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「神奈川県町田市」は非実在…ATOK最新版は誤地名への対応を強化、チャットなど対話文の誤変換も低減

 株式会社ジャストシステムは1日、「ATOK Passport」で提供する日本語入力プログラムの機能アップデートを発表した。最新版プログラムは、「ATOK for Android[Professional]」が同日より提供開始。「ATOK for Windows」「ATOK for Mac」は2021年2月1日より提供する。

「ATOK for Windows」「ATOK for Mac」の機能強化ポイント

チャットの対話形式での「話し言葉」変換例のイメージ

「話し言葉」対応を強化、「手か何で?」などの誤変換を低減

 変換エンジン「ATOK ディープコアエンジン」の適用範囲を拡大し、チャットなどで入力される対話形式の「話し言葉」への対応を強化した。

 ATOKは「書き言葉」の文法に則った文章を得意としているが、従来は、助詞が抜けていたり、省略語が混ざっているなど、対話文での表現には弱く、意味が通じるまでに何度も文節区切り直しや変換候補の選択し直しが必要となり、コミュニケーションのペースが落ちてしまう結果になっていたという。

 例えば、従来のATOKでは「今日調子いいわ」が「強調しいいわ」、「てか何で?」が「手か何で?」と変換されていたような、通常の書き言葉では出てこないような表現でも、「一般モード」でスムーズに変換できるとしている。

「校正支援」機能を強化、実在しない「博多市」など誤りを指摘

 「校正支援」機能における地名の誤りへの対応を強化。日本国内の「市」について、実在しない市名を入力しようとした際に指摘する。これまでも「埼玉県大宮市」に対して「合併→さいたま市」と指摘する機能があったが、さらに今回、思い違いや隣接する地域との混同などによる誤りにも対応した。

 例えば、「岩手市」「島根市」のように県名と同名の市が存在すると思い違いしているパターン、「幕張市」「博多市」のように、知名度の高い地域名を市と誤認識しているパターン、「神奈川県町田市」「大阪府尼崎市」のように県境の市の誤認識や、「群馬県草津市」「三重県大津市」のように同名の地名・似た地名の誤認識により、都道府県名との組み合わせで間違えているパターンに対応する。

実在しない「市」名の指摘例

「見逃し指摘ビューア」新搭載、あとからまとめて修正が可能に

 校正支援機能で指摘された内容を、あとから確認できる「見逃し指摘ビューア」を新たに搭載した。変換中に校正支援機能が指摘したが、そのときは訂正候補を使用しなかったものが一覧表示され、24時間以内の指摘が保存される。文書の作成中は入力に集中し、あとからまとめて確認して修正したい場合に便利だとしている。

「見逃し指摘ビューア」(Windows版)
「見逃し指摘ビューア」(Mac版)

「ATOK for Android[Professional]」の機能強化ポイント

「ズレても変換」でタッチ位置の入力補正、「いんたねと」でもOK

 ミスタイピングを補正し、より日本語としてふさわしい候補を提示する入力支援機能「ATOK ディープコレクト」を、「ATOK for Android[Professional]」にも搭載した。パソコンのqwerty配列キーボードとは異なる、スマホのフリック入力ならではのタッチミスを補正してくれる。

 具体的には、フリック入力の際にタッチ位置がズレて隣のキーをフリックしてしまった場合にも、読みを補正して変換候補が提示される。

 また、「ゃ」「ゅ」「ょ」「っ」などの入力しにくい拗音・促音や長音の入力漏れ、「濁点・半濁点・小」キーの打鍵漏れなどの際も、同様に補正して候補が提示される。ATOKのジェスチャー入力によるフリック操作(濁点・半濁点付きの文字を選ぶ、拗音にする際に下方向にフリックする)も省略できる。例えば、「しやしんおくつて」を「しゃしんおくって」(写真送って)、「ちくせつ」を「ちょくせつ」(直接)、「いんたねと」を「いんたーねっと」(インターネット)というように補正してくれる。

フリック入力による「ズレても変換」の補正例
促音の入力漏れの補正例

 このほか、提示された候補を選択操作する際の表示方法を、従来からの横方向スクロールに加えて、縦方向スクロールも用意。あわせて、より多くの候補を一目で確認できるようにした。

「ATOK Passport」のラインアップ・価格と「ATOK」の対応OS

 「ATOK for Windows」「ATOK for Mac」「ATOK for Android」の最新版プログラムを、最大10台のデバイスで利用でき、各デバイスを同期して入力環境を統一できるサブスクリプション制サービス「ATOK Passport[ベーシック]」が月額330円(税込)。

 同サービスの上位版で、「ATOK for Android[Professional]」や「ATOKクラウド辞典サービス」「8カ国語クラウド翻訳変換 for ATOK」「ATOKクラウド文章校正サービス」も利用できる「ATOK Passport[プレミアム]」が月額550円(税込)。このほか、1年間で6600円(税込)、3年間で1万7820円(税込)のプランもある。

 対応OSは、「ATOK for Windows」がWindows 10/8.1、「ATOK for Mac」がmacOS Big Sur(v11)/Catalina(v10.15)/Mojav(v10.14)、「ATOK for Android[Professional]」がAndroid 5.0/5.1/6.0/7.0/7.1/8.0/8.1/9/10/11(6.0以上を推奨)。