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テレワークなどで「FTTH再評価」の機運、今年度141.7万件の純増~MM総研が予測

 株式会社MM総研は、2019年度通期(2019年4月~2020年3月)の「ブロードバンド回線事業者の加入件数調査(2020年3月末時点)」の結果を発表した。2020年3月末現在、FTTHの契約数は3306.8万件で、2019年度の純増数は133.7万件となった。2018年度の純増数は86.2万件だったため、それを超える勢いで増加した。その要因として、携帯キャリアなどによる「光コラボレーション」、集合住宅向けのインターネット導入、CATVインターネットの光化を挙げている。

 さらに、FTTH市場について「新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけとした自宅でのテレワークや遠隔授業、動画視聴等の需要増を背景に、通信インフラとして再評価の機運が高まっている」とし、2020年度の純増数は、2019年度を上回る141.7万件を予測しているという。

 なお、MM総研の調査では、光化したCATVはFTTHとしてカウントしている。

NTT東西の光回線が2165.8万件、FTTH市場でのシェア65.5%

 FTTHの回線事業者シェアは、NTT東日本、NTT西日本、KDDI、オプテージ、アルテリア・ネットワークスの順。

 FTTHのISPシェアは、NTTコミュニケーションズ(NTT Com)がトップだが、ソフトバンクが差を縮めている。以下、NTTぷらら、ビッグローブ、ソニーネットワークコミュニケーションズ(So-net)、オプテージ、KDDI、ニフティの順。

FTTHの回線事業者シェア(左)とISPシェア(右)

 このうち、NTT東日本とNTT西日本が回線を提供している「フレッツ光」と「光コラボレーション」の契約数は2165.8万件で、FTTH市場におけるシェアは65.5%。このうち光コラボレーションの契約数は1388.8万件で、NTT東西のFTTH回線のうち64.1%、FTTH全体でも42.0%を占める。さらに、光コラボレーションにおいては、スマートフォンとのセット契約が多く、NTTドコモとソフトバンクの取り扱いを合わせると70%超を占める。

 また、NTT東西は最大10GbpsのFTTHサービスを開始。さらに2020年夏以降にSo-netが「NURO 光」の最大20GbpsのFTTHサービスを開始する予定など、10Gbps以上のFTTHが広がりつつある。背景としては、動画やオンラインゲームなど、大容量のコンテンツの増加を挙げている。

固定ブロードバンド回線のISPシェアは、ソフトバンクが有線・無線で展開しトップ

 FTTHのほか、ADSL、CATVインターネット、ワイヤレスを含めた固定ブロードバンド回線のISPの契約数は、ソフトバンク、NTT Com、J:COM、So-net、ビッグローブ、NTTぷらら、KDDI、オプテージ、ニフティの順になっている。

 ソフトバンクは、光回線の「SoftBank 光」のほかにも、LTE回線を用いた固定回線としての利用を前提とした「SoftBank Air」により、固定ブロードバンド回線であっても、有線と無線の両方の形態で提供できるため、1位になったと思われる。

固定ブロードバンド回線におけるISPのシェア

固定ブロードバンド回線の増加は続く、2025年度まで年1.9%の成長

 今後の固定ブロードバンド回線の契約数は、FTTHとワイヤレスの増加により、2020年度以降、2025年度までは年1.9%の成長が見込まれるとしている。

 ワイヤレスは、2020年3月末現在で369万回線で、2019年度よりも成長のペースは緩やかだった。しかし、2021年3月末には420万件まで増加し、固定ブロードバンド回線の9.1%を占めるほどに成長すると予測している。要因としては、開通時の工事が不要なことや、5Gを採用することによる高速化を挙げている。これにより2023年3月末には500万回線を突破、固定ブロードバンド回線のうち10%を超え、CATVを抜く規模に成長するとしている。

 なお、これらの統計は、MM総研の取材や調査結果により推定したものだ。

固定ブロードバンド回線の契約数の推移・予測。FTTHは年1.9%の成長。ワイヤレスは徐々に増え、2023年3月末には固定ブロードバンド回線の10%を超えると予測している