックを選んで、Excelのデータ範囲を指定したり、文字を入力したりする処理を指定する。これだけで、Excelから一連のデータをERPの精算システムに自動的に入力できるようになった。
人間の判断を必要とする複雑な処理も作成できる「UiPath Apps」
続いて、より複雑な処理を自動化する「UiPath Apps」。エンゲージ(協働)に相当する。
完全に自動化できる処理だけでなく、途中で人間の判断を必要とする処理も作成できる。自動化ワークフローの途中で人の判断が必要になると、そこで処理を一旦停止し、人間の判断をあおいで、再び自動処理を再開するという「Human in the loop」機能を実現しているという。なお、UiPath Appsの中には「Forms」「Tasks」「Chatbots」が含まれる。
プロセス分析・最適化の「UiPath Connect Enterprise」
次に紹介されたのが「UiPath Connect Enterprise」で、プラン(計画)に相当する。人間の活動のログをモニタリングしてプロセスを分析し、ボトルネックを理解し、自動化により最適化する。これには、UiPathが買収したStepShotとProcessGoldの2社の技術が使われているという。
目指すのは「ラストワンマイルズのアプリケーション」
長谷川氏はさらに、これから目指すところとして「ラストワンマイルズのアプリケーション」について語った。対象のシステムの「ラストワンマイル」1つ1つを自動化するのではなく、全てを統合した「ラストワンマイルズ」のアプリケーションにより、1つのボタンで自動化できるようにしたいという。この姿を長谷川氏は「Automation is the Application」と呼んだ。
長谷川氏は基調講演の最後で「いま洗濯機をイノベーティブだという人はいないが、女性の時間を開放した。洗濯機に仕事を奪われたという人はいない。同じように、自動化により事務をしている人が事務の手作業から開放されて、より輝けるようになる世の中を実現したいと考えている」と語った。
また、ダニエル・ディネス氏は、「かつて日本は繊維産業の自動化を進め、1930年代には最大の繊維輸出国になった。しかしいま、日本の生産性は世界20位に落ちている。日本にはRPAで働き方改革を実現してほしいし、それにはいまアクションを取る必要がある」と語った。