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敷島製パン、「Chromebook」700台導入の決め手とは? シンクライアント+DaaSの課題を解消

コロナ禍でさらに300台追加も、迅速に配備完了

 グーグル・クラウド・ジャパン合同会社(Google Cloud Japan)が16日、「Google Workspace」の活用事例を紹介するプレスセミナーを開催。敷島製パン株式会社(Pasco)、損害保険ジャパン株式会社、生活協同組合コープさっぽろの担当者が登場し、それぞれの活用事例を語った。

採用活動を「Google Meet」などでオンラインに移行

 敷島製パンの事例では、採用活動における「Google Meet」の活用と、「Chromebook」導入による在宅勤務の推進が紹介された。

 まず、採用活動については、敷島製パンの金原仁志氏(人事部人材開発グループチーフ)が解説した。

敷島製パン株式会社の金原仁志氏(人事部人材開発グループチーフ)

 従来の採用活動は、基本的に本社(名古屋)に全員を集めることが多かった。それをコロナ禍により、2020年からオンラインに切り替えた。

 まず会社説明会は、全国3カ所に学生を集めて開催していたのを、2020年は3月にGoogle Meetによりオンラインで実施した。

会社説明会を「Google Meet」でオンラインに

 また、採用面接は、主要工場に集めて開催していたのを、2020年からGoogle Meetによりオンラインで実施。さらに面接側も「Google Chat」と「Google スプレッドシート」を使って状況を把握して、運用がスムーズになったという。

採用面接を「Google Meet」でオンラインに。面接側も「Google Chat」と「Google スプレッドシート」を活用

 内定式・入社式も、本社に集合していたのが、Google Meetにより全員が自宅から参加するかたちとなった。

内定式・入社式も「Google Meet」で全員が自宅から参加

 社内研修は、本社に集合していたのを2020年度からGoogle Meetによるオンラインで実施。「方式は今でも試行錯誤している」(金原氏)ということで、1人1人つなぐ場合や、勤務地ごとに集まってつなぐ場合などがあるという。

社内研修も「Google Meet」で実施。方式は試行錯誤している

 さらに、社内研修のフォローとして、人脈・つながりの強化には「Google Currents」(組織内用
「Google+」の後継)を使っている。Google Currents上に研修ごとのコミュニティを作ってコミュニケーションをとれるほか、人事部からも継続的な教育や事後フォローに使われているという。

社内研修のフォローとして「Google Currents」を利用

 「こうしたさまざまなツールの機能を使いこなすとコミュニケーションしやすくなるが、ツールの使い方が分からないという声もある」(金原氏)ということで、30分程度の短時間で学ぶ「Meet de 勉強会」も開催しているという。Google Meetで開催しているため、どこからでも参加可能で、「営業先で携帯から参加することもできる」と金原氏は言う。また、開催後には「Google Forms」で要望や悩みを収集している。

ツールの使い方を学ぶ「Meet de 勉強会」

 新たな取り組みとして、インターンシップ(職場体験)でのグループワークがある。集合して開催していたときには、グループごとに分かれて議論することができたが、2020年にはオンラインでそれができなかった。2021年にはGoogle Meetでグループごとに分かれる「ブレイクアウトセッション」機能と、Google スプレッドシートによる同時編集を使い、その場で意見を共有することに挑戦する。

インターンシップ(職場体験)でのグループワークに、「Google Meet」の「ブレイクアウトセッション」機能と、「Google スプレッドシート」を利用

 最後に「まだまだ試行錯誤の段階で、継続的に改善していく」と金原氏は語った。

シンクライアントから「Chromebook」にリプレース

 続いてChromebookの導入について、敷島製パンの吉安壮真氏(SPS推進部企画グループチーフ)が解説した。

敷島製パン株式会社の吉安壮真氏(SPS推進部企画グループチーフ)

 それまで持ち出し端末には、シンクライアントとDaaSを用いていた。しかし、DaaS環境にアクセスするのに時間がかかることや、セキュリティへの懸念、さらにGoogle Meetが使いづらいことが課題だったという。

シンクライアント+DaaSでの課題

 そこで2018~2019年に、持ち出し端末としてChromebookを700台導入した。決め手となったのは、DaaS環境にアクセスせずにウェブシステムが利用可能なこと、ブートチェックなど何重にもセキュリティが施されていること、Google Meetとの相性、コスト、Active Directoryに頼らないシンプルな管理だったという。

Chromebookを導入

 さらに2020年には、コロナ禍によりテレワークを推進することになり、Chromebookを300台用意する必要が発生した。これを、緊急事態宣言が出る直前に決定し、1週間で配布を開始して、緊急事態宣言が全国に拡大されたタイミングには配備完了したという。「これまではキッティングなどで2カ月半程度かかっていた」と吉安氏は言う。

コロナ禍の緊急テレワーク需要にも素早く対応

 もう1つの課題としては、DaaSのサーバーのリソースが逼迫としていたことがある。そこで、VDIではなく遠隔操作型のアプリを別途用意し、Chromebookから会社の自分のPCにアクセスできるようにしたという。

DaaSのサーバーのリソース逼迫の課題

 Chromebook導入の課題としては、まず、Chromebookの操作に慣れないユーザーの教育への対応がある。これについては、問い合わせ用スプレッドシートを開設したり、Meetでのオンライン相談会を実施したりした。

 また、「本当はOSに依存しない働き方へシフトしたかったが、一足飛びには行けていない」と吉安氏は言う。「例えば、Internet Explorerにしか対応していなかったウェブシステムの対応ブラウザーをChromeに広げたり、Windowsでしか動かないクライアント/サーバーのシステムをクラウドに移行することを実験している」(吉安氏)。

 さらに、テレワーク需要増加によりVPN逼迫問題も起きており、Google Cloudの協力のもとでゼロトラストの「BeyondCorp」をテスト中だという。

Chromebook導入の課題

 一連の取り組みのまとめとして、デジタル化が進んで費用削減やワークライフバランス推進につなげることができ、「コロナ禍が収まった将来も、オンライン採用・研修は継続の予定」と説明した。